日本の金融市場はなお不安定
7月末の日銀金融政策決定会合で日銀は追加利上げを決定しました。市場予想では据え置きと利上げ予想が分かれており、大きなサプライズとは言えませんでした。ただ、その後に行われた植田日銀総裁の会見は市場に大きなインパクトを与えました。
それまで緩和的な金融環境は続くと強調し、慎重な発言が目立っていた植田日銀総裁は、政策金利の水準で「0.5%は壁として意識していない」と述べ、利上げ継続を示唆し、市場に衝撃を与えました。
その後、7月米雇用統計が悪化して米国株が急落したことも連動し、日経平均株価は5日に過去最大の下げ(4451円安)を記録しました。翌6日には前日の反動で3000円超急反発し、これも歴史的な上げを記録しました。その後も日本株は不安定な動きが続いており、1日に1000円を超える値動きが多々見られています。
円相場、神経質な動きが継続
日本株の不安定な動きや、日米金融政策見通しの思惑で円相場は神経質な動きが続いています。ドル円は7月中旬に161円をつけたが、8月5日には141円台まで急落しました。8月中旬には149円台まで持ち直したが、今週は140円台に売りに押され年初来安値を更新しています。
ドル円
日銀の追加利下げと米国の利下げ開始がコンセンサスとなっており、ドル円主導で円高が進みやすい地合いにはなっています。だた、金融政策の先行きに対する不透明感が高いこと、株式市場の見通しに見方が大きく分かれていること、ドル円・クロス円の下げ局面で押し目買い意欲が依然として根強いことなどで、円相場は神経質なおかつ値幅を伴った動きが続いています。
円相場、ストップの設定が難しい
最近の円相場は値動きが大きいだけではなく、急落したと思ったらその反動も大きく不安定な動きが続いており、方向感が出にくい相場となっています。神経質な動きが続いていることもあり、重要なテクニカルポイントもその効力が薄れており、FX取引でストップロスの設定が非常に難しくなっています。
FX取引で大きな損失を避けるためにストップの設定は絶対必要なものです。ただ、値幅を伴った神経質な相場が続くなかではストップが引っ掛かり、損失が膨らみやすいです。
最近の円相場、スキャルピング手法が有利か
方向感が出にくく、値幅が伴った乱高下が続く相場展開のなかではスキャルピング手法が有利ではないでしょうか。
スキャルピングは、数秒から数分程度の短期間で小さな利益を狙い、その利幅をコツコツ積み重ねていくトレード手法のことです。
小さな値動きで売買を行うスキャルピングは、1回のトレードでのリスクを最小限に抑えられるというメリットがあります。流れに沿って取引し、方向感の不透明などを気にせずに取引できます。
ただ、短時間勝負でも相場の局面をしっかりと踏まえ、エントリーのタイミングを見計うのが取引の基本です。根拠なく、勘を頼りに適当に売買してしまうのは失敗の元になります。スキャルピングで利益を得るためには、取引ルールを最初に決め、そのルールを守りながら実行することが大切です。また、タイミングが重要なスキャルピングでは、躊躇なく決済することが何よりも重要です。