やってはいけないこれだけの理由

第86回「タカ派ハト派を更新していますか?・・・最新の発言をアップデートしないでやってはいけない」

約1年前に「タカ派・ハト派を知らずやってはいけない」で

中央銀行のメンバーで「タカ派(Hawkish)」なのか「ハト派(Dovish)」なのかを知らないで

やってはいけないことを記載しました。


元々がドイツ中銀(ブンデスバンク)のように、伝統的に物価の安定重視を重視する

「タカ派」の中銀もあります。


また、英中銀・イングランド銀行(BOE)はこれまでの金融政策委員会(MPC)の投票結果が

見れるのですが、さすがにこの人はタカ派と言わざるを得ないような根っからのタカ派もいます。


例えば、MPC委員の中でチーフエコノミストでもあるピル氏は20回の会合出席で14回利上げに投票。

マン委員は同じく20回の出席で18回の利上げに投票しています。

逆にディングラ委員は僅か5回しかまだ会合に出ていませんが、2月1日には利下げに投票しています。


タカ派かハト派か常にアップデートを


経済情勢が常に同じ状況ではないことで、中銀メンバーも利上げ(利下げ)するべきか

据え置くべきかをくるくる変えるのは不思議ではありません。


例えば、昨年から米カンザスティ連銀の総裁に就いたシュミッド氏は、これまでややハト派と捉えられていました。

しかし、先週26日、オクラホマシティで行われた講演でのシュミッド氏の発言は下記のようなものでした。



「まだ高インフレから抜け出しておらず、米連邦準備理事会(FRB)は利下げについて辛抱強くすべきである」

「先回りして政策スタンスを調整する必要はない」「まだ高すぎるインフレの問題から抜け出していない」

「インフレ率を2%に戻すには、労働市場のバランスを回復し、賃金の伸びを緩やかにする必要がある」


読んでわかるように、明らかにタカ派と捉えられる発言になっています。

ことしはカンザスシティ連銀総裁には米連邦公開市場委員会(FOMC)での投票権はありませんが

来年2025年には投票権限があります。


来年と現時点での経済情勢が違うことで、シュミッド氏が来年もタカ派とは限りません。

よって、これまでハト派と思われた中銀メンバーがタカ派に転じる、またはその逆などもあり

常に発言を読み解き、タカ派なのかハト派なのかをアップデートいなくては中銀の動きが分からず

FXには手を出してはいけないでしょう。






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第86回「タカ派ハト派を更新していますか?・・・最新の発言をアップデートしないでやってはいけない」
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第65回「月末は余裕がない人はやってはいけない」
第64回「ストライキ・・・舐めてはいけない経済への影響」
第63回「どうせなら格好よく言おう・・・こういえば通と思われる?」
第62回「NZ・10月総選挙・・・これを知らないでNZドルを取引してはいけない」
第61回「食料インフレ・・・国によって違うことを知らないでやってはいけない」
第60回「インフレ指標・・・これを知らずにやってはいけない」
第59回「夏枯れ相場でも手を出す3タイプのディーラー・・・やってはいけないのは?」
第58回「中銀は内容だけでなくスケジュールも異なる」
第57回「日銀?分からないときはやってはいけない・・・海外勢は理解不能」
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第51回「対ドル以外の取り引きを見ないでやってはいけない」
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為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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