投資と聞くと、一般的にはテクノロジーや金融、不動産といった業界が頭に浮かびますよね。あまり聞き慣れないかもしれませんが、日本の化学メーカーで世界的な企業もたくさんあります。テクノロジーの発達とともに成長を遂げるこの業界は、実は投資の新たなフィールドとして注目に値します。今回は、その中でも印刷インキ業界の2つの銘柄について解説していこうと思います。
東洋インキSCホールデイングス(4634)
東洋インキSCホールディングスの創業は1907年で、世界有数の印刷インキメーカーとして知られています。主力の商品は印刷インキで、新聞、雑誌、パッケージなどで使用され、私達に身近なスマホやタブレットといった電子部品の分野でも利用されています。また最新の印刷技術を取り入れるとともに、新製品の開発にも力を入れており、東洋インキは業界のリーダーとなっています。
2023年6月現在の株価は約2200円になっています。今年の年初は1800円でしたが、現在に至るまで株価は右肩上がりになっています。2020年は急落したタイミングもありましたが、上下変動を繰り返していました。
東洋インキの株主優待
東洋インキは株主優待制度を導入しており、株主優待がもらえる権利確定月は毎年6月の年1回のみです。200株以上株式を保有している株主を対象に、保有する株式数と期間に応じてオリジナルカタログギフトが贈呈されます。カタログギフトで選べるものは例年10商品程度ですが、ラーメンやお味噌汁、ドリップコーヒーなど食品が中心です。ただし、株主優待制度の有無や内容は、今後変更される可能性がありますので、詳しくはホームページなどでご確認ください。
株主優待の注意点
権利付は6月のみの1回になり、上記のイラスト通り保有期間は1年以上が必要になります。また購入は100株からですが、優待を受けるには200株以上が必要ですのでご注意ください。
東洋インキの利回り
配当金がもらえる基準日は6月と12月の年2回です。過去5年間では年間配当90円(中間45円/期末45円)となっており、今期も同じく年間90円の配当が予想されています。
例えば1株2200円で100株購入した場合、投資資金は22万円ほど必要となり年間で受け取れる配当金は9000円になります。100株の場合は株主優待制度はないので、配当金による利回りは約4.1%になります。200株を1年以上保有している場合は、1000円の優待分がプラスされるので、総合利回りでは約4.3%になります。
DIC(4631)
皆さんにとってあまり「DIC株式会社(ディーアイシー)」という社名は聞き慣れないかもしれませんが、2008年までは「大日本インキ化学工業株式会社」という社名になっていた企業です。印刷インキや有機顔料などでは世界シェアNo.1になっており、連結売上高は1兆円を超える世界的な企業になります。最近では女優の吉岡里帆さんがイメージキャラクターをされていて、同社のCMが流れています。
2023年6月現在の株価は約2500円です。2021年頃は1株約3000円前後を行き来していましたが、2022年からはほぼ現在の価格の水準を維持しています。
DICの株主優待
DICは株主優待制度を導入しており、株主優待がもらえる権利確定月は毎年6月と12月の年2回です。また6月と12月で特典の内容が異なっており、100株以上株式を保有している株主を対象に、6月はオリジナルカレンダー、そして12月は美術館入館券付き絵葉書とサプリメントが贈呈されます。ただし、株主優待制度の有無や内容は、今後変更される可能性がありますので、詳しくはホームページなどでご確認ください。
DICの利回り
配当金がもらえる基準日は6月と12月の年2回です。2018年の年間配当は125円でしたが、それ以降は年間配当100円(中間50円/期末50円/2022年)となっています。今期も同じく6月は50円、期末で50円の年間100円と予想されています。
例えば1株2500円で100株購入した場合、投資資金は25万円ほど必要となり年間で受け取れる配当金は10000円になり、配当金による利回りは約4.0%になります。株主優待を加味した場合、年間約8620円(サプリメント代金+美術館入場券)の優待分がプラスされるので、総合利回りでは約7.4%ととても高利回りの数値になります。ただし美術館は千葉県佐倉市にあるため、利用する方が限定的になってしまいます。
東洋インキとDICどちらがおすすめ?
東洋インキ、DICともに高品質な印刷インキとカラーマテリアル製造では、トップ企業になり、私たちの日常になくてはならない商品の下支えをしている企業になります。
現在の株価の点では東洋インキの100株あたりの投資金額は22万円、DICは25万円と同水準になっており株主優待を省いた配当だけの利回りでもほぼ同等になっています。両社とも安定的な収益源を持っており、東洋インキは確かな技術力と広範な産業や新しい市場への展開、そしてDICはグローバル企業で世界的シェアでも有名な企業になっていますので、どちらもおすすめの銘柄になります。
強いて言えば過去6ヶ月間の株価変動の点では、DICの方が多少大きい印象ですので、より安いタイミングで購入したい方には中期的に検討してみてもいいのではないでしょうか。
まとめ
東洋インキとDIC、どちらも印刷インキ業界を代表する企業で、我々の生活に密接に関わっており、東洋インキは堅実な成長を見せる一方、DICはグローバルシェアでの存在感があります。両社ともに安定した配当を維持していますので、株主優待の利便性も含めて検討してみてはいかがでしょうか?