不動産業界は「景気敏感株」と呼ばれる、景気によって株価が大きく変動する特徴があります。中でも不動産業界は儲かる時はかなり大きな利益を生み出すことができるので、企業の還元方針によっては高配当につながりやすくなっています。
ケイアイスター不動産(3465)
ケイアイスター不動産とは、関東を中心に全国的にたくさんの店舗を構える不動産会社です。一戸建て住宅の建築・販売やリフォーム、アフターサービスなどの他にも、不動産仲介やマンション事業なども手がけています。
ケイアイスター不動産の2022年11月現在の株価は約4500円で、3月から約8ヶ月ほぼ横ばいです。2015年に上場した時は1株約600円台でしたが、急速に上昇し、2021年には最高値の約9000円という高値を記録しています。
ケイアイスター不動産の株主優待
ケイアイスター不動産は株主優待制度を導入しており、株主優待がもらえる権利確定日は毎年9月の年1回です。100株以上株式を保有している株主を対象に、保有する株式の数に応じてクオカードが贈呈されます。ただし、株主優待制度の有無や内容は今後変更される可能性があります。
ケイアイスター不動産の利回り
配当金がもらえる基準日は9月と3月の年2回です。株価が最高値を記録した2021年の配当金は9月に115円と3月に150円の年間1株当たり265円でした。2022年に入り株価はやや値下がりしていますが、今年の配当金は半期ごとに140円の年間280円となる予想です。
例えば1株4500円で100株購入し、翌年もらえる配当金が2022年と同額の1株当たり280円だったとします。投資資金は45万円ほど必要ですが、配当金として28000円、株主優待として1000円分のクオカードがもらえるので、1年間に出る利益は29000円分です。
一般的に利回りが3%を超えれば高利回りとされますが、ケイアイスターの配当金と株主優待を合わせた利回りは約6.4%なので、非常に高利回りな銘柄となります。
フージャースホールディングス(3284)
フージャースコーポレーションは、新築マンションの分譲販売や賃貸、リノベーションなどの他、シニア向けのマンション販売・運営管理や介護保険、不動産仲介などの不動産業を中心に、スポーツクラブの運営や投資運用などの多岐にわたる事業を展開する企業です。
フージャースの2022年11月現在の株価は約750円です。600~700円台の小さな波はあるものの、2013年には1000円台、2015年には300円台だったこともある過去の株価変動からみると、現在の株価は2018年頃から大きな変動はありません。
フージャースの利回り
配当金がもらえる基準日は9月と3月の年2回です。2021年の実績は1株当たり36円でしたが、2022年は48円となる予想が立てられています。2022年から2026年は、配当金について「配当性向40%以上かつ自己資本配当率4%以上」の還元方針です。
フージャースに株主優待制度はありません。例えば1株750円で100株購入すると、投資資金は75000円です。翌年もらえる配当金が2022年と同額の1株当たり48円だったとすると、配当金によって得られる年間利益は4800円となり、利回りはケイアイスター不動産と同じ6.4%になります。
配当性向とは?
配当性向とは、「配当金÷当期純利益」で求められる、利益に対する配当金の割合を表す数値のことです。配当性向が高くなるということは、利益が増えれば増えた分だけ配当金の額も増えることを表します。
日本企業の平均配当性向が30%前後となっている中、フージャースの還元方針は「配当性向40%以上」です。つまり、フージャースと配当性向30%の他の企業が同じ利益を出した場合、フージャースに投資している方が多くの配当金がもらえることになります。
自己資本配当率とは?
自己資本配当率(DOE)とは、「配当金÷株主資本」で求められる、資本金に対する配当金の割合を示す数値のことです。株主資本とは、資本金や資本金を元に得られた利益を合わせた金額を指します。
日本企業の自己資本配当率の平均が約2.3%となっている中、フージャースの還元方針は「自己資本配当率4%以上」です。つまり、フージャースと自己資本配当率3%の他の企業が同じ株主資本だった場合、フージャースに投資している方が多くの配当金がもらえることになります。
配当性向の基準となる当期純利益が年度によって大きく変動する可能性があるのに対し、自己資本配当率の基準となる株主資本は年度による大きな変動は少ないです。そのため、企業が配当性向の他に自己資本配当率の基準値を設定することは、安定した配当金を多く還元する意思表示と捉えることができます。
まとめ
高利回り銘柄である、ケイアイスター不動産とフージャースホールディングスの株価と利回りについて詳しくご紹介しました。どちらも利回り約6.4%の高利回り銘柄ですが、ケイアイスター不動産は株主優待制度があり、株式投資に加え特典がもらえる楽しみも味わうことができます。フージャースのおすすめポイントは、安定して多くの配当金を配分する姿勢を示している還元方針です。