長期保有を行う場合、安定した経営がなされているかや成長している企業なのかを見極めることが重要な点になります。目先の利回りだけに目が行きがちですが、連続して配当を増やしていることや、株主にきちんと還元されているかなどの視点から評価される必要があります。今回は長期保有で人気の「花王」と「小林製薬」の2銘柄について、解説していこうと思います。
花王(4452)
花王株式会社は洗剤や化粧品などを扱う日用品メーカーになり、トイレタリー部門では日本シェア1位になっています。今の花王のイメージから、あまり想像できないのですが、過去にはフロッピーディスクなどコンピューター関連製品を販売していました。しかしながら、予想よりも売上が伸び切らずに撤退し、現在では日用品に専念した業務形態となっています。
2023年7月現在の株価は約5200円になっています。2020年6月中間決算時に9000円台を付けていましたが、徐々に下降し4600円台まで落ち込みました。その後は少し回復傾向となり5000円台中盤の株価で推移しています。
花王の株主優待
我々の生活に近い銘柄なので株主優待を期待したいところですが、現在、花王では行っていません。著者の住まいでは、花王製品を複数愛用しているので、もし株主優待制度があればとても嬉しいポイントになっていました。
花王の利回り
配当金がもらえる基準日は6月と12月の年2回です。花王の配当の特徴として、連続増配している点が挙げられ、投資家に人気を博しています。前期の2022年には6月の中間配当は74円、12月の期末配当も74円で年間148円となっていました。そして今期の中間配当は75円の実績になり、期末も同額予想で年間150円になる見込みになります。
例えば1株5200円で100株購入した場合、投資資金は52万円ほど必要となり年間で受け取れる配当金は15000円になります。株主優待制度はないので、配当金による利回りは約2.9%になります。一般的に3%の利回りを超えてくると高配当と言われていますが、花王の場合ですと株価が5000円になれば、3%を達成することになります。また連続増配の安定感を考慮しても、長期保有をすればするほど利回りが結果的に良くなる点が大きな強みだと思います。
花王の株はやばい?いつ買うべきか?
「連続増配株」は、「長期間にわたり利益を出し続けていて、配当が増え続けている会社の株」のことになります。また一時的に利益が少なくても、しっかりと資金を貯めた上で配当を出せるようにしている安定経営の証明になります。その中で花王は34期連続して増配を発表している、とても優秀な銘柄になります。また配当が増えると、それにつられて株価も上がる傾向があることから、花王の連続増配は、とても魅力的な投資先になっています。
購入のタイミングですが、1株5200円台で推移している現在は比較的、狙い目の印象です。今期の売上計画から考えると前期よりも減益傾向なので、今以上に株価下落の可能性はありますが、長期保有を対象にした銘柄の点を踏まえても検討してみてはいかがでしょうか?
小林製薬(4967)
会社のスローガン「"あったらいいな"をカタチにする」小林製薬株式会社は、大阪に本社を置く衛生用品と医薬品を取り扱う企業になります。創業は実は大阪ではなく、名古屋になり明治19年から営業を行う歴史のある会社になります。「キムコ」「命の母」「ブルーレットおくだけ」など、ユニークな製品名とともにインパクトのあるCM展開を行っています。
2023年7月現在の株価は約7700円になっています。6月の中間決算時に8100円台を付けていましたが、徐々に下降し現在に至ります。過去1年間の株価推移を確認すると、下は7000円台、上は9200円台と非常に値幅が大きくなっています。現在の約7700円はかなり安い水準になっています。
小林製薬の株主優待
株主優待の内容は変更される可能性もありますが、権利確定月は6月と12月の年2回になっています。100株以上を保有している株主へ5000円相当の「自社製品」と、通販で利用可能な10%割引券が贈呈されます。更に300株を3年以上保有する株主には「復興支援 選べるギフト」が12月に1回、追加で送られてきます。中身は東北や熊本や大分のご当地食品(高級肉)などを選べ、嬉しい特典になっています。
小林製薬の利回り
配当金がもらえる基準日は6月と12月の年2回です。小林製薬の特徴として、前述の花王と同様に連続増配しています。こちらは25期連続の増配になっており、安定経営と株主還元の銘柄になっています。前期の2022年には6月の中間配当は38円、12月の期末配当は52円で年間90円となっていました。そして今期6月の中間配当は39円の実績になり、年間配当は92円の見込みになります。
例えば1株7700円で100株購入した場合、投資資金は77万円ほど必要となり年間で受け取れる配当金は9000円になります。配当金による利回りは約1.2%になります。株主優待の10000円相当(5000円×2回)を考慮すると、総利回りは約2.5%となります。利回りの数値は決して高くはないですが、連続増配の安定性の点からも長期保有に人気が高い銘柄になっています。
小林製薬の自社株買いで急落?将来を見据えた経営が魅力
長期保有という点で小林製薬の銘柄への投資判断は、連続増配と配当利回りの点も当然大事ですが、社会貢献という面でも重要かと思います。6年前に小林製薬は自社株買いを行いました。通常、自社株買いは株主還元の充実や株価上昇のために実施されることが一般的ですが、小林製薬では自社株を原資として「青い鳥財団」を設立させました。これは企業利益は社会還元されるべきという社是の元に実施され、長期的に企業価値を高めることを目的とされています。こういった社会性の高い施策を踏まえて、長期保有の判断をするもの1つではないでしょうか?
まとめ
今回は長期保有に人気の2銘柄を紹介しましたが、いかがだったでしょうか?配当だけでなく株主優待も充実した小林製薬ですが、投資資金が高くなる点がネガティブな印象です。花王は34期の連続増配を行っている点で、安定した投資が行える印象です。こちらは現時点では50万円強で購入できますが、より高い利回りになるよう購入タイミングを見極める必要があるかと思いますので、日々の株価動向をチェックしてみてはいかがでしょうか?