ニュージーランド(NZ)の通貨、NZドルは隣国の豪ドルと似たような値動きになる傾向があります。ニュージーランドは19世紀半ばにイギリスの植民地となったことから、隣国のオーストラリア同様、歴史的、政治的、文化的に英国との結びつきが深く、現在でも英連邦に属し、の親密な関係が維持されています。
NZドルの特徴
資源国であるオーストラリアに対し、酪農関連、木材・木製品、果実類、ワインなどの輸出が盛んで、輸出全体の6-7割を一次産品で占める農業国です。その貿易相手は中国が3割弱、オーストラリアが1割台半ばといったところで、中国の景気に直接的、間接的に大きく影響されます。経済規模は限られ、NZドルはニュージーランド独自の要因よりも、世界経済やドルの動きなど外部要因に左右されやすいです。
ニュージーランドは資源国ではないですが、オーストラリアやカナダなど国として密接な位置関係にあることから、NZドルの動きはコモディティ価格変動の影響を受けやすいです。また、最大の貿易国である中国経済の経済・政治動向は、ニュージーランドの経済にも大きな影響を与えるので、中国関連のヘッドラインや中国の経済指標の結果に敏感に反応します。
NZドルの金利は他の先進諸国よりも高くなる傾向があります。世界的に政治・経済が安定している時には金利狙いの資金が集まりやすく、NZドルも高くなる傾向がある一方、突発的な混乱が生じると、一気に資金が流出してNZドル安となることもあります。豪ドルよりも流通量、取引量が非常に小さいので、基本的に変動幅が大きく、短期的に大幅に値が動くこともあります。
ニュージーランドは酪農産業が大変重要な地位を占めているため、乳製品最大手フォンテラによる乳製品の買い入れ価格の推移 (GDTニュージーランド価格指数として発表される) がNZドル相場に大きな影響を与えることが他の通貨と異なった特徴です。
ニュージーランド準備銀行(RBNZ)の政策金利
ニュージーランド準備銀行銀行(RBNZ)は同国の政策金利など金融政策の決定を担う中央銀行です。また、RBNZ金利は金融政策委員会(MPC)によって決定されています。
政策金利は2008年初に8.25%と非常に高かったが、金融危機への対応で2009年3月に2.50%まで下げられました。2014年には3.50%まで利上げしたが、2015年から経済の懸念と2020年のコロナ禍で過去最低水準となる0.25%まで引き下げられました。
2021年10月から利上げに踏み切り、今年の11月まで9会合連続で利上げを実施し、政策金利を4.25%まで引き上げました。
NZドル、今年の値動き
NZドル/ドル
NZドル/ドルは年初に0.68ドル前半でスタートし、4月の0.7034ドルを高値にドル独歩高の流れを受けて下落。10月には2020年3月以来の安値水準となる0.5512ドルまで下落しました。ただ、その後は米利上げペース鈍化観測が高まり、ドル高に調整が入り、足もとでは0.64ドル台まで持ち直しています。
NZドル円
日銀とRBNZの金融政策の違いを意識したNZドル高・円安の流れが継続し、9月には2015年6月以来の87.89円まで高値を更新した。その後、日本当局の円買い介入の影響もあり、神経質な動きとなるも、高い水準での動きが続いています。