言葉からひも解くマーケット

第88回「為替介入実績」区切りの28日以降の動き注視

ドル円 152円RNOヒット目前まで上昇

 

ドル円相場は3月27日昼ごろ、2022年高値151.95円をわずかながら超えて一時151.97円と(図表1)、1990年以来の152円台回復に迫るドル高・円安水準を記録しました(図表2)。同大台への到達は152.00円に設定されたオプション(OP)に関連したオペレーションなどを含む厚い売りに阻まれましたが、風前の灯といえる状態です。


 

円売りの後押しとなったのは田村日銀審議委員が同日午前、青森で行った講演で「当面緩和的な金融環境が継続する」と述べたことが後押しになりました。併せて「金利機能が発揮できる水準まで(金利水準を)戻す」などとも述べていましたが、タカ派(金融引き締め派)とされる同委員が緩和的な状態継続に振れた一部の言及が採り上げられて円売り材料にされる格好になってしまいました。

 

ちなみに152.00円のOP関連の売りには、リバース・ノックアウト・オプション(RNO)という消滅条件をつけたOPに絡む動きが大きく寄与しているようです。足もとの同オプション(OP)の一例は、下値145.00円でドル買い・円売りする有利な権利が、152.00円をヒットしてしまうと消滅する仕組みだといいます。

 

RNOは消滅条件をつけることでOP設定の手数料を安くするために組む戦略の1つです。ここまでのような速度で円安が進むと想定しなかった向きが、割安なOP料で利用できるこの手段の提案を受け入れたのでしょうが、思ってもいなかったほどの円安が実現しかねない局面にあるということになります。

 

RNOの消滅条件が発動されれば、OPの権利行使による為替の手当てを目論んでいた企業など実需筋は、穴埋めで円を売り直す必要があります。152.00円突破により達成感が生じるにしても、いったんはヘッジなどの円売りが加速するリスクがあります。

 

 

3月「為替介入実績」範囲外となる28日以降の動向注視

 

円安進行に対して、鈴木財務相が「高い緊張感をもって見ている」「行き過ぎた動きにあらゆる手段を排除せず断固たる措置」と述べるなど、本邦通貨当局から警戒感も示されています。しかし、口先だけで円安加速への警戒感を示しても、実際に介入が行われなければ円売りの流れを緩めるのは難しいでしょう。

 

ただ、29日の財務相による3月為替介入実績公表を控えるなか、27日までは介入を実施しにくいとの見方があります。月末29日と為替の決済期間を挟む2営業日前に当たる27日までが、3月介入実績に含まれる範囲になります。

 

27日までに実際に介入を行って実績を残し、「断固たる措置」を取ったと示す効果もあるかもしれません。一方で介入実施の有無が一定期間にわたり不明確な中で投機筋に疑心暗鬼を生じさせ、実需を伴わない仕掛け的な円売りの動きを鈍らせる効果も期待できます。

 

いずれにしろ27日までは介入が行いにくいとマーケット参加者はみているようです。介入がより実施されやすいとされる28日以降の動き、152.00円のRNO絡みの動向も踏まえて注視することになります。

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第88回「為替介入実績」区切りの28日以降の動き注視
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為替情報部 アナリスト

関口 宗己

1987年商品取引会社に入社、市場業務を担当。1996年、シカゴにて商品投資顧問(CTA)のライセンスを取得。 市況サービス担当を経て、1999年より外国為替証拠金取引に携わり、為替ブローキングやIMM(国際通貨先物)市場での取引を経験した。 その後、外国為替証拠金取引会社で市況サービスを担当した後、2006年2月にマネーアンドマネー(現・DZHフィナンシャルリサーチ)記者となる。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CTMA2)。日本ファイナンシャルプランナー協会AFP。 その他、社会科教員免許、特許管理士、ボイラー技師、宅地建物取引主任試験合格証などを所持。趣味では2級小型船舶免許、オープンウォーター・スキューバダイビング免許を取得している。

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