BOE、政策金利の据え置きを決定
イングランド銀行(英中銀、BOE)は3月20日に金融政策委員会(MPC)を開催し、8対1で政策金利を4.25%に据え置くことを決定しました。最もハト派的なディングラ氏は0.25%利下げを主張したが、前回とは異なり0.5%の利下げは求めませんでした。また、過去3回の会合で利下げを主張してきたラムズデン副総裁とテイラー委員に加え、2月に大幅な0.5%利下げを主張して市場を驚かせたマン氏も据え置きに票を投じました。
金融政策方針
BOEは、中期的なインフレ見通しの見解に基づき、金融政策の制限度合いのさらなる緩和は段階的かつ慎重なアプローチが適切となるとの見解を示しました。インフレ圧力が押し下げられると、より制限度合いを緩和した政策金利の経路が可能になるが、短期的なCPIインフレ率の上昇と関連して2次的効果が生じるなど物価と賃金圧力が持続的となれば、相対的により制限的な金融政策経路が適切としています。
BOEは、引き続きインフレの持続性のリスク、および経済の需要と供給の総合的なバランスに関して証拠が示唆することについてよく注視するとし、中期的にインフレ率の持続的な2%目標への回帰に対するリスクがさらに解消するまで、引き続き十分な期間、制限的にする必要があるとの見解を示しました。
ベイリーBOE総裁
ベイリーBOE総裁は、「現在、経済に多大な不確実性がある」と表明し、金利は徐々に低下傾向をたどるとの見方は変えていないが、政策決定会合ごとに「世界経済と国内経済の動向を非常に注意深く見ていく」と述べました。また、物価圧力が和らいでいることを示す「証拠を蓄積する必要がある」とし、「その証拠が明らかになるまで待つ必要がある」と語りました。
BOEの利下げには賃金動向が重要
BOEが追加の利下げに踏み切るには、賃金動向が重要との見方が強いですが、今週発表された11-1月平均給与(除賞与)は前年比+5.9%と伸びは9カ月ぶりの高い水準となりました。雇用も増加しており、労働者に対する底堅い需要を示しています。労働党政権の秋の予算で人件費が引き上げられた後、雇用が大幅に減少する兆候はほとんど見られませんでした。税務データによると、給与所得者は2月時点で2万1000人増加しており、同規模の減少が予想されていたにもかかわらず増加に転じています。
次回5月会合での利下げ予想が低下
BOEは昨年8月以来、四半期に1回のペースで利下げを実施しているが、トレーダーの間で、次の利下げが5月になるだろうという見方はここ数週間で後退しています。
今週のBOE会合を受けて、市場が織り込む5月の利下げ確率は50%を下回りました。また、市場の年内利下げ幅予想は0.44%(0.25%の利下げ2回未満)と、今週のBOE会合前の0.5%強から低下しました。BOEは、インフレ圧力が高まる一方で成長見通しは弱いという板挟みの状態にあり、難しい判断に迫られています。