投資するにあたって、「長期保有は初心者におすすめの投資方法だ」と耳にすることはあるのではないでしょうか?今回は建機メーカーで安定銘柄と言われる「クボタ」と「コマツ」について解説していきたいと思います。日常生活ではあまり馴染みのない企業かもしれませんが、私たちの生活に密接に関わっている点もありますので参考にしていただければと思います。
クボタ(6326)
株式会社クボタは大阪の浪速区に本社を構え創業133年、トラクターやコンバイン、ホイールローダーなどの農業用機械や都市開発の狭い現場で活躍するミニバックホーなどの建設用機械の製造販売をグローバルに展開する企業です。また、水・環境事業では、ダクタイル鉄管やバルブを製造し、日本で培った技術と実績を活かして世界の水インフラ整備を行っております。
2023年8月現在の株価は、約2150円となっています。2022年12月末の権利確定後の株価は約1800円台と下落しましたが、その後は上下変動を繰り返しながら、約2000円台となっています。
クボタの株主優待
クボタは2020年に創業130周年を迎えるに際して、記念優待として100株以上保有する株主に「玄米フジッリ(パスタ)150g×2」と「新潟米【新之助】3kg」の贈呈がありましたが、現在は残念ながら株主優待は行われておりません。ちなみに【新之助】は、数年前から販売され、高級白米としてとても人気となっています。
クボタの利回り
配当金がもらえる権利月は6月と12月の年2回です。前期の6月の中間配当は22円、期末は22円、年間で44円となっていました。今期の中間配当は、前期より2円増額の24円の実績となり、期末は現時点では未定となっております。
例えば1株2150円で100株購入した場合、投資資金は21.5万円ほど必要となり、配当金は4400円になります。株主優待制度はないので、配当金による利回りは約2.0%になります。
仮に今期の年間配当が48円に増配した場合では、配当金による利回りは約2.2%となります。
クボタの将来性
クボタは、食料・水・環境分野の社会課題の解決に貢献する事業を、世界120カ国以上で展開しており、食料生産や産業発展を支えています。農機メーカーとしては国内トップクラスで世界でも第3位の売上を誇っています。水・環境問題を解決するために現地のニーズに合わせてグローバルに事業を展開し世界に貢献しています。
今期の売上高は前期を更新し、二期連続で過去最高になる予想です。前期は減益となりましたが、今期はコスト改善の他に各種の対策を実施することで前期以上の増益が見込まれています。
配当利回りは約2.0%と高くはないですが、配当の推移が安定しており連続増配を行っている点は大きな魅力となっています。
コマツ(6301)
株式会社小松製作所(以後、コマツ)は東京の港区に本社を構えて創業100年、油圧ショベルやブルドーザーなどの建設・鉱山機械や自動車の産業機械に関する事業をグローバルに展開する企業です。
また、ICT(情報通信技術)にいち早く着目し、ICT建機、無人ダンプトラック運行システムなど先端技術を活用した製品を開発、提供してきました。生産現場から排出される温室効果ガスや廃棄物の削減、機械による環境負荷の低減にも力をいれています。
2023年8月現在の株価は、約3900円となっています。今年の年初は約2800円でした。その後上昇を続けており、約3000円台を維持しています。直近2年間では現在の株価はかなりの高値となっており、9月の中間決算に向かって上昇を続けている状態です。
コマツの株主優待
株主優待の内容は変更される可能性もありますが、長期保有している株主に対し、感謝品としてオリジナルミニチュア(非売品)が贈呈されます。毎年1機種ずつリリースしており、シリーズ化しており、人気となっています。詳しくは下記のイラストをご覧ください。
コマツの利回り
配当金がもらえる権利月は3月と9月の年2回です。前期の9月の中間配当は64円、期末は75円、年間で139円となっていました。今期の中間配当は69円の見込みとなり、期末の3月は70円見込みとなり、年間で139円の予定となっています。
例えば1株3900円で100株購入した場合、投資資金は39万円ほど必要となり、年間で受け取れる配当金は13900円になります。株主優待はないものと考えると、配当金の利回りは約3.6%となります。
コマツの将来性
コマツの売上は海外が約9割を占めている状態です。建設機械・車両事業の地域別売上高構成は、日本・北米・欧州で50%、アジア・中南米・オセアニア・中国などで50%と、全世界でバランスよくビジネスを展開しており、国内が鈍化しても海外からの収益で安定した業績を確保できます。
また、コマツは将来に向け脱炭素の取組みに力を入れており、CO2排出を実質ゼロとするカーボンニュートラル実現に向けて、水素燃料電池を搭載した油圧ショベルのコンセプトマシンを開発しました。再生・再利用するリマン事業といった循環型ビジネスを強化し、社会のCO2削減にも貢献しています。
今期の売上高は前期より増加し利益も連続増益となる見込みで、現時点(2023年8月)では過去最高値を更新する推移となっています。配当利回りも約3.6%と高利回り銘柄です。
また配当方針も、連結配当性向を40%以上とする方針で、安定的な配当の継続に努めていく方針としています。
全世界でバランスよくビジネス展開をしているため、現時点では売上高は右肩上がりで上昇していますが、コマツは景気に敏感な一面を持ち合わせています。景気が悪化すると大きく株価に影響を受ける可能性もありますので、ご注意ください
まとめ
今回は、日本の大手建機メーカーの2銘柄を紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
どちらの企業も世界の建設機械市場で高いシェアを持ち、海外にも積極的に進出してグローバルに事業を展開しており、安定した基盤を持つ企業です。その一方で景気の影響や社会情勢などの影響は受けやすい銘柄ですが、「食料・水・環境・都市開発」は人が生きていく上で欠かせない需要のある事業なので、長期保有するのに安定した銘柄といえるのではないでしょうか。