最近ではビッグモーターの中古車販売方法や、若者の車離れが話題となっていますが、やはり自動車は私たちの生活に密着したものになっています。投資するにあたって、日常生活の中で身近に感じられる銘柄だと比較的、安心感もあるかもしれません。今回は自動車関連メーカーである「SUBARU」と「ブリヂストン」はなぜ長期保有におすすめ銘柄なのかを解説していきたいと思います。
SUBARU(7270)
株式会社SUBARUは、自動車事業を中心に、航空宇宙、産業機器などを製造する重工業の会社です。1917年に中島知久平が飛行機研究所(中島飛行機)を創設、戦後に幾多の変遷を経て1953年に富士重工業株式会社として設立、2017年の創業100周年を機に、長年親しみのあるブランド名と統一させる目的として「株式会社SUBARU」として社名が変更されました。
SUBARUの由来は、「六連星(むつらぼし)」とも呼ばれる星団の名前で、SUBARUの前身である富士重工業が、旧・中島飛行機の流れをくむ5社の資本出資によって設立されたことから、6個の星団を意味する「SUBARU」と名付けられました。
2023年8月現在の株価は、約2600円となっています。今年の年初は約2000円でした。その後上下変動を繰り返しながら、約2600円台となっています。過去2年間の推移をみても現在の株価は、比較的高値に位置しています。
SUBARUの株主優待
個人投資家にとってはささやかな楽しみである株主優待ですが、残念ながらSUBARUでは行っていません。
SUBARUの利回り
配当金がもらえる権利月は3月と9月の年2回です。前期の9月の中間配当は38円、期末は38円、年間で76円となっていました。今期の中間配当も、前期同様38円の実績となり、期末は38円で年間76円の配当推移となる見込みです。
例えば1株2600円で100株購入した場合、投資資金は26万円ほど必要となり、配当金は7600円になります。株主優待制度はないので、配当金による利回りは約2.9%になります。
SUBARUの将来性
SUBARUは売上・利益で自動車部門が9割を占めており、国内(群馬)、国外(米国インディアナ州)と2か所に生産拠点を置き、米国を重点市場にマーケット展開しています。売上構成比は米国が75%以上を占めている状態です。
世界的に、脱炭素社会(カーボンニュートラル)の実現に向けての取組みが本格的になっているなか、米国市場で急速なEV(電気自動車)化が進んでいます。国内で生産予定をしていた「次世代e-Boxer車両およびバッテリーEV」を、米国でも販売することで、EV車の生産能力を強化、販売台数を大幅に加速する取り組みを行っています。
SUBARUは得意とする「水平対向エンジン」「シンメトリカルAWD」などのコア技術を起点に、世界初の運転支援システム「アイサイト」の技術などを送り出してきました。長年培ってきたAWD性能は、バッテリーEV化により緻密な制御を可能にし、「安全・安心」という強みを更に強化することを掲げています。
米国を重点市場として展開しているため、半導体の部品不足や為替の影響などを受けていましたが、ここ直近では、円安の為、業績も徐々に回復してきました。また、EVシフトへの過渡期において、規制やマーケットの動向を注視しながら日米工場再編の活用していくことを掲げているので、長期保有するには安心できる材料が揃っているといえるのではないでしょうか。
ブリヂストン(5108)
株式会社ブリヂストンは、乗用車、飛行機といった幅広い種類のタイヤをはじめ、スポーツ用品や産業資材の特殊なゴム製品などを製造する会社です。1906年創立者の石橋正二郎が久留米にて足袋専業の会社を創業したことがルーツとなっており、1922年頃に地下足袋のゴムの需要が拡大したことで、タイヤの製造につなげてきました。
早くから海外へのビジネス展開をイメージして、創立者の「石橋」の姓を英語にし、語呂を良くするためにストーンとブリッヂを並び替え、1931年に「ブリッジストンタイヤ株式会社」を設立しました。1984年社名を従来の「ブリヂストン」へ変更。「限りなき挑戦」を表す「ライジングアロー(矢印)」と、「燃える情熱」を意味する「ホットトライアングル(赤い三角形)」が組み込まれた新しいコーポレートシンボルを採用しました。
2023年8月現在の株価は、約5500円となっています。期末決算後の、年初は約4700円でしたが、中間決算の6月に向かって6000円台まで上昇。その後上下変動を繰り返し、決算後は約5500円台を維持しています。
ブリヂストンの株主優待
残念ながら株主優待制度はブリヂストンでも行っていません。
ブリヂストンの利回り
配当金がもらえる権利月は6月と12月の年2回です。前期の6月の中間配当は85円、期末は90円、年間で175円となっていました。今期の中間配当は100円の実績となりました。期末は100円、年間では200円で増配の見込みとなっています。
例えば1株5500円で100株購入した場合、投資資金は55万円ほど必要となり、配当金は年間で20000円になります。株主優待制度はないので、配当金による利回りは約3.6%になります。
ブリヂストンの将来性
ブリヂストンはタイヤメーカーとしては国内トップクラスで世界でも第2位の売上を誇っています。全世界150ヵ国以上でグローバルな事業を展開しており、タイヤ事業だけで約8割を占めています。
全世界での自動車メーカーによるEVへの加速化、カーボンニュートラルへの取り組みに伴い、独自で開発した環境性能と運動性能を両立するタイヤ技術「ENLITEN(エンライトン)」を最大に生かすEV専用タイヤの製造に力を入れることを掲げています。
売上、利益も前期より増加する見込みで、配当利回りも約3.6%と高利回り銘柄です。配当の推移が安定しており、3期連続の増配を行う点は大きな魅力となっています。
まとめ
今回は、自動車関連メーカーの2銘柄を紹介しましたが、いかがだったでしょうか?SUBARUは現時点の株価では、3%を割り込んでしまいますが、購入のタイミングを見極めることでそれ以上の利回りを確保できる可能性もある銘柄です。
またどちらの企業も海外での売上比率が高くグローバルに展開しており、独自のコアな技術が強みで安定した企業です。景気に影響を受けやすい銘柄ですが、自動車関連メーカーは、走行中に排ガスを出さないEVの普及が世界中で進められている需要のある産業なので、長期保有するのに安定した銘柄といえるのではないでしょうか。