今回は高配当銘柄の中から、今期増配見込みの「オオバ」と「住江織物」を紹介していこうと思います。
どちらも専門分野で有名な会社ですが、増配を決めた背景の業績や強みや弱みについても触れていますので参考にしていただければと思います。
オオバ(9765)
株式会社オオバは、1922年に創業した総合建設コンサルタントで、土木や都市基盤整備をはじめ、まちづくりに関わる多岐にわたるサービスを提供している会社です。
日本を代表する建設コンサルタントとして、都市・地域計画、復旧・復興業務などで業界トップの実績を誇り、特に、都市基本計画や区画整理などによる都市基盤整備事業を通じ、福祉や防災、環境保全を含めた多角的なまちづくりを行っています。
また環境調査や環境アセスメントにも豊富な経験を持ち、土壌汚染対策や水質保全などの環境施設計画を手がけるなど、環境に配慮した都市開発に取り組んでいる企業です。
オオバの2024年3月現在の株価は約1000円となっています。前期の同時期は700円台で推移していましたので、年間を通して株価は上昇した形となっています。
今期の売上高目標は170億円と前期の実績より約13.5億円を上回る計画がされています。第2四半期累計(6月-11月)の経常利益は前年同期と比べて約25%高い5.9億円の増益になっています。ただし下期(12月-5月)の経常利益は前年同期と比べて約5%低い12.5億円になることが発表されています。
オオバの株主優待
株主優待がもらえる権利確定月は5月と11月の年2回になっています。5月は100株以上を1年以上保有している株主に対してQUOカードが贈呈され、2500株以上保有の場合は、ショコラボのチョコレート菓子が贈呈されます。
オオバの利回り
配当は5月と11月の年2回実施され、前期の年間配当は24円となっていました。そして今期の年間配当は34円と増配が見込まれています。
例えば1株1000円で100株購入した場合、投資金額は約10万円が必要となり、年間で受け取れる配当金は3400円になるので、配当金利回りは約3.4%となります。また100株を1年以上保有した場合、株主優待を含めた総利回り3.9%となります。
住江織物(3501)
住江織物株式会社は、1883年に大阪で創業したインテリア総合メーカーです。カーペット、カーテン、壁紙などの家庭用インテリア製品から、自動車や公共交通機関の内装材、航空機内装材、さらには電気カーペットや消臭関連商材まで、幅広い機能資材を手掛けています。
グローバル生産拠点による品質・供給の安定性や、技術融合による新素材開発力が強みになっており、環境に配慮した商品開発にも積極的に取り組んでいます。
また、国会議事堂や宮内庁への納入実績があり、日本初の手織りシートモケット製造や、ペットボトル再生繊維「スミトロン」の開発など、独自技術で業界をリードしている会社です。
住江織物の2024年3月現在の株価は、約2500円となっています。前期の同時期は2000円前後で推移していましたので、若干上昇した形になっています。
通期の売上目標は前期より約74億円高い1022億円になっています。第2四半期(6月-11月)の経常利益は前年同期と比べ11倍の16.9億円と増益しました。
住江織物の株主優待
株主優待は変更される可能性がありますが、2024年3月現在、権利確定月は5月の年1回となっています。100株以上を保有している株主に対して住江織物とゆかりのある地域特産品、200株以上保有ではオリジナルカタログギフトが贈呈される内容になっています。
例えば100株保有ですと、700円相当の商品となりますが、200株保有ですと4000円相当のカタログギフトとなります。保有区分で内容が変わってきますので、以下のイラストを参考にしてください。
住江織物の利回り
配当は5月と11月の年2回実施され、前期の年間配当は55円となっていました。そして今期は年間配当70円の予定となっており増配見込みです。
例えば1株2500円で100株購入した場合、投資資金は約25万円が必要となり、年間で受け取れる配当金は7000円になります。配当金だけの利回りは約2.8%となっています。また100株を保有した場合の700円相当の株主優待を含めた総利回りは、約3.1%となります。
「オオバ」と「住江織物」は買ってはいけないのか?
「オオバ」の正社員調査では、成長性や将来性を平均並みと評価されています。また事業の優位性、独自性、20代の成長環境、社会貢献度に関しては3.4点以上の高評価を受けています。
一方、転職サイト「転職会議」では、非正規社員の割合が高いことや、正社員内での役職がピラミッド式に決定される体制に対する懸念が指摘されており専門の技術者が不足している点が挙げられています。
業績の面では、今期は増収増益で配当も10円増配で年間34円とかなり魅力的な内容となっています。
一方、「住江織物」は自動車・車両内装事業が好調で、円安の影響もあり輸出で安定した業績を稼いでいます。ただし、事業の弱点として、繊維業界が全体的に苦戦していること、他の業界と比べて賞与の水準が低いこと、そして特筆すべき新製品がなければ業績は厳しいという意見も挙げられています。こちらも増収増益で増配を決めるなど、投資先としては魅力のある内容となっています。
まとめ
今回は高配当銘柄でかつ今期は増配見込みの「オオバ」と「住江織物」について紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
両銘柄の中身を見ると決して買ってはいけない内容ではないかと思います。大きな業績の増長は見込めない分野ですが、配当や株価の面でも毎期安定した印象ですので、中長期保有も視野に検討してみてはいかがでしょうか?