飛行機や新幹線を利用する機会が多い人にとって、交通費の負担を抑えながら投資のメリットも得られる交通系企業の株主優待は、実用性の高い選択肢です。今回は、航空券や鉄道の利用に関連した株主優待を導入するANAとJR東日本について詳しく解説します。
ANA vs JR東日本
下記の一覧表は、ANAとJR東日本の株価、株主優待の権利確定日、株主優待内容、配当の権利確定日、配当金額、利回りの比較です。飛行機を利用する機会が多く航空券の割引を重視するならANA、鉄道をよく利用し、配当利回りや幅広い優待を重視するならJR東日本がおすすめです。

ANAホールディングス(9202)
ANAホールディングス(以下、ANA)は、日本最大の航空会社「全日本空輸(ANA)」や国内最大級のLCC「Peach」、貨物事業を担う「ANA Cargo」などを傘下に持つ企業です。
また、旅行商品やマイレージ構築、機内用品販売、航空貨物による物流などの航空関連事業も行っています。近年は、空港周辺開発などの不動産事業、研修・教育事業、ドローンや遠隔ロボットの開発など、航空以外の事業にも積極的に投資しています。
株価変動は比較的大きい傾向
2026年8月時点の株価は約3100円です。2017年に約4700円だった株価は、新型コロナウイルスの影響で、2020年には約2200円まで下落しました。航空需要の影響を受けやすく、新型コロナウイルスの感染拡大時には株価が大きく下落しました。
拡充された株主優待の内容は?
ANAの株主優待は、毎年9月末と3月末の権利確定日に、100株以上の株主に対し、保有株数に応じて贈呈されます。2026年上半期から株主優待内容が拡充されており、2026年9月末に贈呈される内容は、株主優待運賃割引、株主優待クーポンです。
また、長期保有特典として、カレンダーの贈呈および一部のダイヤモンドサービスが提供されます。保有株数および保有年数に応じて贈呈される株主優待の内容は、下記の一覧表をご確認ください。

なお、2027年3月に株主優待内容が変更される予定です。保有株数および保有年数によっては、贈呈される株主優待割引の枚数が変更となるためご注意ください。
株主優待の使い方
ANAの株主優待運賃割引は、対象となるANA国内線の航空券を予約・購入する際に利用できます。予約時に株主優待割引を選択し、株主優待番号と登録用パスワードを入力して使用します。株主優待には有効期限・搭乗期限があります。また、期限内に予約が完了していても、株主優待番号の有効期限内に搭乗する必要があるためご注意ください。
配当金と配当利回り
2027年度の配当金は、9月末の中間配当が30円、3月末の期末配当が30円で、年間1株当たり60円となる予想です。2024年度から2026年度にかけて2期連続で増配しましたが、2027年度は減配となる見込みです。
なお、1株3100円で100株購入した場合、投資金額は31万円です。配当金は年間6000円なので配当利回りは約1.9%となります。
JR東日本(9020)
JR東日本は、東北・関東・甲信越地方を中心に、東北新幹線などの新幹線路線や山手線などの在来線を保有・運営する企業です。また、駅ナカ店舗・ショッピングセンターの運営や旅行事業、広告事業、駅周辺の不動産開発・ホテル運営など、鉄道や流通、サービスに関する様々な事業を展開しています。
株価変動は比較的小さい傾向
2026年8月時点の株価は約3500円です。新型コロナウイルスの影響で2020年に約1800円まで下落しましたが、2023年頃から緩やかに上昇し始め、2025年にはコロナ以前の水準まで回復しています。
鉄道需要の回復に伴い株価も回復しており、ANAと比べると株価の変動幅は小さく推移しています。株価が比較的安定している背景には、首都圏を中心とした通勤・通学路線など、安定した需要を持つ事業基盤があると考えられます。
JR東日本の株主優待
JR東日本の株主優待は、毎年3月末の権利確定日に、100株以上の株主に対し、保有株数に応じて贈呈されます。2026年3月末の贈呈分から株主優待内容が拡充されており、贈呈される内容は、株主優待割引券、株主サービス券、人間ドック割引券です。
また、2年以上の保有で長期保有特典として、株主優待割引券が1枚追加で贈呈されます。保有株数および保有年数に応じて贈呈される株主優待の内容は、下記の一覧表をご確認ください。

株主優待の使い方
株主優待割引券は、JR東日本の営業エリア内の対象路線で利用できます。駅の指定席券売機で「株主優待」を選択して購入するか、緑の窓口で駅員に提出して紙の切符を発券します。事前にICカードに予約を紐づけることで「新幹線eチケットサービス」でも割引の適用が可能です。
配当金と配当利回り
2027年度の配当金は、9月末の中間配当が42円、3月末の期末配当が42円で、年間1株当たり84円となる予想です。2023年度から4期連続で増配となる見込みです。
なお、1株3500円で100株購入した場合、投資金額は35万円です。配当金は年間8400円なので配当利回りは約2.4%となります。
まとめ
ANAは、航空券の割引を受けられる株主優待が魅力です。飛行機を利用する機会が多い人なら、旅行や帰省などの交通費を節約しやすいでしょう。一方、JR東日本は新幹線や在来線などの利用に加え、駅ビルやホテルなどでも使える特典があり、鉄道をよく利用する人に向いています。
配当利回りはJR東日本のほうが高く、株価も比較的安定しているため、配当や安定性を重視するならJR東日本、飛行機を利用する機会が多く株主優待を活用したいならANAが候補となります。
ただし、両社とも最近になって株主優待が拡充される形に変更されたばかりです。今後も現在の内容が続くとは限らず、優待内容の改悪や制度そのものが廃止される可能性もあります。株主優待だけを目的に投資するのではなく、配当や業績、株価の水準なども確認して投資を判断することが大切です。

