米金利上昇へ転じ株安「リスクセンチメント悪化」、NZドル安に
NZドルは米金利上昇・欧米株安による「リスクセントメント悪化」が重し。政権交代が反発のきっかけになるとの期待も叶わず下値を広げ、昨年11月以来の対ドル安値水準で推移することになりそうです。
NZドルは10月11日、対ドルで直近のピーク0.6050ドル台をつけていました(図表参照)。中東情勢の緊迫は重しとなったものの、市場のリスク回避姿勢が安全資産とされる債券の買いを促して米金利が急低下。NZドルを含む多くの通貨が対ドルで強含むのを支援しました。米金利低下を支えとした欧米株高も「リスクセンチメント」の強弱に敏感なオセアニア通貨のNZドル上昇を後押ししました。
しかし12日に米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ると米金利が上昇。それまで米連邦準備理事会(FRB)高官からハト派寄りの発言が相次ぐなか和らいでいた米金融引き締め長期化への懸念が再燃しました。
米金利上昇によりドル買い・NZドル売りが進行。米金利上昇による欧米株圧迫も「リスクセンチメント悪化」を招きました。先週末13日、NZドルは対ドルで0.5880ドル台まで下落しました。
政権交代によるRBNZインフレ対応改善への期待も長続きせず
週明け16日、NZ総選挙で野党・国民党が第1党となったことは、NZドルにとって下支え要因になりました。NZドル/ドルは早朝からギャップを空けて上昇し、0.5930ドル台へ持ち直しました。
国民党は公約として、中央銀行であるNZ準備銀行(RBNZ)の責務の1つ「雇用に関する目標(持続可能な最大雇用)」の削除を掲げていました。公約実現で雇用目標が削除されれば、RBNZはよりインフレ対策に積極的に関われるとマーケットは捉え、金利を引き上げやすくなるとの見方がNZドルの支えとなりました。
しかし、その流れは長続きしませんでした。前週の急落の後を受けた戻り売り圧力も相応にあり、17日には0.5870ドル付近と前週の安値を割り込んでいます。18日発表のNZ消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことも重しとなりました。
7-9月期NZ・CPIは前期比+1.8%(市場予想 +2.0%)、前年比+5.6%(同 +5.9%)と軒並み弱い結果に。特に前年比では前期4-6月期の+6.0%からの失速が顕著でした。NZドルは9月5日に0.5859ドルをつけて以来の年初来安値圏で推移しています
中東情勢の不透明感が続きそうなところで米金融引き締めの長期化懸念が再燃。欧米株安による「リスクセント悪化」を圧迫要因に、NZドルは安値更新から昨年11月以来の水準での推移へ移行することになりそうです。