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【FX、やるならお得に】第9回 外国為替市場と為替レート

外国為替市場の中心は銀行間取引

 

通貨を交換する取引を「外国為替取引」といい、銀行などの金融機関は「外国為替市場」で取引を行います。「外国為替市場」には証券会社、保険会社や為替ブローカーなども参加していますが、銀行の取引が圧倒的に多く、「インターバンク市場(銀行間取引市場)」とも呼ばれています。

 

 

株式市場は、東京証券取引所など取引が行われる取引所がありますが、「外国為替市場」は特別な取引を行う場所はなく、銀行の担当者らが専用端末や電話、ネットなどを使って通貨を売買する目に見えない市場であり、このネットワークを「外国為替市場」と呼んでいます。

 

株の取引は証券取引所が売りと買いの注文を集中させ、条件が一致しる注文を成立させますが、外国為替取引は取引当事者同士が納得すれば、どんなレートでも取引が成立する「相対取引」です。

 

 

「ダイレクトディーリング(DD)」

外国為替市場における取引の基本は、銀行をはじめとする金融機関同士の取引「ダイレクトディーリング(DD)」です。この刻々と変動する為替レートの情報はブルームバーグやロイターなど通信社、電子取引のスクリーンを通じて配信されます。

 

ブローカー経由の為替取引

「ダイレクトディーリング(DD)」ほかに、仲介業者である「外国為替ブローカー」を経由する「ブローカー取引」があります。銀行などにとってブローカーはベストな相手を探してくれる仲人のような存在ですが、もちろん売買仲介手数料が発生します。

最近はインターネットの普及などで取引がしやすくなったこともあり、ブローカー取引」はかなり減っており、「ダイレクトディーリング(DD)」の比重が一段と大きくなっています。

 

為替レートの仕組み

 

為替レートと大きく銀行同士が取引する時の「インターバンクレート」と、銀行と企業や個人と取引する時の「顧客向け為替レート」の2つがあります。

 

インターバンクレート

例えば、経済関連のニュースを見ると、「12時現在、ドル円のレートは130円10-13銭」との報道を目の当たりにすることがあります。これは銀行が「円を売ってドルを買う」時に希望する平均レートが130円10銭、銀行が「ドルを売って円を買う」時に希望する平均レートが130円13銭という意味です。

 

顧客向け為替レート

 顧客向け為替レートは、企業向け(主に大口の法人顧客)と個人向けがあります。顧客向け為替レートは、インターバンクレートに手数料がプラスされたレートです。もちろん、大口の企業むけより個人向けの手数料が高いわけです。

 

個人向けとして、日本では銀行が午前10時にインターバンクレートを「仲値(TTM)」として、これを基準にその日のレートを決めます。そのレートは4つあり、原則としてその日1日変更されることはありません。

 

・対顧客電信売相場(TTS)

外貨預金の預け入れや海外送金などで、円を外貨に換えるときに使うレートです。仲値(TTM)に1円上乗せするのが一般的です。

・対顧客電信買相場(TTB)

外貨預金、海外から送金された外貨を円に換える時に使うレートです。TTMから1円引くのが一般的です。

・現金売相場

円を外貨の現金に両替する時のレートで、TTSから2円上乗せします。

・現金買相場

外貨を円の現金に両替する時のレートで、TTBから2円引きます。

 

TTSとTTBは金融機関の口座における通貨の交換であり、現金の場合は別のレートが適用されます。現金は保管や運搬コストが大きくなるから、手数料がTTS・TTBより大きくなります。

 

ドル円の仲値(TTM)が130円の時、個人向けレート

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第92回 基軸通貨のドル、強い
第91回 外国為替相場制度
第90回 米長期金利とドル円
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第88回 日銀、利上げに踏み切るも円安
第87回 日本、「金利のある世界」に向かう
第86回 豪中銀と政策金利
第85回 トランプ氏の再選リスク
第84回 加中銀とその金融政策
第83回 英中銀とMPC
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第72回 日本の貿易収支
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第70回 国際収支と為替(1)
第69回 円買い介入警戒感が続く
第68回 FXにも山・谷がある
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第66回 PPPよりかなりの円安
第65回 購買力平価説
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第63回 円の実質実効為替レート、50年ぶりの低水準
第62回 実質実効為替レート、通貨の強弱が分かる
第61回 FX取引には時間・季節も影響
第60回 プロと素人
第59回 相場に入る・離れるタイミング
第58回 FX、成功する人・失敗する人
第57回 外貨預金にも使えるFX取引
第56回 FXトレードスタイル(3)
第55回 FXトレードスタイル(2)
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第42回 金利差拡大ならお金は金利の高い国へ
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為替情報部 アナリスト

金 星

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。 外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。 2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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