「中国景気支援策」を受け、中国株高・リスクセンチメント改善が金融マーケットで進みました。「中国ネタは長続きしない」ともいわれますが、支援策発表から国慶節連休入り前時点までの反応は上々といったところ。連休明けの金融マーケットの反応で賞味期限を再評価することになりそうです。
「中国景気支援策」で株高・リスク選好に
中国人民銀行(中銀)は9月24日、政策金利である7日物リバースレポ金利を0.2%引き下げることを決定しました。預金準備率を0.5%引き下げるとの方針も表明しています。
今回、政策金利の引き下げと預金準備率の引き下げ方針を同時発表しましたが、これは過去に前例がない措置。5%前後とされる今年の経済成長目標を達成するための強い意志が感じられると評価されています。
さえない推移が長らく続いた中国景気へのテコ入れ策を好感して、金融マーケットはリスク選好の地合いを強めました。10月1日からの国慶節の連休入りを翌週に控えるなか、中国の代表的な株価指数である上海総合株価指数は2700ポイント台の安値圏から、連休直前の9月30日には3300ポイント台まで上値を伸ばしました(図表参照)。
金融マーケットのリスクセンチメント改善を受け、ドル円も底堅さを示しています。いわゆる「石破ショック」といわれる新政権の姿勢を警戒した下振れを挟みつつも、高市氏の首相就任が期待されていた局面の上振れでつけた146円台を回復する方向へ向かっています。
株式・不動産市場の支援策も相次ぐ
株式市場や国内不動産市場を支援する策も相次いで発表しています。株式市場支援に関しては、証券会社・ファンド・保険会社などによる株式購入向けに5000億元規模の流動性を供給し、3000億元規模の再貸出し枠も準備するとしています。
不動産市場の支援については、住宅ローンの借り入れ負担軽減や、セカンドハウス購入に課していた規制を緩和するなどの策です。不動産関連の支援策は、中国の連休中も国慶節の休場が10月1日のみで休場明けとなった2日の香港株式市場で不動産株指数の押し上げに寄与するなど、マーケットのリスクセンチメント改善を後押ししました。
中国ネタ、今回は長続きするのか国慶節連休明け注視
ただ、金融マーケットでよくいわれるのは「中国ネタは長続きしない」という言葉です。不動産支援策に関して「不動産に関する消費者の不安が払しょくされないなかでは低迷脱出は困難」(商社系シンクタンク)との声も聞かれます。
今回の支援策は、不動産分野などについては「規定の路線を確認した範囲」(同)との見方もありますが、包括的なパッケージで提示できたこともあって株価の大幅続伸につながっているなど評価できる面が大きいとも感じられます。中国本土が国慶節の連休明けとなる来週8日以降の中国市場ほか金融マーケットの反応を注視して、今回の「中国景気支援策」の賞味期限を推し量ることになりそうです。