皆さんは日本のメガバンクを利用することはありますでしょうか?合併を繰り返して現在の姿に至る三大メガバンクは「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」「みずほ銀行」は周知の通りかと思います。今回はその中から、2銘柄が長期保有に向いているのかについて、解説していこうと思います。
三井住友フィナンシャルグループ(8316)
株式会社三井住友フィナンシャルグループ(以後、三井住友FG)は、三井住友銀行などを子会社に持つグループの中心的な存在です。元々は三井財閥から発祥した銀行になりますが、ルーツは三井氏が越後屋という名の酒や味噌販売を行っており、後に呉服屋を営むことにあります。これを「越後屋三井呉服店」と言い、略して「三越」が創業されました。
一方、住友銀行のルーツである住友財閥は、大阪を中心に銅銀商を営み、水運に恵まれた土地から「泉屋」と屋号で活動していました。現代でも「泉」という文字を大切にする住友グループには、子会社に「銀泉株式会社」という名残りのある企業も活動しています。
2つの銀行の強みを組み合わせて、より大規模で競争力のある銀行を形成することを目指し2001年に、三井住友銀行として合併し、三井住友FGに至ります。
2023年6月現在の株価は約6000円になっています。2022年10月頃は4200円台でしたが、昨年末より急騰し、年初の5000円台半ばから現在に至るまで約20%の株価上昇をみせています。過去3年間の株価推移をみても大きな変動はありませんでしたが、 昨年末からは大きな上昇の動きを見せています。
三井住友FGの株主優待
2023年6月現在、残念ながら株主優待制度は行われていません。
三井住友FGの利回り
配当金がもらえる基準日は3月と9月の年2回です。前期の2022年には9月の中間配当は115円、3月の期末配当は125円で年間250円となっていました。そして、今期の中間配当も125円と予想されており、期末配当も同様で、年間配当は250円になる見込みです。
例えば1株6000円で100株購入した場合、投資資金は60万円ほど必要となり年間で受け取れる配当金は25000円になり、配当金の利回りは約4.2%になります。株価が急騰しているため、利回りの数値は低下する傾向にありますが、それでも4%を超えた数字はかなり高配当の水準になります。
三井住友FGの配当権利確定日はいつ?
権利確定日は中間配当金の場合は9月30日、期末は3月31日になっているため、権利確定日を含めて3営業日前に購入していれば受け取ることができます。今期のそれぞれの3営業日前は週末の関係で、中間は「2023年9月27日」、期末は「2024年3月27日」となり、この日までに購入が必要となります。
三井住友FGの将来性
前期の売上高は6.1兆円と堅実な業績を続けています。三井住友FGは減配せず、配当維持か増配を行う方針(累進的配当)を表明しており、前期3月期の期末で10円の増額し、今期も連続増配の見込みとなっています。
ただ前期の売上高が好調だった分、今期が同等になるかどうかの見通しはたっていません。三井住友FGの海外市場への幅広い事業展開は、国内事業の変動に対するリスク分散や、更なる成長機会を得ていますが、2023年時点のアメリカ経済の底堅さに支えられている面が大きくなっています。
一部、世界的な景気後退が懸念されている中で、ある程度のマイナス要因を持ち合わせている可能性も見越しておいた方がいいかもしれません。また日本の金利政策などの影響を受けやすい業種であることも、留意しておいた方がいいでしょう。
配当利回りの高さはとても魅力的ですが、最低の投資金額が60万円(2023年6月時点)と、比較的高額な資金準備が必要になるので、計画的な資金計画を元に長期保有を検討してみてはいかがでしょうか?
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(以後、三菱UFJFG)は、日本の大手金融グループであり、その中核を担っているのが三菱UFJ銀行です。幕末の江戸時代に岩崎彌太郎が設立した様々な事業の一つが銀行でした。
一方、東京銀行は日本の近代化に伴う為替業務の分野で中心的な存在で、1996年に両行は合併し、東京三菱銀行として活動していました。
UFJ銀行の一つの起源となる三和銀行は、関西を中心に活動しその後全国的な拡大を果たしていました。東海銀行は、1941年に名古屋の商工業者によって設立され、トヨタのメインバンクになっていました。その後、2002年に両行が合併し、UFJ銀行が誕生しました。
そして2005年に、三菱東京フィナンシャルグループとUFJホールディングスが経営統合し、現在の三菱UFJ銀行が誕生しました。グループ内には三菱UFJ信託銀行や三菱UFJモルガン・スタンレー証券なども含まれ、一連の金融サービスを提供しています。
2023年6月現在の株価は約1010円となっています。昨年は700円台を推移していましたが、年末にかけて急騰し現在に至ります。過去10年間の株価の中でも、高い水準に位置しています。
三菱UFJFGの株主優待
2023年6月現在、残念ながら株主優待制度は行われていません。2017年12月末で株主優待制度は廃止されました。
三菱UFJFGの利回り
配当金がもらえる基準日は3月と9月の年2回です。前期の2022年には9月と3月ともに16円で、年間配当は32円となっていました。そして、今期の中間配当は20.5円と予想されており、期末配当も同様で年間41円になる見込みです。
例えば1株1010円で100株購入した場合、投資資金は10.1万円ほど必要となり、年間で受け取れる配当金は4100円になります。配当金の利回りは約4.1%となります。現在の株価が高い推移を見せているので、利回りの数値は低下しますが、こちらも4%を超えており高配当となっています。
三菱UFJFGの株価はなぜ安いのか?
同じ金融株でも、三井住友FGと比べて三菱UFJの株価は安くなっています。これは発行株式数が多いため1株あたりの価格が下がっているからで、他と比べて価値が低いという訳ではありません。流通量も多く、株価が安いことで、私達のような個人でも手を出しやすくなっています。
三菱UFJFGの将来性
前期の売上高は9.2兆円と、三井住友FGと同様に堅実な業績を続けています。更に今期の最終利益は前期から16%以上高い1.3兆円に拡大する見込みで、過去最高益を更新する見通しとなっています。
ただし、三菱UFJFGの海外事業への展開も三井住友FGと同じことが言えますが、世界的な景気後退の懸念と、日本の金融政策に左右される面がありますので、その点は注意が必要かと思います。
とは言え、業界最大手で将来に渡る比較的安定した業績、そして連続増配と配当利回りの高水準は、長期保有には大いに評価できるポイントかと思います。何より10万円前後から投資対象になるのは、大きな魅力です。銀行株を持ちたい方には真っ先に候補になる銘柄になるかと思います。
まとめ
今回は大手銀行を持つグループ銘柄の2つを紹介しましたが、いかがだったでしょうか?両者ともに高い配当水準を持っている点は長期保有に欠かせない要素かと思います。ただ日本経済や海外市場に密接に連動する面がありますので、日頃のニュースを確認しながら検討してみるのもいいかもしれませんね。