ご存じのように7月27-28日に行われた日銀政策決定会合で
大規模な金融緩和策の枠組みを維持した上で
「イールドカーブコントロール(YCC)の柔軟化」を表明。
「長期金利の上限は0.5%を『めど』としたうえで、
10年物国債金利について1.0%の利回りでの指値オペを
明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日、実施する。」と決定しました。
この紛らわしい決定で、市場参加者がかき乱されましたが、中でも海外投資家からは
「これはどういう意味なんだ?」との問い合わせも多数来るなど、日本人特有の遠回りの表現は
改めて謎の国「日本(銀行)」との印象を与えてしまいました。
不思議な国ニッポン?
「日本特有」ということが良い時もあるでしょうが、
ここ最近は「グローバルスタンダードから逸脱している国」との印象を
多くの人からみられています。
例えば、未成年者の性犯罪を数百人規模で行ったとされる某芸能事務所社長の行為が
いまだにマスコミに取り上げられることがほぼ無く、事務所も平常営業している状況です。
海外の知人でこの話題を知っている人と話すと、何も変わっていないことに驚かれ
日本人として恥ずかしささえ感じてしまいます。
日銀の遠回しの政策とは話は全く異なりますが
日本がグローバルスタンダードに沿っていないことは多々あります。
同じ島国英国は?
このような日本特有のことについて「日本は島国だから」と片付ける声もありますが
同じ島国である英国の中銀=イングランド銀行(BOE)は
政策についても簡潔で分かりやすいですが、日銀とは違い斬新です。
例えば、カーニー前BOE総裁はカナダ銀行(中銀)の総裁を7年務めた後
BOEの総裁に着任しました。他国の総裁経験者が総裁になることは異例です。
そして、先月28日にはBOEの経済予測の見直しをバーナンキ元米連邦準備理事会(FRB)総裁
が主導すると発表しました。
日銀とは違い、多方面で多角的に見ることのできる人材を採用したと言えます。
理解不能な時はやってはいけない
日銀関係者のその後の発言で、今回の金融政策の変更は、大規模金融緩和からの脱却に対して
副作用をできるだけ抑える方針の一つ(ただし金融緩和政策は継続)だったようですが、
そのようなことを発表した時に判断するのは至難の業です。特に海外投資家は分かりません。
今回の日銀の決定を受けて、金融市場がこのような動きをすると予測できた人はほぼいないでしょう。
もちろん、識者が「円高後に円安になる」などと説明している文章も見受けられましたが
それらはほぼ後付けと思われます。
相場は日銀の決定を受けた28日には138.07円までドル安・円高が進行。
ところが翌週には143円台までドル高・円安に戻す、など乱高下しました。
この流れをうまく取れた(儲けることが出来た)方もいるでしょう。
しかし、海外のメジャープレーヤーでもある投資家が理解できず、円買いをしてしまったように
理解不能な相場に手を出しても、儲けることは難しいと思われます。
結果的にみて思惑通りに動いたと思われる方もいるでしょうが
理解できない(市場との対話能力が下手な)日銀の決定でポジションを大きく仕掛けるのは
やってはいけないのではないかと思います。