100年以上の歴史を持つ炭素製品の総合メーカー「東海カーボン(5301)」は、カーボンニュートラルやEV(電気自動車)関連の分野でも注目を集めています。本記事では、東海カーボンの将来性にフォーカスし、その技術力・事業展開・株主還元などを詳しく解説します。
東海カーボン(5301)とは?~炭素製品のリーディングカンパニー~
東海カーボン株式会社は、1918年に創業された老舗の素材メーカーで、黒鉛電極やカーボンブラックなどの炭素製品で国内トップクラスのシェアを誇ります。鉄鋼、アルミ、自動車、電子材料など、幅広い産業に製品を供給しており、技術の信頼性が高く、グローバルでも存在感を放っています。
特に電気炉向け黒鉛電極では世界有数のサプライヤーであり、電炉の需要増加に伴い中長期での業績拡大が期待されます。
傘下のグループ企業でも高い収益力を持っており、安定した経営を保っていることが強みになっています。また国内だけでなく3カ国に拠点を設けており、世界中の電気炉メーカーに最高峰の黒鉛電極を提供している会社になります。
東海カーボンの業績と株価動向
東海カーボンの2023年11月現在の株価は、約1090円となっています。直近1年間の株価は1300円台でした。前期同時期の株価は約1100円とほぼ同じ水準になっています。
業績は1月から9月の連結経常利益は330億円となっています。前年同期は321億円でしたので増益でしたが、最終的な連結経常利益は45億円ほど下回る見込みになります。
東海カーボンの将来性を支える3つの成長要因
1. リチウムイオン電池材料への注力
近年、同社はリチウムイオン電池の負極材の製造に力を入れています。これにより、EV市場の成長とともに業績拡大が見込まれることが、東海カーボンの将来性を支える重要な要素となっています。
2. グローバル展開と安定した収益基盤
日本国内だけでなく、アメリカや中国、欧州などにも拠点を展開しており、世界中の電炉メーカーに黒鉛電極を供給しています。多国籍に展開することで、為替や地域リスクへの耐性が高く、安定した経営基盤が評価されています。
3. カーボンニュートラルと省エネニーズへの対応
東海カーボンは環境負荷低減に向けた素材開発にも注力しています。今後、カーボンニュートラルや脱炭素の動きが進む中で、その高機能炭素材料はますます注目される分野です。
東海カーボンの株主優待の魅力
株主優待がもらえる権利確定月は12月の年1回になっています。保有期間が1年以上の株主に対して、保有数に応じてオリジナルカタログギフトが贈呈されます。100株を1年以上保有している場合は2000円相当額になり、3年以上保有している場合は、3000円相当額になります。また1000株以上を保有している場合は1年未満でも3000円の優待を受けられる内容となっています。
保有区分に応じてカタログギフトの相当額は変わってくるため、詳しくは以下のイラストをご参照ください。
東海カーボンの株主優待はいつ届く?
東海カーボンの株主優待は、確定月12月の翌年の3月下旬に届く予定となっています。
東海カーボンの利回り
配当金がもらえる権利月は6月と12月の年2回です。今期6月の中間配当は18円の実績でした。期末も18円の見込みで年間配当36円の予定となっています。前期の年間配当が30円だったので、予想通りに実施されると増配となります。
例えば1株1090円で100株購入した場合、投資金額は約10.9万円が必要となり、年間で受け取れる配当金は3600円になるので、配当金利回りは約3.3%となります。また100株以上を1年以上保有した場合の株主優待は2000円相当分の優待が贈呈されるため、総利回りは約5.1%となります。安定配当+優待狙いの長期投資に最適です。
東海カーボンのリスクと懸念点
炭素製品価格の変動(特に黒鉛電極)による収益影響、為替リスク(グローバル展開のため)、EV関連市場の競争激化などがあげられます。しかし、こうしたリスクを高い技術力とグローバル販売網でカバーしている点は大きな強みです。
岡部(5959)
岡部株式会社は、1917年(大正6年)に創業した金属建材メーカーで、こちらも100年以上の歴史を有する会社です。建設関連製品を主力としており、仮設資材、土木資材、構造機材製品を取り扱っています。また魚礁や藻場礁、増殖礁の販売も行っており、浮魚礁製品では国内トップシェアを持ち、海藻の用途開発や磯焼け対策も手掛けるなど、環境保全にも積極的に貢献している企業です。
強みは、高品質と業界内での岡部ブランドの圧倒的な知名度、耐震・免震製品や効率化製品の充実、卓越した技術力が挙げられ、時代のニーズを捉えた製品開発を行っています。国内最大規模の藻類研究所も保有しており、海洋環境の保全と利用のための技術開発にも注力するなど、多角的な事業展開を行なっています。
岡部の2023年11月現在の株価は、約690円となっています。4月末には800円を超していましたが、徐々に下がってきて年初と同水準の株価になっています。
業績の面では直近の1月から9月の連結経常利益は35.5億円になることが発表されました。前期が40.8億円だったので、前年同期と比べて約5億円の減益になっています。通年の売上高見込みは前期よりも793億円で24.5億円上回り増収の予定ですが、利益面では純利益等、減益になります。
岡部の株主優待
株主優待は変更される可能性がありますが、2023年11月現在、権利確定月は12月の年1回です。保有期間が1年以上で、200株以上を保有している株主に対して、オリジナルQUOカードが贈呈されます。数に応じてカタログギフトの商品が選択できる内容となっています。200株以上保有の場合は、100円相当分になり、1000株以上の場合は2000円相当になります。詳しくは以下のイラストをご参照ください。
岡部の株主優待の注意点
6月末と12月末の株主名簿に連続で3回以上記載された方が対象になりますので、1年以上保有の定義についてはご注意ください。
岡部の利回り
配当金がもらえる権利月は6月と12月の年2回です。前期では年間配当24円の実績でした。そして今期6月の中間配は12.5円の実績となり、年間配当で25円が見込まれています。昨年から1円の増配となり、実現すれば3期連続で増配となります。
例えば1株690円で100株購入した場合、投資資金は約6.9万円ほど必要となり、年間で受け取れる配当金は2500円になります。配当金だけの利回りは約3.6%となっています。また、株主優待については200株保有で1000円相当の特典になるため、総配当は4.3%となります。
まとめ
「東海カーボンの将来性」は、EV関連、カーボンニュートラル素材、高配当・株主優待といった複数の観点からも非常に魅力的です。直近ではやや足踏み状態にあるものの、長期視点で見れば投資妙味の高い銘柄といえるでしょう。将来性ある素材株に投資を検討している方は、ぜひウォッチリストに入れておくべき企業です。
一方、「岡部」も業績面では今期苦戦をしている印象ですが、増配の見込みもあり、また最低投資金額も低く手を出しやすい銘柄の印象です。
両銘柄ともに100年以上の歴史のなかで見たら、今期の業績は一過性のもので長期保有の視点で見るととても魅力のある銘柄の印象です。利回りも優秀ですので、参考にしていただき投資先への検討してみてはいかがでしょうか?