今回は、インキ関連業界で注目を集める「artience」と、水栓バルブメーカーとして知られている「キッツ」を紹介していこうと思います。どちらも6月に配当実施銘柄があり、高配当を期待できる銘柄ですが、今期の配当見込みはどうなるかについて解説していこうと思います。
artience (4634)
artience株式会社(旧:東洋インキSCホールディングス株式会社)は、1896年に創業した東京都に本社を置く凸版印刷グループの総合色彩化学メーカーです。印刷インキを始め、食品パッケージや化粧品ボトル、自動車、スマートフォン、液晶テレビなど日常生活に密接な製品に使用される化学材料を取り扱っている企業です。
artienceは素材合成技術、配合設計、塗加工技術に至るまでの幅広いコア技術をグループ内で保有し、エレクトロニクス、ヘルスケア、エネルギー分野への技術応用を通じて新市場開拓にも取り組んでいる会社になります。グループメッセージ「Visible Science for Life 目に見える科学で生活に貢献する」を掲げており、バランスの取れた事業セグメントを保有しており安定した事業展開を行っています。
artienceの利回り
artienceの2024年5月現在の株価は3300円で、前年同時期の2100円から大きく株価を上げています。
配当は前期と同様に90円で配当維持が予定されています。例えば、1株3300円で100株購入した場合、投資金額は約33万円が必要となり、年間で受け取れる配当金は9000円になります。配当利回りは約2.7%となります。
また、株主優待として200株を1年以上保有する株主に対して1000円相当の優待があるため、200株を保有した場合の総利回りは約2.9%となります。
artienceの株主優待
artienceの株主優待は、6月に200株以上を1年以上保有する株主に対して、1000円相当のオリジナルカタログギフトが贈呈されます。内容はカゴメのジュースセットや、亀田製菓の煎餅のセットなどから1つを選べる形になっています。
また、500株以上保有では、期間に応じて内容が変わってきますので、詳しくは以下のイラストを参照ください。
artienceの強みと弱み、将来性は?
artienceの強みは、インキに関する製品ラインナップの幅広さと研究開発力が挙げられます。製品のカバー力が広いことで、様々な顧客ニーズに対応することができ、持続的な成長を行っています。また、環境保護への取り組みも評価されています。
一方で、インキ関連の化学品業界は技術開発のスピードが速く、新製品の開発競争が激しいため、研究開発費の増大が利益を圧迫する可能性があると言われています。しかしながら、artienceはこれまでの実績からも、研究開発への積極的な投資が成果を上げているため、将来的にはさらに高い成長が期待されています。
キッツ (6498)
株式会社キッツは、水や空気、石油、ガスなどの流体を制御するバルブの製造・販売を行う日本を代表する総合バルブメーカーです。全工程を社内で一貫して行う生産体制を持つことで、高品質なバルブを迅速かつコスト効率よく生産しており、建築物の空調、消火、給水設備など様々な分野での製品を提供している企業です。
1989年には日本企業で初めてISO9001の認証を取得し、品質管理においても先駆者となっており、国内市場では圧倒的なブランド力と独自の流通網を持ち、競合他社との差別化を図っています。また、バルブの修理や点検など、製品ライフサイクル全体のサービスも提供しており、業界内での位置づけをさらに強化しています。
キッツのモットーは「より良いものをより早くより安く」であり、バルブを通して私たちの日常生活や産業活動において豊かな社会づくりに貢献している会社です。
キッツの利回り
キッツの2024年5月現在の株価は1130円で、前期の同時期の株価1050円とほぼ同水準で推移しています。
また配当は前期と同様に41円の配当維持が予定されています。例えば、1株1130円で100株購入した場合、投資金額は約11.3万円が必要となり、年間で受け取れる配当金は4100円になります。配当利回りは約3.6%となります。優待を含めた総利回りは割愛いたします。
キッツの株主優待
キッツの株主優待は、6月と12月の年2回行われています。6月は100株以上の株主に対して、家庭用高性能浄水器の割引販売やホテルの宿泊割引、そして日帰り入浴の割引や北澤美術館の招待券など、様々な特典が贈呈されます。
また、12月は1000株以上保有の場合、QUOカードが贈呈される内容となっています。具体的な内容については、以下のイラストを参照ください。
キッツの強みと弱み、将来性は?
キッツの強みは、長年の経験と技術力に裏付けられた高品質なバルブ製品の提供が挙げられます。特に、水道用バルブや工業用バルブにおいては、国内外で高く評価されています。
一方で、バルブ業界は競争が激しく、価格競争にさらされることが多いため、利益率の低下が懸念されると言われています。しかしながら、キッツはこれまでの実績と技術力により、競争力を維持しており、さらに新しい市場への展開や製品ラインの拡充を図ることが期待されています。
まとめ
今回は「artience」と「キッツ」について紹介しましたが、いかがだったでしょうか?両銘柄ともに、今期は配当維持の見込みですが、「artience」2%後半の利回りで、「キッツ」は3%を超える利回りです。
特に「artience」はインキ関連の製品ラインナップと研究開発力が強みで、キッツは長年の経験と技術力に裏付けられた高品質なバルブ製品が魅力です。両社ともに将来性があり、投資初心者にもおすすめできる銘柄ですので、参考にしていただければと思います。