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【FX、やるならお得に】第23回 NZドル、豪ドルに似た動き

ニュージーランド(NZ)の通貨、NZドルは隣国の豪ドルと似たような値動きになる傾向があります。ニュージーランドは19世紀半ばにイギリスの植民地となったことから、隣国のオーストラリア同様、歴史的、政治的、文化的に英国との結びつきが深く、現在でも英連邦に属し、の親密な関係が維持されています。

 

NZドルの特徴

資源国であるオーストラリアに対し、酪農関連、木材・木製品、果実類、ワインなどの輸出が盛んで、輸出全体の6-7割を一次産品で占める農業国です。その貿易相手は中国が3割弱、オーストラリアが1割台半ばといったところで、中国の景気に直接的、間接的に大きく影響されます。経済規模は限られ、NZドルはニュージーランド独自の要因よりも、世界経済やドルの動きなど外部要因に左右されやすいです。


ニュージーランドは資源国ではないですが、オーストラリアやカナダなど国として密接な位置関係にあることから、NZドルの動きはコモディティ価格変動の影響を受けやすいです。また、最大の貿易国である中国経済の経済・政治動向は、ニュージーランドの経済にも大きな影響を与えるので、中国関連のヘッドラインや中国の経済指標の結果に敏感に反応します。


NZドルの金利は他の先進諸国よりも高くなる傾向があります。世界的に政治・経済が安定している時には金利狙いの資金が集まりやすく、NZドルも高くなる傾向がある一方、突発的な混乱が生じると、一気に資金が流出してNZドル安となることもあります。豪ドルよりも流通量、取引量が非常に小さいので、基本的に変動幅が大きく、短期的に大幅に値が動くこともあります。


ニュージーランドは酪農産業が大変重要な地位を占めているため、乳製品最大手フォンテラによる乳製品の買い入れ価格の推移 (GDTニュージーランド価格指数として発表される) がNZドル相場に大きな影響を与えることが他の通貨と異なった特徴です。

 

ニュージーランド準備銀行(RBNZ)の政策金利

ニュージーランド準備銀行銀行(RBNZ)は同国の政策金利など金融政策の決定を担う中央銀行です。また、RBNZ金利は金融政策委員会(MPC)によって決定されています。


政策金利は2008年初に8.25%と非常に高かったが、金融危機への対応で2009年3月に2.50%まで下げられました。2014年には3.50%まで利上げしたが、2015年から経済の懸念と2020年のコロナ禍で過去最低水準となる0.25%まで引き下げられました。


2021年10月から利上げに踏み切り、今年の11月まで9会合連続で利上げを実施し、政策金利を4.25%まで引き上げました。

 

NZドル、今年の値動き

NZドル/ドル

NZドル/ドルは年初に0.68ドル前半でスタートし、4月の0.7034ドルを高値にドル独歩高の流れを受けて下落。10月には2020年3月以来の安値水準となる0.5512ドルまで下落しました。ただ、その後は米利上げペース鈍化観測が高まり、ドル高に調整が入り、足もとでは0.64ドル台まで持ち直しています。


NZドル円

日銀とRBNZの金融政策の違いを意識したNZドル高・円安の流れが継続し、9月には2015年6月以来の87.89円まで高値を更新した。その後、日本当局の円買い介入の影響もあり、神経質な動きとなるも、高い水準での動きが続いています。

この連載の一覧
第93回 本間宗久が残した相場の極意
第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
第89回 RBNZ政策金利とNZドル円
第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
第82回 ECBと理事会
第81回 FRB 、FOMC
第80回 人民元の基準値
第79回 円キャリートレード
第78回 日銀、1月会合でマイナス金利解除を見送るか
第77回 ドル円 ゆく年くる年(2)
第76回 ドル円 ゆく年くる年(1)
第75回 ポジションの偏り
第74回 ユーロ圏、厳しい財政ルール
第73回 米国の双子の赤字、ドル相場への影響は?
第72回 日本の貿易収支
第71回 国際収支と為替(2)
第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
第67回 FX、時間軸視点も大切
第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
第64回 米大統領選とドル相場
第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
第54回 FXトレードスタイル(1)
第53回 近年の相場の軸足
第52回 FX相場の軸足
【第51回 ドル・ユーロ・円、3大通貨に注目】
【第50回 FX、取り組みのタイミング】
【第49回 大局観下でのアプローチ】
【第48回】大局観、身につけよう
【第47回】FX取引の投資資金
第46回 相場と真摯に付き合う
第45回 金相場と為替
第44回 うわさで買って、事実で売る
第43回 原油相場と為替
第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
第41回 貿易収支と為替相場
第40回 米国、なぜドル高にこだわるのか?
第39回 景気と為替相場
第38回 先物市場で投機筋の動きを把握
第37回 米SVB経営破綻の為替相場への影響
第36回 インフレと為替
第35回 FX、最強の参加者は?
第34回 為替レートの安定は為替ディーラーに不利なのか?
第33回 FXの自動売買取引
第32回 注目度の高い米雇用統計
第31回 リスクオン・リスクオフ取引
第30回 注目度の高い経済指標
第29回 アフリカの人気通貨 南アフリカ・ランド
第28回 安全資産・逃避通貨のCHF
第27回 2023年の為替相場
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【FX、やるならお得に】第16回 ファンダメンタルズ
【FX、やるならお得に】第15回 順張り・逆張り
【FX、やるならお得に】第14回 為替レートはテーマで動く
【FX、やるならお得に】第13回 為替の変動要因
【FX、やるならお得に】第12回 FXはゼロサムゲーム?
【FX、やるならお得に】第11回 FX取引の注文方法
【FX、やるならお得に】第10回 外国為替取引の中心はドル
【FX、やるならお得に】第9回 外国為替市場と為替レート
【FX、やるならお得に】第8回 FX取引で大事なこと
【FX、やるならお得に】第7回 スワップポイント
【FX、やるならお得に】第6回 FX、利益を得る仕組み
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【FX、やるならお得に】第2回 そもそも為替って何?
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為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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