皆さんは、どういう基準で長期保有銘柄を検討しますか?株主優待や配当金等の株主還元を重視する方や、企業の成長を期待して投資する方等、人それぞれ様々な視点で選択されるかと思います。今回は、どの視点から選ぶ人にも参考になるように「日本ガイシ」と「沖縄セルラー電話」が長期保有に向いているかどうかを検証していきたいと思います。
日本ガイシ(5333)
日本ガイシ(日本碍子株式会社)は、世界トップのセラミックスメーカー会社です。エネルギーインフラ事業、セラミックス事業、エレクトロニクス事業、プロセステクノロジー事業といった4つの事業で成り立っています。日経平均株価構成銘柄の一つでもあり、大容量、コンパクト、長寿命が特徴のNAS電池を世界で初めて実用化させた会社でもあります。脱炭素時代を乗り越えて先導できるものとしてNAS電池の市場を盛り上げていこうとしています。
2023年8月現在の株価は約1860円になっています。1年間の株価の推移を見てみると、1600円台から2000円台を行き来している様子で、変動はそれなりに激しい印象です。半導体製品製造用製品の販売不振やエネルギー価格高騰、業績の下方修正等の理由で下落することがありました。直近ではリコーとの合弁会社の仮想発電所システム構築開始のニュースが材料になり上昇することもありました。
日本ガイシの利回り
配当金がもらえる基準日は3月と9月の年2回です。2024年の配当予想は、9月の中間配当は25円、3月の期末配当も25円で年間50円となっています。前期は、年間66円なので減配される予想です。2022年と2023年は増配が続いたので、今後も業績によっては増配が期待できるかもしれません。
例えば1株1860円で100株購入した場合、投資資金は18.6万円ほど必要となり年間で受け取れる配当金は5000円になり、配当利回りは約2.68%になります。2023年8月23日のプライム全銘柄平均配当利回りの予想は約2.25%なので、平均よりは高い配当利回りだと言えます。また株主優待はありません。
日本ガイシの将来性
日本ガイシは、排ガス浄化用セラミックスが売上高の主力になっていますが、電気自動車の普及によって需要が減ることが見込まれています。現時点では、将来性が厳しい様子になっていますが、脱炭素に向けて力を向けており、近年ではリコーと合弁会社を設立しました。
日本ガイシがNAS電池やZNB電池の技術とリコーが保有する再エネ流通プラットフォームを組み合わせた事業を検討し、仮想発電所システムの開発を始める等しています。新事業で先が明るくなる可能性もあるので、様子を見ながら投資するのも良いかもしれません。
沖縄セルラー電話(9436)
沖縄セルラー電話株式会社は、沖縄で携帯電話事業を営む会社でKDDIの連結子会社です。auブランドをメインにpovo等のサブブランドも展開しています。沖縄県内の地域のWi-Fi整備事業や植物コンテナ整備事業等、地域連携にも力を入れています。
2023年8月現在の株価は約3060円になっています。1年間の株価の推移を見てみると、最安値と最高値の差が約700円程度と大きいですが、乱高下している印象は無く、最安値2481円を底値に最高値3240円まで緩やかに上昇していきました。最高値を記録して以降は、多少上下しながらも3000円前後をキープしています。
沖縄セルラー電話の株主優待
株主優待の内容は変更される可能性もありますが、3月の年1回の権利確定月になっています。厳選された沖縄グルメ品、全国各地のグルメ品から好きな商品を1点選べる株主優待カタログギフトが保有株数によって、贈呈されます。詳しくは下記のイラストをご覧ください。
株主優待利用時の注意点
カタログが届いてから約3か月後に申込期限があり、期限を過ぎてしまうと申し込めないので期限内にお申し込み下さい。申込完了した商品は変更不可なので、変更の無いように慎重に選びましょう。海外への商品発送は不可です。
沖縄セルラー電話の利回り
配当金がもらえる基準日は3月と9月の年2回です。2024年の配当予想は、9月の中間配当は45円となっており、3月の期末配当も45円で年間90円となっています。2003年3月期から21年間連続増配という驚きの記録になっています。
例えば1株3060円で100株購入した場合、投資資金は30.6万円ほど必要となり年間で受け取れる配当金は9000円になり、配当利回りは約2.94%になります。優待利回りは3000円相当のカタログギフトなので、優待利回りは約0.98になります。総利回りは約3.92%で、約4%近い高利回りな銘柄です。
沖縄セルラー電話の将来性
沖縄セルラー電話の過去10年間の売上高や営業利益を見てみると、派手に上昇はしていませんが、穏やかに右肩上がりをキープしているので業績は安定しており、好調な印象です。自社株買いも積極的に実施しており、22年連続増配ということも加えて株主還元が充実している魅力的な銘柄です。
まとめ
株主還元重視で検討した場合、22年連続増配している「沖縄セルラー電話」はとても魅力的です。売上高も営業利益も上がり続けているので、安心できますね。「日本ガイシ」は、今期の業績や配当を見てみると厳しい状況になりそうな気はしますが、脱炭素に向けて新事業を展開していくところに、今後の伸び代を期待して長期保有を検討しても良いのではないかと思います。