業種によっては、新規参入の障壁が高いため安定した業績や株価を維持している会社があります。今回は旧財閥系の「三菱ガス化学」と「住友倉庫」について、4%の高利回りが今期も期待できるか解説していこうと思います。
三菱ガス化学(4182)
三菱ガス化学株式会社は、日本を代表する化学メーカーで、天然ガスを主要な原料として取り扱っています。製品ラインアップは非常に幅広く、私たちの日常生活の中で使用されるメタノールやアンモニアから、高度な技術を持つスマートフォンのカメラレンズの素材まで幅広く手掛けている企業です。
さらに、天然ガスや石油の採掘と加工、それらに関連する技術開発やコンサルティングも行っており、エネルギー関連の多様なビジネスを展開しています。また独自の技術力を活かして、常に新しい素材を研究・開発し、社会にとって価値のある製品を提供しているのです。
2023年10月現在の株価は、約2000円となっています。比較的安定した株価になっており、おおよそ2000円を基準にプラスマイナス150円の幅で、今期も推移しています。
三菱ガス化学の株主優待
現在、三菱ガス化学の株主優待制度は行われていません。
三菱ガス化学の利回り
配当金がもらえる権利月は3月と9月の年2回です。前期の9月の中間配当は40円、期末も40円で年間では80円となっていました。今期の中間配当は同額の40円で期末も同じく40円、年間配当80円になる見込みです。直近の3年間は配当維持の予定となっています。
例えば1株2000円で100株購入した場合、投資資金は20万円ほど必要となり、配当金は8000円になります。株主優待制度はないので、配当金による利回りは約4.0%になります。
三菱ガス化学は大丈夫?? 将来について
三菱ガス化学は、化学業界では重要な位置を占める企業として知られています。金融機関や評価機関などからも、高い事業の安定性を持っていると言われています。ただ業態の性質上、新規事業の立ち上げは難しいとされています。
過去の業績を見ると、2020年度は新型コロナウィルスの影響、2022年度は円安の影響で業績が一時的に下がりましたが、それでも安定した利益を出しています。直近7年間での純利益成長率は16.0%という高い数字を示し、売上高ランキングでは同業種内では12位を獲得しています。
また三菱ガス化学は、2050年を目標に温室効果ガスの排出をゼロにするという目標を持ち、さらに気候変動対策など社会的価値の提供を目指しています。特に超過酸化水素水の分野では、世界トップのシェアを持ち、半導体や自動車産業との関連が深く、もし日本の半導体業界が下降しても、海外展開を通じて売上を維持、あるいは増やすことが可能になっています。
しかしながら、外部要因による影響を大きく受けやすい側面も持っています。例えば、大手の取引先の生産減少や、脱炭素・水素社会、マイクロプラスチック問題などの環境問題が、事業に悪影響を与える可能性があります。それにも関わらず、長い歴史と実績を背景に、三菱ガス化学は業界の中で引き続き重要な役割を果たすと考えられますので、将来不安という噂の信憑性は低いものと言えるでしょう。
住友倉庫(9303)
株式会社住友倉庫は、1899年に設立されて以来、日本の物流業界をリードする大手企業として知られています。主な業務は、倉庫業務、港湾運送、国際輸送、そして不動産賃貸事業です。
国内には50以上の物流拠点があり、さらに北米、欧州、アジアなどの国々にも幅広い拠点を持つことで、国際的な物流ネットワークを築いています。世界のさまざまな物流ニーズに迅速かつ柔軟に対応しています。また、時代の変化や顧客のニーズに合わせて、デジタル技術を活用したサービスの導入や他の業界との連携を行うなど、革新的な取り組みも進めて常に最先端の物流サービスを提供し続けている会社です。
2023年10月現在の株価は約2400円となっています。3月の決算に向けて株価は約2300円まで上昇し、また9月の中間決算では約2500円台まで上がりました。現在は若干の落ち込みはあるものの、直近2年間の間でも高い水準を維持しています。
住友倉庫の株主優待
現在、住友倉庫も株主優待制度は行われていません。
住友倉庫の利回り
配当金がもらえる権利月は3月と9月の年2回です。前期の9月の中間配当は50円、期末も50円、年間で100円となっていました。今期の中間配当は50.5円と期末も同額の50.5円の予定になり、年間では101円の見込みとなっています。実現すれば11期連続の増配となります。
例えば1株2400円で100株購入した場合、投資資金は24万円ほど必要となり、配当金は年間で10100円になります。配当金による利回りは約4.2%になり、三菱ガス化学と同様に4%を超えてきます。
住友倉庫の将来性
住友倉庫の直近7年間の純利益成長率は117.8%を記録し、同業種の売上高ランキングでは4位に位置するなど、業界をリードする存在になっています。特に海外事業の拡大を目指しており、環境対応やDX、人材育成への投資も進めて、2030年までの目標として4つのミッションを掲げています。
その中には「情報戦略への注力」が挙げられており、1970年代には業界先駆けてのIT導入や自動ラック倉庫の設置、在庫管理システムのオンライン化を実施してきました。倉庫業界全体としては、インターネット通販の拡大や高齢化・人手不足に伴うIT化の進展が期待され、この点でも住友倉庫は強みを大きく活かすことができる企業と言われています。
また11期連続の増配も、投資を行う上で大きなポイントとなる印象です。
まとめ
今回は、「三菱」と「住友」の財閥系の企業を2つ紹介しましたが、いかがだったでしょうか?「三菱ガス化学」も「住友倉庫」も他社の新規参入を許さない業態で、シェアも非常に高く業績も安定している会社になります。
利回りも4%を超えていることも、大きな魅力ですので長期保有のポートフォリオの1つとして検討してみてはいかがでしょうか?