NZドルは、連続での大幅なオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)引き下げを受けても底堅く推移しました。しかしオーストラリアの金融政策姿勢ほか、NZドルに対して圧迫的な外部要因が上値を重くするリスクには注意が必要でしょう。
「OCR」引き下げも、対ドル0.56ドル後半から0.57ドル前半へ反転上昇
19日の日本時間午前、ニュージーランド準備銀行(RBNZ、中銀)は政策金利である「OCR」を50bp(1bp=0.01%)引き下げ、3.75%にすることを発表しました。3会合連続となる0.50%の大幅な利下げで、利下げ自体は4会合連続です。
利下げ発表直後のNZドルは、0.57ドル付近から0.56ドル後半へ下振れが先行。利下げや金融政策声明で示された「第2四半期に政策金利の更なる引き下げを予想」「経済状況が予測どおりに推移すれば、2025年を通じて政策金利をさらに引き下げる余地がある」などの見解を反映した結果としては順当だったかもしれません。
しかし今回の大幅な利下げを相当程度織り込んでいたほか、「OCR」見通しで「4月と5月に25bpの引き下げ」との想定が示されたことが、「今後の利下げがこれまでより小幅になる」との意識を高める結果につながったようです。NZドルは対ドルで0.57ドル前半へ反転上昇する底堅さを示しました。
豪金融政策姿勢ほか圧迫的な外部要因が多い
問題は今後のNZドルの底堅さの継続性となりますが、これまでより小幅とはいえ「OCR」引き下げはまだ続くことが前提となっています。オアNZ準備銀行(中央銀行、RBNZ)総裁から「年末までに政策金利は3%程度になると予想」と、4月、5月の利下げ以降も追加利下げがあることが示唆されています。
「信頼感が回復すれば、NZ成長率が加速する可能性がある」との見解も示されていますが、まだ総じて低位にあるNZドルを大きく押し上げるような原動力になるかどうか不確かであり、外部要因もNZドルを重くしやすい状況といえます。
まずは「トランプ関税」が米国を中心にインフレ押し上げ・ドル高につながるとの見方。ほかにも、前日18日にオーストラリア準備銀行(RBA)が25bpの利下げを行ったオーストラリアの通貨である豪ドルとの対比も気になるところです。
RBAは先進国の中では高めに維持していた4.35%の政策金利をようやく25bp小幅に引き下げ、4.10%としました。前回12月会合で「ハト派(金融緩和的)」姿勢へ転じたことを反映した結果といえます。
しかし今回会合は利下げに動いたものの、「見通しに対して慎重な姿勢」との姿勢を維持しており、「今回の利下げ後も引き締め的な状態が続く」としています。ブロックRBA総裁も「市場が示唆する追加利下げは保証されていない」と述べるなど、「タカ派的な利下げ」と受け止められました。
豪ドル/NZドルは、現水準付近で頭打ち感が生じる可能性もありそうですが、緩やかな豪ドル高・NZドル安基調を維持しています(図表参照)。タカ派的なRBAを背景とした豪ドルとのコントラストは、NZドルの上値を重くする一因となりそうです。
対円でも利上げに動き始めた日銀の姿勢を反映した円買い圧力に圧迫されそうです。これら外的状況も踏まえ、NZドルの上値が重くなるリスクも念頭に置いて臨むべきでしょう。