あなたの携帯電話のキャリアはどこをお使いでしょうか?最近では楽天モバイルの参入や格安SIMなどの登場により、日本国内では混戦状態です。その中から今回は「KDDI(au)」と「ソフトバンク」の2銘柄について、投資の面での特徴と長期保有に優れている点について解説していこうと思います。
KDDI(9433)
「au」ブランドでおなじみのKDDI株式会社。日本国内において通信業界のランキングで常に上位に位置づけられています。その位置は例年第2位から第3位の間になっています。
「au」のモバイル通信サービスも含め事業全体で、22年度は5兆6,718億円の売上をあげています。最近では携帯電話や光インターネット回線事業だけでなく、電気事業や「au PAY」の電子マネー事業、「じぶん銀行」といった金融事業など、生活に密着する分野を展開しており、「Pontaポイント」で利用者に還元するサービスなどを行っています。
また国内だけでなく、海外市場へもバランスが取れたビジネス展開を行っており、世界60都市以上、100拠点以上で通信インフラの提供やさまざまなデジタルソリューションを提供している企業です。
2023年6月現在の株価は約4400円になっています。今年の年初は約3800円台でしたが、現在に至るまで約15%の株価上昇をみせています。過去5年間の株価推移をみても、おもだった変動はありませんでしたが、今年の3月頃から急騰を見せています。
KDDIの株主優待
株主優待の内容は変更される可能性もありますが、2023年6月現在、3月の年1回の権利確定月になっています。株主にはカタログギフトが贈呈され、3000円相当、5000円相当、10000円相当の3種類があり、保有株式数と継続保有期間によって内容が変わってきます。
例えば100株以上を5年未満保有している場合では年間3000円相当となりますので、詳しくは下記のイラストをご覧ください。
KDDIの利回り
配当金がもらえる基準日は3月と9月の年2回です。前期の2022年には9月の中間配当は65円、3月の期末配当も70円で年間135円となっていました。今期の中間配当は70円と予想されており、期末も同様で年間140円になる見込みになります。
例えば1株4400円で100株購入した場合、投資資金は44万円ほど必要となり年間で受け取れる配当金は14000円になり、配当金のみの利回りは約3.2%になります。株主優待を加味した総合利回りでは、100株5年未満の場合で約3.9%となり、5年以上保有している場合では約4.3%となります。
KDDIの将来性
今期の売上高は過去最高を連続で更新することが予想されており、増収と増益が見込まれています。強固な財務基盤を持ちながら、通信事業の国内シェアの高さとそれ以外の多種多様な事業への展開、そして5Gの普及から海外への取り組みなど、投資家にとってポジティブな要素が多い印象です。
また配当金の高さも押さえておきたい点ですが、長期で保有すればするほど高くなる総合利回りも、株主にとって嬉しいポイントです。
ただネガティブな点を挙げると、2022年7月にauで大規模な通信障害を起こし利用者にとって不便を強いる一件がありました。当時の株価は4%近く下落するなど、我々の生活に密着しているからこそ、予期せぬ事に株価は急変動しますので、その点は留意しておいた方がいいでしょう。
ソフトバンク(9434)
親会社は「ソフトバンクグループ(9984)」になっていますが、ここでは通信事業に特化した「ソフトバンク株式会社(9434)」について紹介していきます。
ソフトバンクはauと同様モバイル通信事業を主軸に、インターネット関連サービスやAIやロボット事業にいち早く取り組んだ企業です。海外への通信インフラの発展を見据えて、グループ企業で投資を行っていましたが、残念ながら大きな成果に繋がらず、批判的な意見が見受けられました。
2023年6月現在の株価は約1520円になっています。今年の年初は約1400円台でしたが、過去数年間の推移を確認しても、特別大きな変動もなく1400円台と1500円台の間を行き来しており、安定している印象です。
ソフトバンクの株主優待
個人投資家にとってはささやかな楽しみである株主優待ですが、残念ながらソフトバンクでは行っていません。
ソフトバンクの利回り
配当金がもらえる基準日は3月と9月の年2回です。前期の2022年には9月の中間配当は43円、3月の期末配当も43円で年間86円となっていました。今期の中間配当も前期と同様で43円と予想されており、期末も43円で年間86円になる見込みになります。
例えば1株1520円で100株購入した場合、投資資金は15.2万円ほど必要となり年間で受け取れる配当金は8600円になり、配当金の利回りは約5.7%と非常に高い水準となります。3%を超えると高配当と言われる中、この数字は投資家にとって大きな魅力になるのではないでしょうか?
ソフトバンクの将来性
ソフトバンクは少し複雑な形態をしているのですが、親会社の「ソフトバンクグループ会社」を頂点に、ソフトバンク自体も子会社や関連会社を保有しています。その中では、皆さんが良くご存知のYahoo! JAPAN」や「LINE」「PayPay」、そして「ZOZO」なども含まれています。通信事業だけに偏る事なく、グループ全体としてリスク分散していると捉えることができます。
過去最高の売上を記録した前期に比べ、今期は同じ売上でも利益が少なくなる見込みです。しかしながら、売上が連続して増加している点、そして、高い水準で配当が続けられている点は、投資の対象として魅力的で評価できるポイントだと思います。
ただ、auと同じように、予想外の事態が起きるリスクや、スマートフォンの市場が飽和状態になっていることは頭に入れておくべきで、新規顧客の獲得と顧客満足の向上に向けた更なる取り組みが期待されます。
まとめ
今回は大手通信会社「KDDI」と「ソフトバンク」について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?どちらも同じ事業を行いながらも、その特性の違いを少しでも参考にしていただき、長期保有に値するか検討いただければと思います。