私たちの生活では馴染みはなくても、業界内の高いシェア維持だけでなく、海外へも展開し信頼性が高い高品質の製品を提供している優良企業が日本にはたくさんあります。今回はそんな中から工業製品の中でも比較的ニッチな分野でトップシェアを誇る「ニチリン」と「キッツ」について解説していこうと思います。両銘柄とも高配当だけでなく、株主優待もついていますので、ぜひご参考ください。
ニチリン(5184)
株式会社ニチリンは、自動車、バイク、住宅関連のホースや配管部品を専門に製造・販売する会社です。100年以上の歴史を持っており、中国・アジア・北米・欧州など8カ国で生産拠点を展開しています。ニチリンの経営理念は「信頼と喜びの行動で21世紀社会に貢献する」というもので、国内外の自動車メーカーからの信頼が厚く、多くの製品でトップクラスのシェアを誇っています。
特に、自動車用ホースを製造できる国内唯一のメーカーとして、また二輪車用ブレーキホースでは日本国内でほぼ100%のシェアを有しています。世界13拠点を構えるグローバルネットワークを通じて、独自の技術力と研究開発力で現地での顧客のニーズに柔軟に対応している会社です。
ニチリンの2023年11月現在の株価は、約3200円となっています。今年の年初は1700円台でしたが、通年を通して株価は上昇している状況です。
業績は1月から9月の連結経常利益は79.7億円となっています。前年同期は62.6億円だったので、27.4%伸ばしています。この業績から今期の年間配当を計画の104円から142円へ大きく増配することを発表しています。
ニチリンの株主優待
株主優待がもらえる権利確定月は12月の年1回になっています。保有期間が1年以上の株主に対して、保有数に応じてオリジナルQUOカードが贈呈されます。100株を1年以上保有している場合は1000円相当で、3年以上保有していると3000円相当になります。
保有区分に応じてQUOカードの額面は変わってくるため、以下のイラストをご参照ください。
ニチリンの株主優待はいつ届く?
ニチリンの株主優待は、確定月12月の翌年の3月下旬に届く予定となっています。株主総会決議の通知書と一緒に送られてきます。
ニチリンの株主優待は改悪された?変更について
以前のニチリンの株主優待制度では、100株以上保有する株主に、保有株数に応じて「QUOカード」が贈呈されていました。保有期間は3年未満と3年以上で、1年未満でも1000円相当の特典を受けられます。
しかし、2022年12月末から今の条件に変更され「QUOカード」を受け取るためには1年以上の継続保有が必要となっています。
ニチリンの利回り
配当金がもらえる権利月は6月と12月の年2回です。今期6月の中間配当は52円の実績でした。期末は90円の見込みで年間配当142円の予定となっています(従来計画では104円)。予想通りに実施されると3期連続増配となります。
例えば1株3200円で100株購入した場合、投資金額は約32万円が必要となり、年間で受け取れる配当金は14200円になるので、配当金利回りは約4.4%となります。また100株以上を1年以上保有した場合の株主優待は1000円相当分のQUOカードが贈呈されるため、総利回りは約4.8%となります。
キッツ(6498)
株式会社キッツは、1951年に創業された千葉県を本拠地とする総合バルブメーカーです。主にバルブ、継手、浄水器、工業フィルターの製造・販売を行なっており、石油、化学、エネルギー、環境など多岐にわたる産業や生活インフラの製品を供給しています。
業界内では高品質な「KITZ」ブランドで知られており、一貫生産体制で、安全性、耐久性、信頼性を兼ね備えた機器の製造している会社になります。また、持続可能な生産プロセスと環境に配慮した製品開発にも注力しています。
キッツの2023年11月現在の株価は、約1110円となっています。年初は700円台で推移していましたが、右肩上がりで株価を伸ばしている状況です。
業績の面では直近の1月から9月の連結経常利益は115億円になることが発表されました。これは前年同期と比べて約20.6億円の増益になっています。
キッツの株主優待
株主優待は変更される可能性がありますが、2023年11月現在、権利確定月は6月と12月の年2回です。6月は新規の株主のみですが、1000株以上保有していると、「北澤美術館 ガラス工芸カレンダー」が贈呈されます。また12月の優待は2種類あり、1つ目は100株以上保有の株主に対して、「家庭用浄水器やカートリッジの割引券」「提携ホテルの宿泊割引券や入浴割引券」「北澤美術館の招待券や施設内で使用できる10%割引券」など様々な特典があります。
更に、1000株以上を保有する株主に対しては、保有数に応じてオリジナルQUOカードも贈呈される内容となっています。保有数の区分で、受け取れる相当額が変わってきますので、詳しくは以下のイラストをご参照ください。
キッツの株主優待はいつ届く?
キッツの6月の株主優待(新規株主のみのカレンダー)の12月上旬に届く予定です。また12月の株主優待は、翌年3月下旬に贈られる予定となっていますが、カレンダーについては翌年の12月上旬に到着しますので、ご注意ください。
キッツの利回り
配当金がもらえる権利月は6月と12月の年2回です。前期では年間配当33円の実績でした。そして今期は6月の中間配は18円の実績となり、年間配当で37円が見込まれています。今期の業績の好調から4円の増配となり、実現すれば3期連続増配となります。
例えば1株1110円で100株購入した場合、投資資金は約11.1万円ほど必要となり、年間で受け取れる配当金は3700円になります。配当金だけの利回りは約3.3%となっています。また1000株を保有した場合の1000円相当分のQUOカードだけの優待を合わせると、総利回りは約3.4%となります。
まとめ
今回は日本の工業系製品を取り扱う「ニチリン」と「キッツ」について解説しましたが、いかがだったでしょうか?両銘柄ともに業績が好調で、増配の見込みとなっています。また「ニチリン」は配当金利回りは約4.4%と高い水準となっており、「キッツ」は4%を切るものの来期以降も連続増配が期待できる銘柄です。
こういった私たちの生活にあまり馴染みはないかもしれませんが、日本の隠れた優良企業に注目してみるのもいかがでしょうか?