投資家にとって利回りと株主優待は大きな楽しみですが、調べていくと総利回り5%を超える銘柄も時々目にします。今回は今期増配見込みで、5%前後で推移する銘柄の「ローランド ディー.ジー.」と「アウトソーシング」を紹介していこうと思います。
ローランド ディー. ジー.(6789)
ローランド ディー.ジー.株式会社(ローランドDG)は、静岡県浜松市に本社を構えるコンピュータ周辺機器の製造・販売を行う企業です。デジタル機器の開発に特化しており、主に業務用インクジェットプリンター、3D切削加工機、デジタル彫刻機、3Dプリンター、歯科用ミリングマシン、カッティングマシンなどを製造・販売しています。
また世界200以上の国と地域で事業を展開し、売上の約90%を海外市場から上げているグローバル企業となり、広告・看板用インクジェットプリンターでは、世界的に高いシェアを持っています。
ローランド ディー.ジー.株式会社の特徴は、高品質かつ高効率を両立する独自の生産方式「D-Shop」の採用、市場開拓型の製品開発、用途別製品開発、そしてソフトウェアやインクなどのサプライ品の充実が挙げられます。これらの強みを活かし、デジタル機器をフル活用した生産方式で、イノベーションを推進している企業になります。
ローランド ディー.ジー.の2023年11月現在の株価は、約3500円となっています。前期決算後の1月頃は2700円台の株価を付けていましたが、12月の決算に向かって順調に伸ばしてきている状況です。
ローランド ディー.ジー.の株主優待
株主優待がもらえる権利確定月は12月の年1回になっています。100株以上を保有し、かつ保有期間1年以上の株主に対して3000円相当の世界各地の名産品カタログギフトが贈呈されます。また1年以上を300株以上保有する株主に対しては5000円相当になっています。
ローランド ディー.ジー.の株主優待はいつ届く?
確定月12月の翌年3月中旬頃にカタログが届く予定となっています。また選択した商品の到着は、早ければ3月下旬の予定となっています。選択されるタイミングや商品によっても変わってきますのでご注意ください。
ローランド ディー.ジー.の利回り
配当金がもらえる権利月は6月と12月の年2回です。今期6月の中間配当は55円の実績でした。期末も100円で年間配当155円の見込みとなっています。前年の年間配当が130円だったため、今期は25円の増配の予定となっています。
例えば1株3500円で100株購入した場合、投資金額は約35万円が必要となり年間で受け取れる配当金は15500円になるので、配当金利回りは約4.4%となります。また100株を1年以上保有した場合は、3000円相当額の優待を受けられるので、総利回りは約5.3%と非常に高い数字になっています。
ローランド ディー.ジーの将来性はどうなの?
製品の面を確認すると、技術開発を外部に依存している面が強く、競合他社に比べた新製品開発の遅れなどが指摘されています。また直近の業績状況を確認すると、通期連結経常利益の予想を70億円から60億円へと下方修正したことが発表されています。前期の61.2億円から比べてみると約14.3%の減少であり、結果として2.1%の利益減となる見込みです。
しかしながら売上高は増収予定となり、経常利益の面は減益ですが純利益は増益の見込みとなっています。また配当もプラス25円の増配の予定ですので、実現すれば3期連続増配になります。商品の面で一部ネガティブな要素もありますが投資先としての将来性の魅力が伴った企業の印象です。
アウトソーシング(2427)
株式会社アウトソーシングは、製造業界に特化した人材派遣サービスの会社です。国内の大手メーカーを中心に、製造、サービス、技術面での豊富な求人案件を取り扱っており、製造業の雇用に精通したスタッフが数多く在籍しています。
主な特徴は、経験豊富な人材の派遣、人件費削減や製造品質の向上などのコスト管理のマネージメント力が挙げられます。依頼する製造会社側も、求められるスキルを持つ人材を早急に確保でき、コア業務に集中できる環境の実現が可能になります。
また、子会社の株式会社アウトソーシングテクノロジーでは、IT、機械、電子、電機、ソフトウェア分野の技術者派遣や開発請負等の事業を展開しています。グループのシナジーを活用し、多様な業界へ専門スキルの提供を行っている企業になります。
アウトソーシングの2023年11月現在の株価は、約1150円となっています。7月までは1400円まで株価は上昇していましたが、8月に入り急落し現在に至る状況です。
これは子会社のアウトソーシングテクノロジーにて、雇用調整助成金の申請手続きに不備があったことが判明したため、外部調査委員会を設立するという発表が行われました。これにより、市場は先行きが不透明とされ、親会社のアウトソーシングの株価が売られたため下落した形となります。
アウトソーシングの株主優待
株主優待は変更される可能性がありますが、2023年11月現在、権利確定月は12月の年1回です。100株以上を保有している株主に対して、オリジナルQUOカード1000円相当分が贈呈されます。500株以上の場合は2000円相当分になり、5000株以上などでも内容が異なってきますので、詳しくは以下のイラストをご参照ください。
アウトソーシングの株主優待はいつ届く?
オリジナルQUOカードの到着は、確定月12月の翌年3月末の発送予定となっています。住所変更など行なっている場合は、速やかに手続きを行うようにしましょう。
アウトソーシングの利回り
配当金がもらえる権利月は12月の年1回です。前期では年間配当54円の実績でした。そして今期は年間配当43円が見込まれています。前々期が31円で前期は減配していましたが、実現すれば今期は直近数年間でも一番高い配当の見込みとなります。
例えば1株1150円で100株購入した場合、投資資金は約11.5万円ほど必要となり、年間で受け取れる配当金は4300円になります。配当金だけの利回りは約3.7%となっています。また100株を保有した場合の1000円相当分の優待を合わせると、総利回りは約4.6%となります。
まとめ
今回は増配予定の「ローランド ディー.ジー.」と「アウトソーシング」について解説しましたが、いかがだったでしょうか?「ローランド ディー.ジー.」は製品開発の点でネガティブな評価があるものの、売上高は増収予定で配当も増配の予定となり実現すれば3期連続増配になります。
一方、「アウトソーシング」は子会社のアウトソーシングテクノロジーで、雇用調整助成金の申請手続きに不備があり株価が急落しました。しかしながら業績は堅調でQ4(10月から12月)の連結最終利益は前年同期比2.6倍の110億円に着地する予定となり、こちらも増配予定となります。
株主優待と共に、増配にも期待した投資を検討してみてはいかがでしょうか?