日本郵政、ゆうちょ銀行の株式はともに高配当株として有名ですが、日本郵政とゆうちょ銀行の違いを知っていますか?日本郵政とゆうちょ銀行について、業務内容などの特徴や株式の内容の違いをそれぞれまとめました。
日本郵政とゆうちょ銀行の違い
日本郵政は郵政民営化により誕生した、いわゆる郵便局と呼ばれる郵便配達などの物流や郵便局窓口業務を行う「日本郵便」、貯金などの銀行業を行う「ゆうちょ銀行」、生命保険などを取り扱う「かんぽ生命」の3つのグループ会社を束ねる親会社です。
また、グループ会社が行う郵便・貯金・保険の他にも、病院や宿泊施設の運営、建築設計や不動産売買などの建築事務所、博物館や資料館の設立なども行っています。
グループ会社の1つであるゆうちょ銀行は、全国に約2万4000局あり、貯金の他にも、送金や支払い、給料や年金の受け取り、iDeCoやつみたてNISAなどの資産運用、ローンなどの手続きを行うことができます。
「近所の郵便局でも貯金できるけど?」と思い調べてみたところ、ゆうちょ銀行とかんぽ生命は日本郵便に業務を委託しているので、郵便局でも貯金や保険の相談が可能とのことです。日本郵政の売り上げには、ゆうちょ銀行やかんぽ生命からの業務委託費が含まれています。
日本郵政(6178)
2023年1月現在の株価は約1100円です。価格変動は比較的小さいので、株価変動による利益はあまり期待できません。2015年に上場した際は約2000円近い高値が付きましたが、2020年には700円台まで下落しました。
2020年に株価が下落した大きな原因として予想されることは、2019年に発覚したかんぽ生命の不適切契約です。現在は徐々に信頼を回復し、株価は上昇傾向にあります。しかし、日本郵政の株式保有者を見ると、約3割が政府の保有です。
政府が保有する株式は、財政困難に陥ったときに財源を確保するために大量に売却される場合があり、大量に売却された株式は市場価値が下がるので株価が暴落するリスクがあります。今後も株価が急落する可能性を視野に入れて投資することが必要です。
日本郵政の配当
日本郵政の決算時期は3月末です。3月の決算時と、中間配当がある場合は9月にも配当金を受け取ることができます。2022年度の配当金は、4年連続となる年間1株当たり50円の実績で、2023年度も同額となる予想です。
例えば1株1100円で100株購入した場合、投資金額は11万円で配当金は5000円となり、配当金による利回りは約4.55%とかなりの高配当です。なお、日本郵政の株式には株主優待制度はありません。
ゆうちょ銀行(7182)
日本郵政と同じく、2023年1月現在の株価は約1100円です。上場時の2015年が最も株価が高く、2020年に大幅下落した点は日本郵政と同じですが、日本郵政よりも1年間のうちに起こる株価変動が、やや大きい傾向にあります。
2019年に発覚したかんぽ生命の不適切契約により日本郵政の株価は暴落したと予想されますが、かんぽ生命と直接関係のないゆうちょ銀行も、日本郵政ほどではなくても大きく影響を受けて長期間株価が低迷しました。
日本郵政の株式は政府が大量に保有しているため下落のリスクがあるとご紹介しましたが、ゆうちょ銀行の株式保有者は約9割近くが親会社である日本郵政です。さらに日本郵政は、2025年までに保有数を約5割以下にすると発表しているため、数年以内に大量に売却され株価が下がる可能性があります。
ゆうちょ銀行の株主優待
ゆうちょ銀行には株主優待制度があります。株主優待の内容は変更になる可能性がありますが、現在のところ3月末の株主名簿に500株以上保有者として記載された株主に対し、約3000円相当のカタログギフトが贈呈されます。
カタログギフトは毎年6月下旬頃に発送され、12月末までに希望商品を申し込むことが必要です。申し込み期限が過ぎてしまった場合や、希望する場合は、約3000円相当分が社会貢献活動へ寄附されます。
ゆうちょ銀行の配当
日本郵政の決算時期は3月末です。3月の決算時と、中間配当がある場合は9月にも配当金を受け取ることができます。2022年度の配当金は、2年連続年間1株当たり50円の実績で、2023年度も同額となる予想です。
例えば1株1100円で100株購入した場合、投資金額は11万円で配当金は5000円となり、配当金による利回りは約4.55%です。100株購入の場合は、株主優待制度は受けられません。
株主優待制度がもらえる500株を同じ条件で購入した場合、投資資金は55万円で配当金は25000円、株主優待が約3000円相当なので年間の利益は約28000円となります。配当金と株主優待による利回りは約5.1%です。
まとめ
日本郵政とゆうちょ銀行の株式は、どちらも利回りが4.5%を超えるかなりの高配当株です。倒産リスクは低いですが、日本郵政は政府が大量に保有している点、ゆうちょ銀行は日本郵政が保有している株式を売却する計画がある点から、今後株価が現在よりも下がるリスクを含んでいることを理解し、投資先として検討してみてください。