医薬品関係の企業は、製薬会社だけでなくその流通を担う企業も多く存在しています。今回は日本のヘルスケア業界をリードする「アルフレッサ」と「サンドラック」について、紹介していこうと思います。
「アルフレッサ」は幅広いヘルスケア領域として展開しており、一方、サンドラッグは全国のドラックストアチェーンとして名を馳せています。長期投資を行ううえで、2つの銘柄がどのような内容なのか、解説していこうと思います。
アルフレッサホールディングス(2784)
アルフレッサホールディングス株式会社(以後、アルフレッサ)は、医薬品や医療関連商品の卸販売や製造販売を行う持株会社です。 東京の福神株式会社と大阪の株式会社アズウェルが株式移転を行い、2003年9月29日に共同で設立されました。
2004年10月1日には両社の事業が卸事業会社と製造事業会社に統合されています。アルフレッサは、ヘルスケアコンソーシアムを実現することを目指している企業で、同業種ではメディパルホールディングスと並ぶ大手として位置づけられています。
アルフレッサの文字の入った配達車を見かけたことが、あるのではないでしょうか?
2023年10月現在の株価は、約2400円となっています。2020年から2021年頃は下降気味で、株価も1700円台を推移していましたが、今年の4月頃から株価を押し上げている状況です。
アルフレッサの株主優待
現在(2023年)、アルフレッサの株主優待制度は行われていません。
アルフレッサの利回り
配当金がもらえる権利月は3月と9月の年2回です。前期の9月の中間配当は28円、期末は29円、年間で57円となっていました。今期の中間配当は、前期より6円高い34円となり、期末も同額の35円、年間配当69円と増配となる見込みです。
実は、今期のアルフレッサは、設立20周年を迎えることとなり「1株あたり10円」の記念配当を実施されました。また「22ー24 中期経営計画」では、株主資本配当2.4%以上の株主還元を基本方針とし、安定的な株主還元を目指すことが発表されています。
例えば1株2400円で100株購入した場合、投資資金は24万円ほど必要となり、配当金は6900円になります。株主優待制度はないので、配当金による利回りは約2.9%になります。
アルフレッサの将来性
アルフレッサは、直近7年間の純利益成長率では10.3%を記録し、その実績により業界内の売上高ランキングで16位という高い位置を確立しています。 大きな強みとして、高齢化が進む2040年までの持続的な薬の需要が挙げられます。さらに、物流センターを戦略的に配置しており、全国の支店や事業所ネットワークを活用して、病院、調剤薬局、ドラッグストアなどの顧客からの多様なニーズに迅速に応える体制を作り上げています。
また、医薬品や医療機器のメーカーとの広範囲な取引を基盤として、安定的な供給を保てる信頼関係があることも大きいポイントです。 経営的な観点では、中長期的なビジョンとして、基盤となる事業の収益性を強化し、新規や成長事業の収益を拡大することで、利益の成長を図る方針を発表しています。そして、22-24年度の中計期間中にDOE(株主資本配当率)を2.4%以上に向上させる目標も掲げており、2023年度には自己株式取得を350億円で実施するとプレスリリースされています。
サンドラッグ(9989)
株式会社サンドラッグは、東京都府中市に本社を構え全国展開しているドラッグストアチェーンです。現在、国内では600を超える直営店舗とフランチャイズ店舗を展開しています。 元々は1952年に東京都世田谷区で創業され、1965年にはチェーン展開を行なっています。
1980年代に入ると、主に郊外での大型のドラッグストアを多数開店します。 また当時は珍しく売上、受発注、物流などの業務をデジタル化とオンライン化を進めることで、業務効率の向上を行なっています。
店舗の特徴としては、利便性を追求した立地にこだわり特に駅前や商店街、住宅街に位置する店舗で展開されており、「郊外型」と「駅前型」の2つのタイプに分けて、それぞれの地域性や利便性に応じたサービスを提供しています。
2023年10月現在の株価は、約4100円となっています。2021年後半は下降していき3000円台を切っていましたが2022年7月頃より徐々に上昇し、現在は過去数年間では、高値圏に位置しています。
サンドラッグの株主優待
株主優待は変更される可能性がありますが、2023年10月現在、権利確定月は3月の年1回です。100株以上の保有でプライベートブランドの商品と2000円相当の優待券が贈呈されます。PBブランドの商品は12種類から選ぶことができる内容となっています。詳しくは以下のイラストをご参考ください。
サンドラッグの利回り
配当金がもらえる権利月は4月と10月の年2回です。前期の中間配当は25円、期末配当は28円で年間で53円となっていました。今期の中間配当では40円の実績となり、期末も同額の40円、年間80円の年間配当になる見込みになります。当初の予想から24円の増配予定になり、ここ数年連続増配が行われている状況です。
例えば1株3000円で100株購入した場合、投資資金は約30万円ほど必要となり、年間で受け取れる配当金は8000円になります。配当金の利回りは約2.7%となっています。100株以上保有した場合は、株主優待が付いてきますが、オリジナル商品のため優待利回りについては、割愛させていただきます。
サンドラッグの将来性
サンドラッグは、2026年3月期までの目標として連結売上高1兆円の達成を掲げています。これはそのビジョンを具体的な数値として示すもので業界内での同社の地位をより高める意向を感じさせます。
EC(電子商取引)における売上は、2022年3月期には125億円とされ、その後、順調に伸びを続け、2027年3月期には440億円までという大きな成長を見込んでいます。この推移からも、オンライン市場への取り組みが着実に結果を上げていることがわかります。
さらに、過去2年間の業績を詳しく見てみると、売上高は2期連続での増収を実現しています。その増収の平均率は8.85%。営業利益に関しても前期は増益に転じ、その増益率は9.98%と、堅実な経営を続けていることが伺えます。
サンドラッグの強みとして、業界内で随一と評価される「入社15年教育カリキュラム」が挙げられます。これは、社員の教育・育成に特別な注力をしていることを示しています。
また、過去10年間で売上高・経常利益は3倍以上に成長しており、店舗数も日々増加の一途を辿っています。 しかしながら、全てが順調というわけではなく、純利益に関しては成長が鈍化している兆しも見られます。直近7年間の純利益成長率は-9.4%と、マイナス成長を示しており、今後の経営課題として取り組むべき点も存在するようです。
まとめ
今回は日本の有名な製薬会社を紹介しましたが、いかがだったでしょうか?「アルフレッサ」は物流とネットワークから医療を支える企業で、株主還元も発表しており安定性が期待されます。
一方、「サンドラッグ」は著者の近所にも店舗があり、私たちの生活に比較的身近な企業で堅実な事業展開を行なっています。どちらも連続増配を続けていますので、長期保有を検討してみてはいかがでしょうか?