「JOLTS」を受けドル円は高値更新、『覆面介入?』で下振れ
米雇用指標の好結果を受けてドル円は150円を回復しました。直後に『覆面介入?』とも思われる下振れになるなど荒っぽく上下。週末10月6日の米雇用統計でも同様の激しい動きになる展開を視野に入れておくべきかもしれません。
10月3日のNYマーケットでドル円相場は一時150円台を回復しました。9月27日に149.71円、前日10月2日にも149.87円までに上値をとどめ150円を目前に足踏みしていました。本邦通貨当局による円買い介入への警戒感が同大台への仕掛けをためらわせていたようです。
しかし8月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が961.0万件と予想の880.0万件を大幅に上回ったことが伝わると、米金利の上昇とともにドル買いが先行。節目150円突破の後押しとなり、一時150.16円と2022年高値151.95円をつけた同年10月21日以来の150円乗せとなりました(図表1)。
ただ、150円回復直後にまとまった規模の円買いフローが流入。瞬く間に147.43円まで下振れました(図表2)。マーケットでは「政府・日銀が介入に踏み切った可能性がある」との見方が浮上しています。
直後のメディアの取材に対して財務省関係者は為替介入の有無について「ノーコメント」と回答しました。翌朝の登庁時の取材において財務省の為替政策など国際問題を総括する神田財務官も「(介入の有無について)コメントを控える」としています。
一方で神田財務官は「過度な変動に対してはこれまで通りの方針で臨んでいる」「一定期間に非常に大きな動きがあった場合は過度な変動にあたりうる」と述べ、「過度な変動が企業や家計の経済活動に悪影響を与えることに変わりなく望ましくない」としたうえで「過度な変動に対し、あらゆる手段を排除せず適切に対応」との姿勢を改めて示しています。
鈴木財務相も「安定的な動きが望ましい」「急激な動きは好ましくない」「(過度な変動に対し)あらゆる対応を排除せず、しかるべき措置を取る」との見解を示しました。「(為替の動きを)極めて注意深く、緊張感を持って見ている」と円安をけん制。「『覆面介入』を行った」との指摘も出ています。
「JOLTS」に続き「米雇用統計」後の金利・為替と『介入有無』に注目
ここもと注目度を高めている「JOLTS」の好結果を受けてドル円は高値を更新しましたが、この流れで注視されるのが週末6日の9月米雇用統計を受けた為替の反応でしょう。マーケットは非農業部門雇用者数の増加について16.8万人程度と、予想を上回った8月の18.7万人よりやや落ち着くと見込んでいます。
一方で8月は弱い内容となり米金利の低下を誘った失業率は3.8%から3.7%、平均時給は前月比+0.2%から+0.3%に改善、前年比は変わらずの+4.3%の伸びと総じて底堅い結果を見込んでいます。
・「JOLTS好結果」→「米金利上昇」vs『覆面介入?』
の三つ巴のせめぎ合いに続き、
・JOLTS同様に注目される米労働関連指標の「雇用統計」、「米金利・為替動向」『介入・警戒感』
の次なる三つ巴の行方に注目が集まる局面となります。
主に指標結果の予想比の強弱に反応した米金利・ドル相場の振れが先行することになりそうです。その後は米金利の上昇が将来の景気の重しになるとの見方や、金利低下が景況改善につながるとの見方を受けた株価動向・リスクセンチメントの流れに円相場がリスクオフ・オンの反応を示す展開が想定できます。
そして円安が進行した場合の『介入有無』や関連した思惑によるフローがどのように絡んでくるか注視することになります。