「日経平均株価が最高値更新」、一方でドル円は足踏み
日経平均株価は2月22日、3万9000円台まで上昇しました。バブル期の1989年末につけた取り引き時間中の高値3万8957円44銭や、終値ベースの高値だった3万8915円87銭を上抜け、最高値を更新しました(図表1)。
高値更新局面では米半導体大手エヌビディアの好決算や株価好調が日本の株価にも大きな影響を与える半導体関連の物色を誘い、株価を押し上げた側面があったようです。その後も警戒感を強めてもおかしくない最高値圏にもかかわらず連日上値を試す動きが続きました。半導体主体の流れにとどまらず、他のセクターにも循環物色の輪が広がっているようです。
ただ、日経平均株価がじりじりと高値を更新するリスク選好局面でも、ドル円は2022年10月につけた151.95円、23年11月の151.91円、そして「日経平均株価が最高値更新」するやや前の2月13日につけた年初来高値150.89円を前に足踏み。「日経平均株価が最高値更新」して以降の上値は26日の150.84円にとどまっています(図表2)。
ドル円が上値を伸ばすには「日経平均株価が最高値更新」したことによるリスク選好の円売りだけでなく、もう一押しの支援要因が必要なようです。日米間の通貨交換を行うための基準となる為替水準を押し上げるためには「日経平均株価が最高値更新」という本邦サイドの材料だけでなく、もう一方の米国サイドのドル買い材料が必要かもしれません。
高値更新できないドル円に必要な後押し
直近の注目点は29日発表の1月米個人消費価格指数(PCEデフレーター)の強弱でしょう。米連邦準備理事会(FRB)金融政策を決定する際に重要視しているインフレ指標の同コア指数は前年比+2.8%と、12月の+2.9%から伸びが鈍化するとの見方です。
インフレ動向の落ち着きが確認されれば「日経平均株価が最高値更新」するなかでもドル円の頭が抑えられる展開が続くでしょうか。前回との比較だけでなく、市場予想の目線とのずれ具合も為替の振れを左右しそうです。
そして今回のような局面だけでなく、常に注目を集めやすい米雇用統計も当然注視されるでしょう。やや先の3月10日に2月分が発表になりますが、2月2日に発表された前回1月分が18万人程度の伸びを見込んでいた非農業部門雇用者数の市場予想を大きく上回り+35.3万人と、+21.6万人から+33.3万人に大きく上方修正された12月分よりかなり強い結果になったことは、足もとのドル円の底堅さにつながりました。
雇用情勢は賃金の動向を通じた潜在的なインフレ圧力の示唆となります。FRBの金融政策の行方を占う上で金融マーケット参加者の関心を集める大きなポイントとなります。
これらの材料を落ち込みつつ3月19・20日の連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策決定の発表を待つことになりますが、現状はシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」で、6月FOMCの0.25%利下げ確率がようやく同会合での金利据え置き確率を上回り始めてきたぐらいの状態です。
今年前半にも利下げ開始と前のめりになっていた金融マーケットが、FOMCメンバーの見通しドットチャートの見方に近づくことで進んだドル円の上昇が一層進行するかどうか、コアPCEデフレーターや米雇用統計の内容を通じて米金融政策の行方を追うことになります。「日経平均株価が最高値更新」することとともに、こうした米国サイドの材料もともない、ドル円が高値を更新していく流れに乗るか見定める局面にあります。