高配当株投資は、株を持ち続けているだけで配当金を受け取れる投資方法です。優良銘柄を選択できれば、再現性高く利益をあげられるため、個人投資家にとって着実な資産形成につながります。
しかし、銘柄選びを間違えると、減配によって期待していた投資効果を得られない恐れがあります。
本記事では、高配当株投資で利益を出すポイントや注意点について解説するので、購入時の参考にしてみてください。
高配当株投資で利益を出す3つのポイント
高配当株投資で利益を出す3つのポイントについて、本章で詳しく解説します。
1. トータルリターンで考える
高配当株において、以下2つの収益を考慮する必要があります。
・インカムゲイン:株式の配当金や投資信託の分配金などによる収入のこと
・キャピタルゲイン:株式や投資信託などの売却によって得られる収入のこと
トータルリターンとは、上記2つの収入を合算した収益のことです。高配当株投資はインカムゲインを重視する投資方法であるため、キャピタルゲインは軽視される傾向にあります。
しかし、インカムゲインを上回る株価の値下がりを受けると、トータルリターンではマイナスです。
具体例として、配当利回り4%の銘柄100万円を1年間運用したと仮定します。年間配当は4万円ですが、10%値下がりすると損失は10万円なので、トータルリターンは6万円の赤字です。
したがって、定期収入であるインカムゲインと売買損益によるキャピタルゲインの合計を考慮して、運用するのが大切です。
2. 分配金を再投資に回す
高配当株投資で確実に資産を積み上げていくなら、配当金は使わずに再投資へ回すことが大切です。運用方法の違いで、将来のリターンは大きく異なるからです。
具体例として「日本高配当株投信」と「世界高配当株投信」の2つのチャートを比べてみます。
出典:野村アセットマネジメント「世界高配当株投信(年4回決算型)」
赤い線が基準価格の推移を表しており、2つとも時間の経過で上昇しています。一方で、配当金を再投資に回した青い線を見ると、複利効果によってさらに大きなリターンを得られています。
配当金の使い道については、生活費に回そうと決めている方もいるでしょう。ただし、ある程度資金に余力のある方は、再投資してリターンを増やしにいくのがおすすめです。
3. 自分で管理できる銘柄数を保有する
自分で管理できる銘柄数を保有するのが、高配当株投資において重要なポイントです。管理しきれないほどの銘柄を保有すると、最適な売買タイミングを逃す恐れがあります。
高配当株投資はインデックス投資に比べて、売買タイミングが難しい投資手法です。企業の業績悪化のニュースを受けて売却を判断したり、優良銘柄を見つけたら資金の範囲内で買い付けたりして、運用を続ける必要があります。
自分で管理できる銘柄は人によって異なりますが、筆者は以前15銘柄以上を保有したときに全体を把握しきれず、一部を売却した経験があります。個人投資家のなかには50銘柄以上を保有している人もいるので、自分が無理なく運用できる範囲を見極めましょう。
高配当株投資を始めるうえで2つの注意点
高配当株投資を始めるうえで、2つの注意点を知っておきましょう。本章で詳しく解説するので、参考にしてみてください。
1. 一時的な要因で高利回りの銘柄は避ける
一時的な要因で高利回りの銘柄は、投資する際に注意が必要です。近い将来減配のリスクがあり、期待していた配当金を受け取れない可能性があるからです。
一時的な高利回りになる銘柄の要因としては、以下が考えられます。
・株価が下がって高利回りになる
・好業績によって一時的に配当金が高くなる
・利益は少ないが無理して配当金を払っている
とくに注意したいのが、利益は少ないが無理して配当金を払っている銘柄です。配当金は利益の範囲で支払わないと、企業の内部留保を切り崩すことになり、長期に渡って受け取れないリスクが高くなります。
配当利回りだけを見て投資先を判断するのではなく、業績が順調に伸びていて、数年間の配当実績にブレがないか調べるようにしましょう。
2. 短期間で大きなリターンを得るのは難しい
高配当株投資を始めるうえで最初に知っておきたいのは、短期間で大きなリターンを得るのは難しい点です。
高配当株投資は再現性の高く、中長期投資を続ける人にとって、安定した収益が期待できる方法に間違いはありません。ただし、高配当銘柄は比較的業績の安定した企業が多く、成長株のように株価が何倍にもなるケースは珍しいです。
あくまでも、高配当株投資は中長期の資産形成に向いている投資方法であるため、短期間で大きな収益を狙いたい人には向いていません。
高配当株投資を成功させるコツは企業分析にあり
高配当株投資は安定的なインカムゲインを軸にした、中長期の投資方法であり、比較的再現性高く資産を積み上げられます。
ただし、投資する企業の業績や過去の配当実績を確認したうえで、リターンが期待できる銘柄を選ぶようにしてみてください。