ホンダや日産など大手自動車メーカーの子会社や関連会社は、「ホンダ系メーカー」、「日産系メーカー」などと呼ばれます。今回はホンダ系メーカー「FCC」と日産系メーカー「タチエス」について、配当利回りや株主優待など詳しく解説します。
ホンダ系メーカー「エフ・シー・シー(7296)」
エフ・シー・シー(以下、FCC)は、ホンダやスズキが販売するバイクや自動車に使われるクラッチの製造販売で世界的に高いシェアを誇る企業です。また、電気自動車や自動車関連の新技術「CASE」に関する開発や製造なども行っています。
2024年度の売上高は約2400億円、経常利益は約192億円の実績でした。2025年度は売上高は約2430億円へとやや増収となる予想ですが、経常利益は約180億円とやや減益となる予想です。
FCCの株価
2025年2月時点の株価は約3000円です。比較的株価変動が大きく、過去20年間で約700円から約3500円の間で株価が推移しており、大きな変動波も多数発生しています。
2018年に約3500円の高値を記録しましたが、2022年には約1300円まで下落しました。その後は小さな変動を繰り返しながらも右肩上がりの上昇が続いています。
FCCは株主優待でお茶とみかんがもらえる!
FCCの株主優待は、毎年9月末と3月末の権利確定日に、200株以上の株式を1年以上継続して保有する株主に対して、一律で贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、FCCが本社を構える静岡県の地元特産品です。
贈呈される地元特産品の内容を選択することはできません。毎年、3月末の権利確定日には「新茶」が、9月末の権利確定日には「三ヶ日みかん」がそれぞれ贈呈されています。
FCCの配当と配当性向の実績
2025年度の配当金は、9月末の中間配当で101円、3月末の期末配当で101円の、年間1株当たり202円となる予想です。この金額は、2021年度の40円、2022年度の52円、2023年度の56円、2024年度の74円から4期連続で増配となっています。
今期の配当金が昨年までと比較し大幅に増配されている理由は、上場20周年の記念配当が年間1株当たり126円が含まれているからです。
配当性向の推移は、2021年度が約45%、2022年度が約30%、2023年度が約29%、2024年度が約30%の実績でした。配当性向が約30%前後の年が多く、安定した配当が行われていることが分かります。
FCCの配当利回り
1株3000円で100株購入した場合、投資金額は30万円になります。配当金額は年間1株当たり202円のため20200円となり、配当利回りは約6.7%です。
なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2021年度は約2.2%、2022年度は約3.3%、2023年度は約4.0%、2024年度は約4.0%でした。今年の配当利回りは記念配当の影響もあり、大幅に高くなっていますが、2023年以降の利回りは約4%前後の高配当が継続しています。
日産系メーカー「タチエス(7239)」
タチエスは、自動車座席シートおよび座席シートの機構部品・表面カバーを製造・販売する企業です。また、座席シートに関する技術開発や安全性・耐久性試験、社内空間や快適性の改善研究なども行っています。
タチエスは、以前は日産系メーカーでしたが、2025年時点では、ホンダや日産、三菱、トヨタ、日野など、様々な自動車メーカー向けの商品を展開する「独立系メーカー」です。
2024年度の売上高は約2900億円、経常利益は約88億円の実績でした。2025年度は売上高が約2800億円、経常利益が約58億円と、どちらも減収・減益となる予想です。
タチエスの株価
2025年2月時点の株価は約1800円です。FCCと同様、過去20年間で約430円から約2200円まで大きく変動しており、比較的株価変動が大きい特徴が見られます。
2020年に約800円まで下落して以降、小さな変動は発生していたものの、2022年まで約2年ほど、約1000円前後でゆるやかに推移していました。2023年に入って以降は、再び右肩上がりに上昇しており、変動幅の大きさが見られるようになっています。
タチエスは株主優待廃止
タチエスの株主優待は、2025年2月時点で導入されていません。以前は導入されていましたが、配当金の充実による株主還元を行うため、2021年3月末の権利確定日を最後に、株主優待制度は廃止されました。
タチエスの配当と配当性向の推移
2025年度の配当金は、9月末の中間配当にて51.9円、3月末の期末配当にて51.9円の、年間1株当たり103.8円となる予想です。この金額は、2021年度の6.5円、2022年度の63.6円、2023年度の73.6円、2024年度の92.8円から4期連続で増配となっています。
配当性向の推移は、2021年度が約2%のマイナス、2022年度が約106%のマイナス、2023年度が約43%、2024年度が約59%の実績でした。2021年度と2022年度は赤字だったにも関わらず配当金を出しているため、配当性向がマイナスとなっています。
タチエスの配当利回り
1株1800円で100株購入した場合、投資金額は18万円になります。配当金額は年間1株当たり103.8円のため10380円となり、配当利回りは約5.8%です。
なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2021年度は約0.6%、2022年度は約5.0%、2023年度は約6.5%、2024年度は約5.6%でした。株主優待が廃止された2022年度以降の配当利回りは、毎年5%を超える高利回りが継続しています。
まとめ
「FCC」と「タチエス」についてご紹介しました。
どちらも高配当銘柄ですが、年2回の株主優待が贈呈される「FCC」と株主優待を廃止して安定した高配当を実現している「タチエス」には、それぞれのメリットがあります。この記事が、それぞれの特徴を理解し、投資判断の参考になれば幸いです。