外国為替市場の中心は銀行間取引
通貨を交換する取引を「外国為替取引」といい、銀行などの金融機関は「外国為替市場」で取引を行います。「外国為替市場」には証券会社、保険会社や為替ブローカーなども参加していますが、銀行の取引が圧倒的に多く、「インターバンク市場(銀行間取引市場)」とも呼ばれています。
株式市場は、東京証券取引所など取引が行われる取引所がありますが、「外国為替市場」は特別な取引を行う場所はなく、銀行の担当者らが専用端末や電話、ネットなどを使って通貨を売買する目に見えない市場であり、このネットワークを「外国為替市場」と呼んでいます。
株の取引は証券取引所が売りと買いの注文を集中させ、条件が一致しる注文を成立させますが、外国為替取引は取引当事者同士が納得すれば、どんなレートでも取引が成立する「相対取引」です。
「ダイレクトディーリング(DD)」
外国為替市場における取引の基本は、銀行をはじめとする金融機関同士の取引「ダイレクトディーリング(DD)」です。この刻々と変動する為替レートの情報はブルームバーグやロイターなど通信社、電子取引のスクリーンを通じて配信されます。
ブローカー経由の為替取引
「ダイレクトディーリング(DD)」ほかに、仲介業者である「外国為替ブローカー」を経由する「ブローカー取引」があります。銀行などにとってブローカーはベストな相手を探してくれる仲人のような存在ですが、もちろん売買仲介手数料が発生します。
最近はインターネットの普及などで取引がしやすくなったこともあり、ブローカー取引」はかなり減っており、「ダイレクトディーリング(DD)」の比重が一段と大きくなっています。
為替レートの仕組み
為替レートと大きく銀行同士が取引する時の「インターバンクレート」と、銀行と企業や個人と取引する時の「顧客向け為替レート」の2つがあります。
インターバンクレート
例えば、経済関連のニュースを見ると、「12時現在、ドル円のレートは130円10-13銭」との報道を目の当たりにすることがあります。これは銀行が「円を売ってドルを買う」時に希望する平均レートが130円10銭、銀行が「ドルを売って円を買う」時に希望する平均レートが130円13銭という意味です。
顧客向け為替レート
顧客向け為替レートは、企業向け(主に大口の法人顧客)と個人向けがあります。顧客向け為替レートは、インターバンクレートに手数料がプラスされたレートです。もちろん、大口の企業むけより個人向けの手数料が高いわけです。
個人向けとして、日本では銀行が午前10時にインターバンクレートを「仲値(TTM)」として、これを基準にその日のレートを決めます。そのレートは4つあり、原則としてその日1日変更されることはありません。
・対顧客電信売相場(TTS)
外貨預金の預け入れや海外送金などで、円を外貨に換えるときに使うレートです。仲値(TTM)に1円上乗せするのが一般的です。
・対顧客電信買相場(TTB)
外貨預金、海外から送金された外貨を円に換える時に使うレートです。TTMから1円引くのが一般的です。
・現金売相場
円を外貨の現金に両替する時のレートで、TTSから2円上乗せします。
・現金買相場
外貨を円の現金に両替する時のレートで、TTBから2円引きます。
TTSとTTBは金融機関の口座における通貨の交換であり、現金の場合は別のレートが適用されます。現金は保管や運搬コストが大きくなるから、手数料がTTS・TTBより大きくなります。
ドル円の仲値(TTM)が130円の時、個人向けレート