今回は、ステンレス加工などでトップメーカーの「日本精線」と「日阪製作所」について紹介していこうと思います。両銘柄とも世界に誇る技術を持つ企業で、利回りも4%を超えています。今後の将来性も含めた内容にしていますので、当記事を参考にしていただければと思います。
日本精線(5659)
日本精線株式会社は、世界一細い線材(ワイヤー)を加工する技術を持つステンレス鋼線のトップメーカーです。ステンレス鋼線をベースに、金属繊維「ナスロン」や超精密ガスフィルター「ナスクリーン」などの独自製品を開発・製造し、炭素繊維や半導体製造に欠かせない製品として採用されています。
また、日本精線はステンレス鋼線から金属繊維まで一貫したものづくりを国内で唯一手掛けており、携帯電話や家電・自動車などのバネ材やボルト・ナットの素材用ステンレス鋼線で国内トップシェアを誇っています。
世界一細い線材の加工技術と、高強度や高耐熱性の製品力が強みになっている会社です。
日本精線の2024年1月現在の株価は、約5070円となっています。前期の同時期は4300円台で推移していましたが、年間を通して上昇傾向になっています。
今期の売上高目標は437億円と前期の実績より約53億円を下回る計画がなされています。直近の第2四半期累計(4-9月)の発表では、前年同期比14.6%減収の17.4億円の経常利益見込みとなっています。また、これに伴い通期の経常利益は従来予想の38億円から31億円へ減収する予定となっています。
日本精線の株主優待
株主優待がもらえる権利確定月は3月の年1回になっています。100株以上を保有した株主に対して、2000円相当のQUOカードが贈呈されます。
日本精線の利回り
配当は3月と9月の年2回実施され、前期の年間配当は210円となっていました。そして今期の年間配当も同額の210円が見込まれています。
例えば1株5070円で100株購入した場合、投資金額は約50.7万円が必要となり、年間で受け取れる配当金は21000円になるので、配当金利回りは約4.1%となります。また100株以上保有の株主優待を含めた総利回りは、約4.5%になります。
日本精線の将来性は?
日本精線は、ステンレス鋼線の分野で業界をリードするトップメーカーで、過去7年間で純利益の成長率が91.3%という高いペースで成長してきました。
日本精線の業績は、売上が3期連続で増加していましたが、今期は減収の見込みになっています。過去には平均で年間43.82%の増収を繰り返してきただけに、ここにきて減益減収になる予想です。
ただ、日本精線の強みは、世界で最も細いワイヤーを製造できる技術で、産業機器、電子機器、最先端技術開発など多くの分野での製品製造に活用されています。昨今、特に電子機器関連の世界的な需要が高まってきていますので、来期以降の回復を期待しているところです。
日阪製作所(6247)
株式会社日阪製作所は、ステンレス加工技術を活かした産業機械メーカーです。主な事業は熱交換器事業、プロセスエンジニアリング事業、バルブ事業で、プレート式熱交換器や染色機械の国内首位シェアを持ちます。
衣・食・住・医薬・環境・エネルギー分野に広く貢献しており、日本初となる染色機、プレート式熱交換器、ボールバルブの開発に成功した歴史を持つ企業です。
また、ステンレス加工の技術やそれに関連するニッチな分野に特化しており、競合が限られているため対策が立てやすいという強みを有している会社になります。
日阪製作所の2024年1月現在の株価は、約970円となっています。前期の同時期は840円台で推移していましたが、1年間を通じて株価が上昇している状況です。
今期の売上目標は前期より約11億円低い330億円になっています。4月から9月までの第2四半期(上期)の経常利益が、16.7%減の11.4億円に落ち込みました。また下期(10-3月)の経常利益も前年同期比16.0%減の8.5億円に減収する見込みとなっています。
日阪製作所の株主優待
株主優待は変更される可能性がありますが、2024年1月現在、権利確定月は3月の年1回です。300株以上を保有している株主に対してQUOカードが贈呈されます。保有期間に応じて変動し、3年未満の場合は1000円相当、3年以上の場合は2000円相当となります。
1000株以上の保有区分で、内容が変わってきますので詳しくは以下のイラストを参考ください。
日阪製作所の株主優待はいつ届く?
日阪製作所の株主優待は権利確定月3月ですので、6月の定時株主総会開催後に送付される決議通知と一緒に届く予定となっています。
日阪製作所の利回り
配当は3月と9月の年2回実施され、前期の年間配当は40円となっていました。そして今期も同額の年間配当40円の予定となっています。
例えば1株970円で100株購入した場合、投資資金は約9.7万円ほど必要となり、年間で受け取れる配当金は4000円になります。配当金だけの利回りは約4.1%となっています。また300株を3年未満保有の場合の株主優待を含めた総利回りは約4.5%となっています。
日阪製作所の連続増配がストップ
2023年3月期は80周年記念配で増配となっていましたが、今期は配当維持になってしまいそうです。2期連続の増配はこれでストップしてしまう形となりました。
まとめ
今回は、ステンレス加工産業で有名な「日本精線」と「日阪製作所」について紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
業界全体として業績が厳しい局面ですが、電子機器関連など今後の需要が高まることで、復調する可能性もある印象です。両銘柄ともに現株価では4%を超え、利回りとしてはとても魅力的な内容になっていますので、検討してみてはいかがでしょうか?