今回は4月から法整備によって引き起こされる物流問題を抱えた「セイノーホールディングス」と「遠州トラック」について紹介していこうと思います。
両銘柄ともに高配当を維持していますが、今期は業績はどうなるの見込みなのか解説していますので、参考にしていただければと思います。
セイノーホールディングス(9076)
セイノーホールディングスは、輸送事業、自動車販売、物品販売、不動産賃貸を中心に事業を展開する会社です。岐阜県大垣市に本社を置き、通常の保管・在庫管理・出荷業務に加えて、顧客の製造・流通工程に関連する様々なサービスを提供しています。
業界トップクラスの物流インフラと高い自社便率を持っており、主に企業間物流に注力しており、長距離路線トラックの業界パイオニアである西濃運輸を中心に、顧客ニーズに応じた最適なサービスを提供している企業になります。
セイノーホールディングスの2024年1月現在の株価は約2100円となっています。前期の同時期は1100円台で推移していましたが、6月頃から株価は急伸しています。
今期の売上高目標は6381億円と前期の実績より約66億円を上回る計画がなされています。直近の上期(4-9月)の発表では、経常利益は前年同期比27.1%減の122億円の減益となっていました。更に下期(10-3月期)でも経常利益は前年同期比8.2%減の146億円に減益となる見込みになっています。
セイノーホールディングスの株主優待
株主優待がもらえる権利確定月は3月の年1回になっています。100株以上を保有している株主に対して、セイノーショッピングの割引クーポンが贈呈されます。
100株以上3年未満保有の場合は700円相当が付与され、3年以上保有の場合は1200円相当の付与となります。1000株以上の保有区分でも内容が変わってくるので、詳しくは以下のイラストをご参考ください。
セイノーホールディングスの利回り
配当は3月と9月の年2回実施され、前期の年間配当は56円となっていました。そして今期の年間配当は95円が見込まれています。実現すれば前期から39円の増配、3期連続増配となります。
例えば1株2100円で100株購入した場合、投資金額は約21万円が必要となり、年間で受け取れる配当金は9500円になるので、配当金利回りは約4.5%となります。また100株保有した株主優待を含めた総利回りは、約4.9%になります。
セイノーホールディングスの将来性は?
セイノーホールディングスは、2024年の物流問題を見据え、2023年4月1日よりグループの輸送中核会社3社と統合し、新しい西濃運輸をスタートさせました。
この統合により、車両の運行効率化や運行コストの低減、ドライバーの運行負荷軽減などが図られています。さらに、幹線ネットワークの強化を行い、中枢都市にハブ拠点を設置するなど、国内物流の基盤強化に向けた取り組みが行われています。
また業界全体の厳しい環境下の中で、今期売上は増収見込みとなり、健全な成長性を示しています。今後もさらなる業務効率化、新しい物流ネットワークの構築は避けられませんが、将来性が期待される企業であると言える印象です。
遠州トラック(9057)
遠州トラック株式会社は、静岡県を拠点に置く総合物流企業で、1965年に設立されました。一般貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業、倉庫事業、不動産事業を行い、住友倉庫グループの一員で、500台のトラックと120棟の倉庫を所有し、3PL、共同配送サービスなどに取り組んでいます。
強みとしては、自社車両の多さ、全国に配車センターを24時間体制で運営する効率的な管理、ドライバー教育の充実、自社整備工場の完備、IT投資による作業効率化などが挙げられます。またネット通販大手アマゾンから宅配業務を受託していることでも知られています。
特に三大都市圏にアクセスしやすい場所に100棟以上の物流倉庫を保有し、高品質で付加価値の高いサービスを提供することを目指している企業です。
遠州トラックの2024年1月現在の株価は、約2400円となっています。前期の同時期も2400円台で推移していましたので、同水準となっています。
通期の売上目標は前期より約22億円低い470億円になっています。4月から9月までの第2四半期(上期)の経常利益は、前年同期比19.6%減の12億円に減り、従来予想の15億円を下回る減益となりました。下期(10-3月)の経常利益も前年同期比23%減の13億円の減益になる見込みとなります。
遠州トラックの株主優待
株主優待は変更される可能性がありますが、2024年1月現在、権利確定月は3月の年1回です。500株以上保有している株主に対してQUOカードや静岡特産品、「ふくろい遠州の花火」の鑑賞券などが贈呈されます。
保有区分に応じて内容が変わっていますので、詳しくは以下のイラストをご参考ください。
遠州トラックの利回り
配当は3月と9月の年2回実施され、前期の年間配当は94円となっていました。そして今期も同額の年間配当94円の予定となっています。
例えば1株2400円で100株購入した場合、投資資金は約24万円が必要となり、年間で受け取れる配当金は9400円になります。配当金だけの利回りは約3.9%となっています。また500 株を1年以上保有した場合の株主優待を含めると、約4.1%となります。
遠州トラックは最悪の評判なのか?
遠州トラックに関する評判や口コミを調べたところ、退職金制度や持株制度などがあるとされていますが、住宅補助や寮の提供がない福利厚生になっているようです。
オフィス環境に関しては、共有スペースや休憩場所がないという声もあり、一部の社員は事務所の環境に不満を持っているようです。
勤務時間や休日休暇については、年間休日は平均的であるものの営業所や倉庫によって多少のばらつきがあり、取得しにくいという評判も目にします。また残業時間が一定を超えると時間が削減されるという口コミもありました。
ただ職場の雰囲気は、全体としてはマイペースで働くことが可能で、上司や同僚とのコミュニケーションは比較的取りやすい環境という評価も見られます。
まとめ
今回は2024年の物流問題に直面している高配当銘柄「セイノーホールディングス」と「遠州トラック」について解説しましたが、いかがだったでしょうか?
4月からの施行でトラックドライバーの時間外労働時間の上限が年間960時間に制限されてしまいます。労働環境の条件が変更されることで、さらなるドライバー不足の問題が出てくるかもしれません。現在は両銘柄ともに、4%を超える高配当なだけに、今後の物流問題がどの様に業績に影響するのか、見守る必要があるかもしれません。