日本の産業界では、数多くの企業が各分野でのリーダーシップを競い合っています。その中でも、ガス機器の独自開発で有名な「リンナイ」と、40万社もの中小企業に信頼されるリースサービスを提供する「リコーリース」は、それぞれの分野で独自の地位を確立しています。今回は両銘柄について、連続増配や将来性について解説していこうと思います。
リンナイ(5947)
リンナイ株式会社は、日本のエネルギー機器のトップメーカーとして、1920年に石油コンロの製造から事業をスタートしました。今では、ガスコンロ、給湯機器、暖房システム、さらには厨房機器や空調機器といった多様な商品を取り扱っています。特に、マイクロバブルやガス衣類乾燥機など他社とは一線を画す革新的な製品を開発し、市場での強固な地位を築いている企業です。
ただのガス器具メーカーではなく、幅広い熱エネルギー関連の高品質の商品を提供することで、営業利益率も高く維持されています。また国内でのトップシェアを誇るだけでなく、80カ国以上で事業展開し、多くの家庭の生活を支え続けています。
2023年10月現在の株価は、約2700円となっています。2023年3月31日を基準日として1株を3株に株式分割した影響もあり、下降気味になっています。
リンナイの株主優待
現在、リンナイは株主優待制度を実施していません。
リンナイの利回り
配当金がもらえる権利月は3月と9月の年2回です。前期の3月の中間配当は75円、期末は85円で年間では160円で分割後の調整を行った数字は53.33円となっていました。今期の中間配当は、30円の見込みとなり、年間配当では60円、それに伴い6.67円の増配となる予定です。
例えば1株2700円で100株購入した場合、投資資金は27万円ほど必要となり、配当金は6000円になります。株主優待はないので、配当金による利回りは約2.2%になります。
リンナイの株価下落はなぜ?強みは?
2022年頃は銅の原材料や物流費の上昇や、半導体などの調達難が採算を圧迫した影響で、株価が低迷した時期がありました。しかし、国内外の主力商品販売が好調で、前期の連結決算では、純利益は前年同期比9%増の260億円、売上高は同16%増の4252億円、営業利益は同15%増の414億円でした。更に株式流動性の向上と投資家層の拡大のために、2023年3月31日基準で、リンナイは1対3株の株式分割を実施しました。このことから一部株価の下落に影響を与えている状況です。
リンナイの強みは、なんと言ってもガス機器の独自開発に長けているところです。ガス衣類乾燥機「乾太くん」やマイクロバブル、エコワンなどを先駆けて開発し、高い営業利益率を保持しています。またアメリカ、韓国、オーストラリア、ブラジルなど多くの国で熱エネルギー機器を開発・展開しており、その数は海外80カ国以上での事業展開を行っています。
配当の面では、今期の年間配当60円を達成すると22期連続増配になる点も将来性を伺えるポイントです。
リコーリース(8566)
リコーリース株式会社は、リコーの系列に所属するリース・金融専門の会社です。1976年にリコーの製品をより多くの人々に提供するための販売支援として創設されました。その後、事務機器や医療機器、さらには環境関連機器といったさまざまな分野でのリースサービスを展開しています。現在ではビジネスローンや集金代行サービス、そして医師を対象とした支援など、多岐にわたる金融関連のサービスも展開しています。
他にはオフィス機器のリースだけでなく、工業用の機械、車両のリースも手掛けています。技術的な強みは、電子写真やインクジェット技術で、世界シェアでもトップクラスとなっており、オフィスや商業施設などで幅広く利用されています。
2023年10月現在の株価は、約4350円となっています。今期初頭の4月は決算後の落ち込みもあり、3700円台で推移していましたが、現在に至るまで右肩上がりに株価が上がっている状況です。
リコーリースの株主優待
株主優待がもらえる権利確定月は毎年3月の年1回になっています。株式保有数と保有期間で内容が異なっており、例えば100株を1年未満保有した場合は2000円相当のQUOカードが贈呈されます。同じ100株でも1年以上の保有になると倍額の4000円相当のQUOカードとなり、3年以上になると5000円相当となります。300株以上ですとカタログギフト(QUOカードも選択可)になるなど内容が変わってきますので、詳しくは以下のイラストをご参考ください。
リコーリースの株主優待と改悪について
2022年3月末権利から株主優待制度の内容が現行の内容に変更されています。それ以前は100株1年未満だと3000円相当のQUOカードが贈呈されるなど、全体で減額される改悪が行われました。ただ現行の内容でも一般的な水準の印象です。
リコーリースの利回り
配当金がもらえる権利月は3月と9月の年2回です。今期の中間配当は75円で、期末も同額の75円の予定になり、年間で150円の見込みとなっています。なお前期の年間配当は145円だったので、5円の増配となります。
例えば1株4350円で100株購入した場合、投資資金は43.5万円ほど必要となり、配当金は年間で15000円になり、配当利回りは約3.4%になります。100株を1年未満保有した場合、株主優待2000円分を加味すると総利回りは、約3.9%となります。
リコーリースの将来性
リコーリースはリコーグループの金融子会社として、中小企業を主な顧客として、40万社にサービスを提供してきました。特徴としては、高品質な業務体制、ベンダーリースの進化、最適な提案能力、小口の大量契約による信用リスクの低減が挙げられます。またサービス展開は、リコー製品のリースから、産業機械や医療機器のリース、さらには住宅関連サービスまで多岐に渡っている点です。
リース業界では成熟市場のため急激な成長は期待しづらいと言われていますが、直近7年の純利益成長率は16.3%と高い成長を遂げています。業界内での売上高ランキングは18位と安定した立ち位置ですが、今期の業績予想では売上が2.4%増加する一方、各種利益が減少すると予想されています。中小企業との取引がメインとなるため、国内の経済にある程度は依存する形になるため、景気に連動する一面もあります。
また配当の面では、2001年3月期以降、連続増配を継続しており、2024年3月期の配当が予想通りに実施されれると、24期連続増配を達成することになるので、ここも投資先を見極めるポイントになるかと思います。
まとめ
今回は連続増配を続けている「リンナイ」と「リコーリース」を紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
「リンナイ」は原材料コストの上昇や半導体の供給不足で株価が低迷しましたが、主力商品販売は好調で、利益を増加させ2023年には1対3の株式分割を行いました。
「リコーリース」は40万社の中小企業に様々な金融サービスを提供しています。ただリース業界は成熟しているため、今後の企業戦略が課題になります。連続配当は魅力的なので、業績に注視しながら検討してみてはいかがでしょうか?