「米景気先行指数」今回は残念ながら悪化予想
4月20日発表の「米景気先行指数(景気先行指標総合指数)」の3月分は、現時点で市場予想が前月比-0.6%と、前回の-0.3%より悪化すると見込まれています。指標結果の金融マーケットへの影響は、同一日に発表となる指標やマーケットの地合いにも左右され断定が難しい面はあるものの、総じて強弱が素直に米株など金融マーケットの動向に反映される感があります。強めな結果に株価が下支えされやすい一方、弱い結果は上値を抑えがちです(図表参照)。
前回発表の2月分は-0.3%と、おおむね予想通りの内容でしたが、一部で-0.2%程度の落ち込みにとどまるとの見方もあり、それよりはやや弱めな結果でした。米中堅銀行やスイス金融大手クレディ・スイスの経営不安に対する懸念が拭いきれない状態といったタイミングでもありました。米株は重く推移しました。
既出指標がソースながら、予想とかい離も
「米景気先行指数」は、民間調査機関コンファレンスボードが、
・労働関連指標(失業保険申請件数平均値、製造業労働時間)
・景況・企業活動関連指標(消費者信頼感、建築許可・住宅着工、非国防資本財受注、消費財新規受注、入荷遅延率)
・金融市場動向(長短金利格差、S&P500株価指数、マネーサプライM2)―これら景気に先行して反応するとされる指標をウェイトづけして算出した総合指数です。
個別で発表済みの指標がソースになっているため、市場予想からあまりかい離しないとよく説明されます。直近2月、そして1月分も予想通りでしたが、実際はばらつきが目立つ月も多く、予想比とのかい離がマーケットの動意材料になることがあります。
日本でも同様の指標として、景気動向指数(DI)の先行指数があります。こちらは過去、おおむね市場予想通りの結果となることがほとんどでした。そのため、発表値を受けてマーケットが動意づくイメージはありません。
近年、以前よりも市場予想と結果がかい離するようになってきた感はあります。しかし、マーケットの反応は引き続き鈍いのが実情です。
「米景気先行指数」強弱へ株・金利・ドル素直に反応しやすい
ここ最近は、金利低下をにらんで株価が上昇したり、金利上昇に株安で反応したりといった、「金融相場」的な動きがマーケットを主導する局面が目立ちます。しかし、「米景気先行指数」は、景況を反映した強弱が、米株式市場に直接インパクトを与える感触があります。
この株価の上下にともない、株高に金利上昇、株安に金利低下と、「業績相場(≒景況相場)」的な動きといったところでしょうか。
米金利低下で米株が上昇しても、ドルは上値が重く、ドル円はさえない動きになることがあります。ドル円の重さが、翌日の日本株を圧迫して、米株高の恩恵を十分に受けられない局面にもよく出くわします。
しかし、事前予想に反する強い「米景気先行指数」発の米株高となれば、株価動向に呼応した米金利上昇も期待できます。ドル円の底堅さにつながることも想定でき、翌朝の日本株市場にも好影響をもたらすでしょう。
20日発表の「米景気先行指数」は弱めな予想で、今回はいまのところポジティブな期待が持ちにくい状態です。しかし結果の強弱を受け、マーケットがどのように反応するか見定める際、ここで述べたような視点を備えておきたいものです。