言葉からひも解くマーケット

第34回「米利上げ長期化観測」根拠となった米経済指標の行方注視

意外な強さの1月米経済指標で「米利上げ長期化観測」浮上

 

2月24日発表の米インフレ指標の上振れを受け、「米利上げ長期化観測」が強まりました。米10年債利回りはその後4%目前と昨年11月以来の高水準へ上昇。ドル円は136円台と昨年12月20日以来のドル高・円安となった一方、米国株は軟調に推移しました。

 

この日に発表された数字のうち、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を決定する材料の1つとして重視する個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)の食品・エネルギーを除くコア指数、いわゆるコアPCEデフレーターの1月分が前年比+4.7%と、+4.3%程度への伸び率低下を見込んでいた市場予想や、+4.4%から上方修正された前月12月分の+4.6%も上回りました。

 

コアPCEデフレーターの伸びは、昨年2月、3月に+5.4%で目先の天井を打って、同9月に+5.2%で二番天井を打つような形となり、いったんインフレ率の上昇が落ち着いたことを示すような状態となっていました(図表)。

 

 

 

しかし、同指標の発表以前から強いインフレ指標や景況指標が相次いで発表されていたことから、米インフレ再燃への警戒感が高まっていたタイミングでコアPCEデフレーターが改善したため、「米利上げ長期化観測」が高まる展開になったのでしょう。

 

まずは2月3日発表の1月米雇用統計で、非農業部門雇用者数変化が+51.7万人と、市場予想の+18.5万人の3倍ほどにもなる大きな増加となり、失業率も3.4%と、市場予想の3.6%に反して、12月の3.5%より改善し、「米利上げ長期化観測」への期待が高まり始めました。

 

同10日には米ミシガン大学発表の2月消費者態度指数(速報値)が66.4と、市場予想の65.0を上回り、併せて発表された1年先の期待インフレ率が4.2%と予想の4.0%を上回ったことも景気の底堅さやインフレ再燃の可能性を意識させました。

 

同14日に1月米消費者物価指数(CPI)が総合・コアともに前年比で予想を上回ったことに続き、16日の同卸売物価指数(PPI)が予想を上回ったことも、思惑に大きく作用しました。

 

同23日、10-12月期米GDP改定値は予想を下回ったものの、同期のコアPCEデフレーターが前期比年率で+4.3%と、市場予想や速報値の+3.9%より強かったことも、翌24日発表の1月分のコアPCEデフレーター発表を目前にしたマーケットのムードを高めました。

 

 

信頼性が低い1月の経済指標、今後の指標内容で「米利上げ長期化観測」急速な巻き戻しも

 

マーケット関係者のなかには、年末の特殊要因に影響されやすい12月の経済指標に続いて、年をまたいだ局面で集計される1月分の経済指標は信頼性が低いとの見方もあります。振れやすい1月の指標結果に左右されて、マーケットが疑心暗鬼を一時的に募らせているだけとの可能性もあります。

 

その点からしても、経済指標の上振れを印象づけるきっかけとなった米雇用統計の次回2月分の発表に注目する必要があるでしょう。カレンダー要因で3月第2週に発表がやや後ずれする10日の同指標では、現時点で非農業部門雇用者数の市場予想が+20.0万人、失業率は3.4%と予想されています。

 

1月分では前月比+0.3%、前年比+4.4%と、総じて落ち着いた結果を示していた平均時給の伸び率も、インフレ動向を予測するための重要な鍵として注目されるでしょう。意外な強さで「米利上げ長期化観測」を高めた米経済指標の数々が、再び落ち着きを見せて思惑の急速な巻き戻しを誘うリスクに注意したいものです。

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為替情報部 アナリスト

関口 宗己

1987年商品取引会社に入社、市場業務を担当。1996年、シカゴにて商品投資顧問(CTA)のライセンスを取得。 市況サービス担当を経て、1999年より外国為替証拠金取引に携わり、為替ブローキングやIMM(国際通貨先物)市場での取引を経験した。 その後、外国為替証拠金取引会社で市況サービスを担当した後、2006年2月にマネーアンドマネー(現・DZHフィナンシャルリサーチ)記者となる。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CTMA2)。日本ファイナンシャルプランナー協会AFP。 その他、社会科教員免許、特許管理士、ボイラー技師、宅地建物取引主任試験合格証などを所持。趣味では2級小型船舶免許、オープンウォーター・スキューバダイビング免許を取得している。

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