「ドットチャート」ターミナルレートに注目
米現地14日(日本時間15日午前4時)結果公表の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、「ドットチャート」(FOMCメンバーの予想分布図)の内容が最大の焦点となりそうです。特に「ドットチャート」におけるターミナルレート(利上げの最終到達点)の引き上げ幅予想(中間値)にマーケットは注目しています。ターミナルレートの予想水準引き上げを受けた米金利上昇が予想されます。
13日発表の11月米消費者物価指数(CPI)は前年同月比+7.1%と、市場予想の+7.3%を下回り、10月の+7.7%から伸び率が鈍化しました。6月の+9.2%をピークに、5カ月連続で上昇率が縮小。エネルギーと食品を除くコア指数も同+6.0%と、市場予想の+6.1%より弱く、10月の+6.3%から伸びが縮小しました。こちらも9月の+6.6%を目先の天井に、2カ月続けて上昇率を縮める格好となっています。
CPIの伸び鈍化を受け、14日FOMCにおける政策金利であるフェデラル・ファンド・レート(FF金利)の誘導目標レンジの引き上げ幅は、現行の3.75-4.00%から、4.25-4.50%への50bp(ベーシスポイント、1bp=0.01%)に落ち着きそうです。シカゴ・マーカンタイル(商業)取引所=CMEグループが公表しているFF金利先物から計算した政策金利の織り込み度「フェドウォッチ(FedWatch)では、0.50%利上げの織り込み度が前日の73.5%から79.4%へ上昇。8割方、0.50%の金利引き上げを見込む状態となりました(図表1)。
「ドットチャート」ターミナルレート4.9%現実視しつつ、5.125%へ引き上げか
利上げ幅の見方が固まり、焦点はより「ドットチャート」ターミナルレートに集まりそうです。マーケットでは、パウエルFRB議長がこれまでの発言のなかで示唆してきた4.9%付近(FF金利誘導目標4.75-5.00%)程度の水準を見込む声や、9月時点の2023年末予想4.625%から50bpの引き上げ(5.125%)を想定する予想などが聞かれます(図表2)。
4.9%付近との見方は、今回FOMCでの50bp利上げ(4.25-4.50%)を経て、来年1月に25bp(4.50-4.75%)へ利上げ幅を縮小。3月にもう1度25bp(4.75-5.00%)へ利上げして、以降に金利を据え置いた際のレンジ中間値4.875%を想定した見方でしょう。
一方、5.125%は、前述した道筋による3月4.75-5.00%までの利上げを行った上で、状況に応じて金利引き上げを再開するバッファーを持たせた予想と想定できます。4.9%付近(4.75-5.00%)までの金利引き上げを現実視しつつ、同水準で利上げが打ち止めになり、その後に利下げへ転じる流れをマーケットが早々に織り込み始め、これまでの金利引き上げで積み上げてきたインフレ抑制効果の後退を回避するとの見方です。
4.9%を現実路線としつつも、
9月FOMC時点予想
・2022年末・4.375%、2023年末・4.625%、2024年末・3.875%、2025年末2.875%
上記から、それぞれ来年末以降の予想水準を50bずつ引き上げ、
・2022年末・4.375%、2023年末・5.125%、2024年末・4.375%、2025年末3.375%
以上のように、マーケットの金利頭打ち感の排除を意図した予想水準の50bp引き上げを想定するなら、市場はまず米金利上昇、ドル買いで反応しそうです。しかし、米金利上昇を嫌気した株安やコモディティ相場の下落が、マーケットのリスク回避姿勢を強める展開など、2次的な反応にも注意が必要となります。