配当利回りが10%を超えるかなりの高配当銘柄として有名だった「商船三井」と「日本郵船」の銘柄は、今年度も高配当となっているのでしょうか?激減していると噂の配当利回りを調査し、今買うべきかどうか検証します。
商船三井(9104)
商船三井は、1878年から約140年間海運業を行っている企業です。鉄鉱石や石炭などの資料を世界中から輸送するドライバルク事業をメインに、石油製品や液化天然ガスなどを運ぶエネルギー事業、国際貨物を運ぶ製品輸送事業、クルーズ船の運航など、海運業に関わる様々な事業を展開しています。
2024年度の売上高は約1.6兆円と2023年度からほぼ横ばいである一方、経常利益は2023年度が約8000億円だったのに対し2024年度は約2600億円と、約7割減の大幅減益となりました。
商船三井の株価
2024年7月時点の株価は約4700円です。2009年から2020年まで約10年間株価が約2000円以下で低迷していましたが、2021年度以降株価の急上昇が続いています。
海運業の銘柄は景気変動株と呼ばれ、株価変動が非常に大きい銘柄が多いのが特徴です。商船三井の株価も変動が大きく、2024年に入ってからは約4400円から約5400円の間で何度も変動波が発生しています。
商船三井の配当と推移
2025年度の配当金は、9月末の中間配当で1株当たり100円、3月末の期末配当で80円の、合わせて180円となる予想です。配当金の推移は、2021年度が50円、2022年度が400円、2023年度が560円、2024年度が220円となっており、2025年度の配当金は2期連続で減配されています。
なお、配当性向の推移は、2021年度から2023年度は20%台で、2024年度は30%台でした。配当金は減配となりましたが、配当性向はむしろ高くなっており、業績悪化の影響がうかがえます。
商船三井の株主優待
株主優待は、毎年9月末と3月末の権利確定日に、100株以上の株式を保有する株主に対して、株式の保有数に応じて贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、クルーズ船旅行およびフェリーサービスの割引券です。
なお、300株以上の株式を2年以上継続して保有する株主に対して一律に、3000円相当のカタログギフトも贈呈されます。贈呈される株主優待の内容と相当額は、下記のイラストをご参考ください。
商船三井の利回りと推移
1株4700円で100株購入した場合、投資金額は47万円になります。配当金額は18000円となるので、配当利回りは約3.8%です。
2021年度以降の平均株価から算出した配当利回りの推移は、2021年度が約6.1%、2022年度と2023年度が約17.0%、2024年度が約5.4%となっています。
毎年利回りが4%を超える高配当銘柄で、特に2022年度と2023年度は配当利回りが10%を超えるかなりの高配当を記録しました。2025年度の利回りは現時点で4%を下回るため、以前ほどの高配当は期待できません。
日本郵船(9101)
日本郵船は、国際貨物を運ぶコンテナ船などの定期船事業や資料やエネルギーなどを運ぶ不定期船事業など、海運業に関わる様々な事業を行う企業です。海運業のほかにも、飛行機を使った航空運送事業やトラックを使った物流事業など、海運業以外の輸送に関わる事業も行っています。
2024年度の売上高は約2.4兆円で2023年度の売上高からほぼ横ばいです。経常利益は2023年度が約1兆円だったのに対し2024年度は約2600億円と、約7.5割減の大幅減益となりました。
日本郵船の株価
2024年7月時点の株価は約4600円です。日本郵船も株価も商船三井と同じような推移で変動しており、2009年から2020年まで約10年間株価が約1000円以下で低迷し、2021年度以降株価が急上昇しています。
日本郵船の配当と推移
2025年度の配当金は、9月末の中間配当で1株当たり80円、3月末の期末配当で80円の、合わせて160円となる予想です。
配当金の推移は、2021年度が66.66円、2022年度が483.32円、2023年度が520円、2024年度が140円となっており、2025年度の配当金は2024年度からやや増配しています。なお、配当性向の推移は毎年20%台で大きく変わりありません。
日本郵船の株主優待
株主優待は、毎年3月末の権利確定日に、100株以上の株式を保有する株主に対して、飛鳥クルーズの10%割引券が、株式の保有数に応じて贈呈されます。贈呈される株主優待の内容と相当額は、下記のイラストをご参考ください。
日本郵船の利回りと推移
1株4600円で100株購入した場合、投資金額は46万円になります。配当金額は16000円となるので、配当利回りは約3.5%です。
2021年度以降の平均株価から算出した配当利回りの推移は、2021年度が約9.7%、2022年度が約19.2%、2023年度が約16.3%、2024年度が約3.6%となっています。
2023年度まではかなりの高配当銘柄でしたが、2024年度以降、利回りが3%台まで落ち込んでいます。商船三井と同様、高配当銘柄への投資を期待しているのであれば、現時点での投資は得策ではありません。
まとめ
商船三井と日本郵船の利回りは、どちらも3%台まで落ち込んでいるため、配当金を目的に投資するのであれば別の銘柄への投資を検討することをおすすめします。
ただし、2銘柄とも現時点でまだ株価が上昇中です。株価変動によるさらなる株価上昇を目的とした投資は十分期待できますので、今後の株価の動きにぜひとも注目してみてください。