今回はインクシェア世界最大手の「DIC」と、国内包装業界で最大手の「ザ・パック」について解説していこうと思います。両銘柄ともに安定した経営で3%超えを維持しており、さらに今期は増配予定となっていますので、参考にしていただければと思います。
DIC(4631)
DIC株式会社は、化学メーカーで、世界トップシェアを誇る印刷インキ、有機顔料、PPSコンパウンドの製造を手がけています。1937年に「大日本インキ化学工業株式会社」として設立され、創業以来、自動車や家電、食品、住宅向けの製品など、幅広い分野に事業を拡大してきました。現在では液晶材料や高機能材など、先端技術にも力を入れています。
さらに脱炭素化を推進する技術開発にも積極的で、研究開発、顧客基盤の強化、そしてグローバルな事業展開においてもその力を発揮しています。
健康経営優良法人2023大規模法人部門(ホワイト500)に選ばれるなど、社員の福利厚生にも注力している点が高く評価されている会社です。
DICの2024年5月現在の株価は約3000円となっています。前期の同時期は2500円前後で推移し、一時は2000円台前半まで落ち込みましたが、2月以降は上昇しています。
今期の売上高目標は1.1兆円と前期の実績より約612億円を上回る見込みになっています。第1四半期(1月-3月)の最終利益は、前年同期の19億円の黒字に対して、約28億円の赤字に転落しています。ただし通期の見込みは前期の398億円の赤字に対して、100億円の最終利益とされています。
DICの株主優待
株主優待がもらえる権利確定月は6月と12月の年2回になっています。6月はオリジナルカレンダーが贈呈され、12月は川村記念美術館とサプリメントが贈呈される内容になっています。
詳しくは以下のイラストを参照にしてください。
DICの株主優待はいつ届く?
確定月が6月の場合は、11月中旬に届く予定となっています。12月の場合は、翌年の4月上旬に発送される予定となっています。
DICの利回り
配当は6月と12月の年2回実施され、前期の年間配当は80円となっていました。そして今期の年間配当は100円と増配の予定になっています。
例えば1株3000円で100株購入した場合、投資金額は約30万円が必要となり、年間で受け取れる配当金は10000円になるので、配当金利回りは約3.3%となります。
優待を含めた総利回りは割愛させていただきます。
ザ・パック(3950)
ザ・パック株式会社は、国内シェアNo.1の手提げ紙袋を始め、印刷紙器や段ボール製品、化成品パッケージを手掛ける大阪に本社を置く会社です。
市場規模は全国に広がっており、百貨店や専門店用の紙袋や紙器で市場をリードしており、EC向け包装やペット用品、衛生用品のパッケージングも展開し、約14000社のクライアントへ商品を届けています。
ザ・パックの強みは、全国各地に展開する営業ネットワークと充実した生産体制が挙げられます。顧客の多様なニーズに応じたカスタムメイドのパッケージング提案が可能で、社内のクリエイティブチームと連携して素早くデザイン案を提出できる会社です。
ザ・パックの2024年5月現在の株価は、約3900円となっています。前期の同時期は約3000円で推移していましたので、若干上昇した形になっています。
通期の売上目標は前期より約33億円高い1010億円になっています。第1四半期累計(1月-3月)の経常利益は、前期同時期より12%増加した約16.7億円になり、増益しています。
ザ・パックの株主優待
株主優待は変更される可能性がありますが、2024年5月現在、権利確定月は6月と12月の年2回となっています。100株以上保有している株主に対して6月は図書カード、12月はQUOカードが贈呈される内容になっています。
例えば、100株を保有時の6月には500円相当の図書カードとなり、12月では500円相当のQUOカードとなっています。
ザ・パックの利回り
配当は6月と12月の年2回実施され、前期の年間配当は90円となっていました。そして今期は年間配当118円の予定となっており増配の見込みです。
例えば1株3900円で100株購入した場合、投資資金は約39万円が必要となり、年間で受け取れる配当金は11800円になります。配当金だけの利回りは約3.0%となっています。また年間1000円分の株主優待を含めた総利回りは、約3.3%となっています。
ザ・パックの強みと弱みは?持ち上がるパワハラ問題
ザ・パックの強みは、業界トップの製造力と国内外への展開能力にあります。歴史的に製品に関する知識が豊富でパッケージの海外調査など積極的に行なっています。また大ロットだけでなく、小ロットの提案も可能な点が挙げられます。
一方、弱みについては、現場の営業優先度が強く、工場生産力やデザイン設計に不安があるという意見があがっています。紙の産業自体が衰退しており、時代に合わせたITを活用した業種へのフォーカスが、今後の成長の鍵となっています。
また、言われのないパワハラ問題で降格処分を受けた方の報道が出ています。現在、係争中のようですが、企業体制の歪みが現れた事象かもしれません。
まとめ
今回は業界でトップをいく「DIC」と「ザ・パック」について解説しましたが、いかがだったでしょうか?
「DIC」はインク業界では世界最大手で、「ザ・パック」包装業界では国内最大手になっています。「DIC」の今期業績は、若干苦しい印象ですが増配が決定しており3%超えの優良銘柄です。一方「ザ・パック」の業績は好調で、こちらも増配見込みになっています。
いずれも最低購入単価が30万円以上必要ですが、業界での優位性が高く堅調な経営な銘柄ですので、検討してみてはいかがでしょうか?