米政府の相互関税、世界に衝撃
トランプ米政権が2日に発表した相互関税の範囲と厳しさは、同氏が1期目に課した関税を大きくしのぐ内容となり、世界に衝撃を与えました。この関税措置により、世界的なサプライチェーンを破壊し、景気減速を深刻化させ、インフレを押し上げるリスクが高まっています。
米政権の相互関税の発表を受けて、世界の株価が急落し国債買いが強まるなど、投資家のリスク回避姿勢が高まっています。為替市場ではリスクオフの円買いが進み、関税による米景気懸念の高まりを背景にドル売りで反応しました。ただ、関税は米経済だけではなく、世界各国の経済への悪影響が大きなこともあり、4日の為替相場でドル売りは巻き戻しが入っています。一方、リスク回避の円買い圧力は続いています。
この関税ヘッドラインによってポンドも神経質な動き。ポンドドルは一時1.32ドル台回復と昨年10月上旬以来の高値をつけたが、週末には1.30ドル割れに押し戻されました。また、リスクオフの円買いが続くなか、ポンド円は2日の195円後半から週末には188円近辺まで大幅安となりました。
相互関税、英国は基本関税である10%
トランプ米政権が発表した相互関税は、米国への全輸出国に基本関税10%を、対米貿易黒字の大きい約60カ国・地域を対象に上乗せ税率をそれぞれ適用するとし、中国に34%、日本に24%、欧州連合(EU)に20%の関税を発動しました。
英国の関税は一律の10%と最低水準にとどまりました。英政府はこれについて、報復措置ではなく米国と新たな経済協力関係を築こうとするアプローチの正当性を示しています。レイノルズ英ビジネス貿易相は、米国との貿易協議で合意が近いとの見方を示し、スターマー首相は通商協議が継続していると述べ、「国益にかなう場合に限り、協定を結ぶ」とも強調しました。
関税、ポンド相場への影響
英国への関税は最低水準の10%にとどまり、EUなどに比べると影響は比較的に少ない感じですが、トランプ米大統領の関税方針は二転三転しており、今後も不透明感が強いです。トランプ関税が世界貿易を痛めつける可能性が高まるなか、比較的貿易関係が良好な英国との摩擦は少ないとみられています。また、英国では根強いインフレ圧力が残っており、英中銀が利下げしにくいことも金利差の面からポンドを支援しそうです。
ただ、トランプ米大統領の相互関税発表を受けて、イングランド銀行(BOE)の次回5月会合での利下げ確率は8割弱まで強まっています。英国に適用される関税率が最低限にとどまったが、欧州の貿易相手国はより厳しい関税に直面することになり、その経済的な痛みの一部はサプライチェーンや共通市場を通じて英企業に波及することになるとの見方が強いです。
米国の関税が英国の物価に与える影響はまだ不明だが、報復関税を伴う貿易戦争は徐々に英国経済にもディスインフレ効果をもたらす可能性があります。これまで米国に大量に輸出していた国々が、英国などの市場で自国製品を割引価格で投げ売りしかねないためです。家計の短中期的なインフレ期待がこのところ上昇していることで、BOEの課題はさらに複雑になっています。