ECB調査「インフレ期待低下」が明らかに
欧州中央銀行(ECB)調査による「インフレ期待低下」がユーロの重しとなりそうです。ここまでタカ派内容が目立ったECB当局者の発言とせめぎ合いの状態。テクニカル面でもユーロ相場の方向感を判断するのが難しい局面となっています。
6日にECBが公表した4月消費者予測調査によると、1年先のインフレ期待が4.1%(3月時点調査5.0%)、3年先で2.5%(同2.9%)といずれも鈍化。この結果を受けて同日のユーロ相場は対ドルで1.07ドル台から1.0660ドル台へ下落しました。
しかし、直近の下値のめどの1つだった2日安値1.0662ドルを目先のサポートに下げ渋ると、1.07ドル近辺まで戻して同日NY引けを迎えまています。翌7日には1.07ドル台への定着を試す動きとなりました。
インフレ期待の低下で下振れる場面を挟みつつもユーロドルが底堅さを維持しているのは根強い利上げ継続観測が背景となっています。インフレ期待低下が発表された局面でも、ECB高官から引き続き利上げ継続へ前向きな発言が相次ぎました、
ECBタカ派チーム先鋒とされるクノット・オランダ中銀総裁からは「基調的なインフレ圧力は高まっている」との見解が示されました。ただ、「金融引き締めが実体経済に波及していることを示す最初の兆候が見られる」として、インフレの落ち着きを感じさせる部分も垣間見えています。「金融引き締めの効果を十分にみる必要がある」との姿勢なようです。
こうしたなかタカ派・ハト派の意見をまとめるラガルドECB総裁から「インフレ率は依然として高水準であり、ECBは追加利上げを継続する」との姿勢が改めて示され、ユーロ相場の戻りを後押しする材料となりました。一方で4月消費者予測調査公表に際しECBがインフレ予想について「3月に上昇していたがおおむね反転」としているようにインフレの流れが分岐点に差し掛かっていることも感じられます。
ユーロはテクニカル面でも分岐点の攻防
「インフレ期待低下」と当局者のタカ派寄りの姿勢維持が交錯しているように、ユーロ相場はテクニカル面からも分岐点に差し掛かっていることがうかがわれます。対ドルでは現在1.0707ドルで横ばい推移の日足一目均衡表・転換線を挟んだ攻防となっています(図表参照)。
転換線はしばらく横ばいで推移しそうですが、相場が現状レンジの動きにとどまるなら転換線は来週13日にも水準を切り上げ始める見込みです。いったん底打ちして上昇する流れはユーロが根強い利上げ継続観測に支えられる動きの示唆ともいえます。
ただ、このまま直近2日の戻り1.0779ドルを上抜けるような強さを示せなければ転換線は15日にも早々に再び低下へ転じる公算。転換線付近での神経質な攻防です。
「インフレ期待低下」がECB当局者のタカ派寄りの姿勢とぶつかり、テクニカル面でも一目・転換線が示唆する分岐点に差し掛かっているユーロ相場。強気に傾くなら近辺に21・90日移動平均線も推移している一目・雲の下限1.0806ドル付近を試す動き、弱気に傾くならこれまでのタカ派寄りへ傾斜していた思惑の反動もあって1.0510ドル台で推移している200日移動平均線を試すような展開になるかもしれません。