為替市場の巨大化
為替市場はグローバル規模でますます巨大化しています。国際決済銀行(BIS)によると、最近の世界の外国為替市場での取引は過去最高に増加しています。BISの3年に1度の調査によると2022年4月の1日当たり平均取引高は7兆5000億ドルと、2019年に比べて14%増加しました。
詳細を見ると、ディーラー間の1日当たり取引高は3兆5000億ドルで、世界全体の取引高の46%を占めました。2019年の比率は38%でした。一方、ヘッジファンドや機関投資家など「他の金融機関」による取引の比率は全体の48%と、2019年の55%から低下しました。
投機筋の売買は9割以上
1日の取引高に変化があるものの、投機筋の売買が依然として取引高の9割以上を占めています。この数字からみる限り、グローバルの為替市場がいかに「投機的な市場」であるかが分かります。
・実需取引:何らかの実需が背景となっている取引。例えば、日本の原油輸入業者はドル建ての原油輸入に基づく代金を支払うために、実需規模に見合ったドル買い・円売りを行う必要があります。
・投機取引:何らかの実需の裏付けがなく、投機的な取引の性質から最終的には反対売買で決済を行う必要があります。
為替市場のこのような実態を考えると、投機勢が何を考え、どのようなスパンで材料を見極め、売買を仕掛けるのかを読むのはとても重要なことです。
投機勢、2週間以内の勝負多い
投機筋は一般的な感覚で言えば、2週間程度先までに出てくる材料やイベントに注視し、極めて短期的な範囲の材料に視線を向けるのが少なくありません。もちろん、為替市場も中長期的なファンダメンタルズの変化を重要視していないわけではなりませんが、株式市場や債券市場に比べて「短期的な材料」の影響を受けやすい面があります。
市場に出てくる材料やイベントによって為替相場が変動することを「イベント・ドリブン」と呼んでいます。投機筋はこの「イベント・ドリブン」の値動きでよく勝負を仕掛けるので、為替相場の変動は極めて速くなります。もちろん、この為替相場の変動の速さ、為替取引の勝負の早さが魅力でもあり、為替市場に参入する投機筋は後を絶たないのであります。
勿論、現在話題になっている「円キャリートレードの巻き戻し」でも分かるように、長期戦略でポジションを積み上げ、長持ちすることも少なくありません。