今回は、利回りが5%を超える評判の高い高配当銘柄の「新家工業」と「ファルコHD」についてご紹介します。両銘柄とも連続増配が続いている点にも注目されていますが、これまでの配当金推移や株主還元の企業目標から今後の配当金について考察しました。
新家工業(7305)
新家工業は、1903年に自転車用の木製リムの製造から始まり、金属製の自転車用リムや鋼管製品、型鋼製品などの金属加工製品を製造する企業です。自転車だけでなく、自動車や建築資材、産業用機器のパーツなど様々な製品を展開しています。
2024年度の業績は、売上高が約450億円で経常利益は約25億円です。売上高は毎年ほぼ横ばいですが、経常利益は2023年度が約50億円と好調だったのに対して2024年度は約半減しています。
新家工業の株価
2024年7月時点の株価は約5300円です。2022年頃までの株価は約1500円前後で低迷していましたが、2023年度以降ゆるやかに右肩上がりで上昇し、2024年に入ってから一気に高騰しました。
2024年1月時点では約3000円ほどでしたが、5月頃に一気に約5000円まで上昇し、その後約3カ月間5000円台を継続中です。この金額は過去20年間で最も高値となっています。
新家工業の配当と推移
2025年度の配当金は、9月末の中間配当で1株当たり100円、3月末の期末配当で200円の、合わせて300円となる予想です。
この金額は、2021年度の65円、2022年度の75円、2023年度の120円、2024年度の155円から4期連続で増配しています。なお、配当性向は2023年度までは約20%ほどでしたが、2024年度は約50%、2025年度は約98%となる見込みです。
新家工業は配当性向約50%を目標に掲げており、さらに2027年度までの約3年間は配当性向約100%を実施する方針を打ち出しています。2025年度の経常利益はやや増益を見込んでいることから、大幅な業績悪化がない限りは増配もしくは維持が続くことが期待できます。
新家工業の株主優待
新家工業の株主優待は、現時点では実施しておりません。
新家工業の利回りと推移
1株5300円で100株購入した場合、投資金額は53万円になります。配当金額は3万円となるので、配当利回りは約5.7%です。
2021年度以降の平均株価から算出した配当利回りの推移は、2021年度が約5.4%、2022年度が約4.6%、2023年度が約6.4%、2024年度が約5.5%と、毎年4%を超える高利回りとなっています。
ファルコホールディングス(4671)
ファルコホールディングス(以下、ファルコHD)は、約14000もの医療機関で臨床検査を行う企業です。臨床検査の取引実績は業界最大規模で、そのほかにも遺伝学的検査や食品環境検査、電子カルテなどの運営支援など、医療に関するさまざまな事業を行っています。
2024年度の業績は、売上高が約430億円で経常利益は約22億円です。売上高は毎年ほぼ横ばいですが、やや右肩下がりの減収が継続中です。経常利益は2022年度に約58億円の好成績を記録しましたが、2023年度は約33億円、2024年度は約22億円と、こちらも毎年の減益が続いています。
ファルコHDの株価
2024年7月時点の株価は約2400円です。2012年までは約1000円前後でしたが、2013年から約10年間かけて緩やかに株価が上昇し、新家工業と同じく過去20年間で現時点が最も高値の株価となっています。
ファルコHDの配当と推移
2025年度の配当金は、9月末の中間配当で1株当たり60円、3月末の期末配当で60円の、合わせて120円となる予想です。この金額は、2010年度から15期連続で増配もしくは維持が続いています。
配当性向は2021年度は約30%、2022年度は約19%、2023年度は約46%、2024年度は約76%と年度によって異なり、一貫性は見られません。無理のない範囲で毎年増配を続けていることから、今後も増配もしくは維持が継続されることが期待されます。なお、2024年度以降の配当金は、DOE5%を目標に掲げています。
DOEとは?
DOE(株主資本配当率)とは、企業が株主資本のうちどの程度の割合を配当金として株主に還元しているかを示す数値です。DOEの数値が高いほど、配当などによる株主への還元金額が大きいことを示しています。日本株式銘柄の中央値は約2%ほどなので、ファルコHDが掲げる5%の目標は、かなり高い水準です。
ファルコHDの株主優待
ファルコHDの株主優待は、現時点では実施していません。以前は年2回クオカードが株主優待として贈呈されていましたが、2020年3月贈呈分を最後に廃止されています。廃止の理由は、株主優待ではなく配当として利益を株主還元するためとのことです。
ファルコHDの利回りと推移
1株2400円で100株購入した場合、投資金額は24万円になります。配当金額は12000円となるので、配当利回りは約5.0%です。
2021年度以降の平均株価から算出した配当利回りの推移は、2021年度が約3.4%、2022年度が約3.5%、2023年度が約5.3%、2024年度が約5.7%と、2022年度以降毎年利回りが5%を超える高利回りとなっています。
まとめ
「新家工業」と「ファルコHD」は、どちらも今期配当利回りが5%を超えると評判の高配当銘柄です。さらに、どちらも株価の右肩上がりが続いている点と、株主還元の目標が高く設定されている点から、今後も高配当が続くことが期待されています。