FX取引のアプローチとして、為替相場の全体像を掴むことはとても重要です。全体像を把握し、「相場の軸足」をどこに置かれているかを見極めること、つまり現在と近い将来の相場動向で焦点やテーマになる、最もインパクトが強いイベントや材料の選別に力を入れることです。
そして、その材料に最も敏感な通貨ペアを選択し、「相場の軸足」にそって売買を仕掛けるという流れにつなげば、リスクを減らし利益を上げる確率をグンと高めることができます。
軸足を見極める必要性
なぜ相場の軸足を見極める必要があるかと言えば、それは軸足を定めることができれば自分が今後の取引でどういう風に売買を仕掛けていいのかが明確になってくるからです。注目のテーマは何か、市場の焦点はどこにあるのかも把握できない状況ではそもそもどの通貨ペアに売買を仕掛けていいのかもわかりません。
なので、市場の焦点やテーマを掴み切り、「相場の軸足」を見極めることはFX取引へのアプローチの重要なポイントとなります。
軸足を定める時のポイント
・圧倒的なドル相場
昔に比べてドルの影響力が落ちましたが、まだ「為替相場=ドル相場」という強い感覚が染み付いています。相場全体の動きにドルは圧倒的な影響力を持っており、ドル相場の変動に「相場の軸足」が置かれた局面ではわりと取引が仕掛けやすいです。ドル以外の通貨ペアを仕掛ける時もドルの変動要因を把握して置けば、プラス材料になります。
・投機筋の動き
為替市場の取引は投機勢による投機的な売買が大きな部分を示しています。よって、投機筋の売買動向が相場の動きや方向感に極めて重要な影響を与えています。投機筋の目的は、為替市場で思惑や相場観を基に投機的なポジションを保有し、大儲けを狙っており、そのポジション状況にも要注意です。
・軸足に影響を与えるイベントや材料
相場に大きな影響を与える、インパクトが強いイベントや市場の焦点が集まる材料などには要注意です。特に自分が定めた軸足に影響を与えそうな材料は見逃してはいけません。材料次第では決め込んでいた軸足の見直しを検討する必要もあります。
現在のFX取引の軸足
現在の為替相場の軸足は「金融政策」です。金融政策もいつも為替相場に大きな影響を与えていますが、インフレ対策として世界の中銀が引き締め姿勢を強めているこの1、2年は特にインパクトが強く、「政策相場」が続いています。
ドル円で見てみると、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切った2022年3月から上昇トレンドを形成しました。ドル円は2022年2月の115円台から2022年10月には151.95円と1990年以来の高値を更新しました。その後は米引き締めサイクルの終焉・日銀の金融正常化観測でいったん調整の売りが入ったものの、金融政策の違いは変わらず、緩和策を継続する日銀との「金融政策の格差」からその流れは続いています。
いずれFRBは利上げを終了し利下げに転じ、日銀は長く続いている超緩和策を終了し金融政策の正常化に向かうとの見方が主なコンセンサスとなっていますが、この「いずれ」がいつになるかが問題です。世界の多くの中銀が頭を抱えているインフレ高が政策関係者らの予想通りに近いうちに収束に向かうかどうかがポイントになります。インフレ高が予想より長引けば、世界で高金利時代が続く可能性もあります。日米金融政策の格差が縮小し、ドル高・円安が変わるこの「いずれの日」を見極めることが大事です。
不透明なインフレ見通しと共にもう一つ注意しないといけないのは、各中銀の相次ぐ利上げによる経済への悪影響が徐々に深刻化することです。世界経済の鈍化が鮮明になると、株価の下落に伴いリスクオフの動きが強まる可能性があります。