避難通貨とは?
「避難通貨」という言葉があります。
他の呼び方では「安全通貨」とも言われ、英語では「Haven Currency」と呼ばれます。
有事が起きた場合に、安全資産とされるものに資金は移動していきます。
例えば、ロシアのウクライナ侵攻は、ロシアと取引されている企業の株は売られました。
株価が全体的に下がると、債券に資金が移動したり、金先物などにも資金が集まります。
現在ではビットコインなども逃避先になっています。
為替の世界でも同様に、ロシアルーブルが売られ、お金が避難先を探し
避難先として、いきついた通貨が避難通貨とされます。
その安全とされる通貨は何なのでしょうか?まずは地政学リスクを考えなければなりません。
ウクライナへの進行は地政学では欧州にマイナスとなり、ユーロが売られたりします。
では、今回のイスラエルのガザ侵攻では、どこに通貨が避難したでしょうか?
通常であれば、地政学上で離れている日本の通貨円が買われてもおかしくありませんでした。
しかし、第68回「中東紛争・・・過去とのFXの動きが違うことを考慮しなくてやってはいけない」
で記載しましたが、今回ほど円の値動きが限られた有事の出来事は珍しい状況でした。
しかし、もう1つの避難通貨として有名なスイスフランはしっかりと買われました。
スイスフランの値動きをなぜ見るべきか?
スイスが永世中立国ということで、これまでも有事のフラン買いとなる傾向がありました。
このフランの動きがなぜ重要なのかは、フランが値動きが市場を先導することがあるからです。
例えば、10月27日の為替市場では「イスラエル軍の報道官がパレスチナ自治区ガザへの地上作戦を
今夜拡大する」と表明したことで、株下落・円買いになりました。
しかし、スイスフランはフラン買いに動きませんでした。
対円では20日に付けた168.42円の過去最高値、対ユーロも同日に付けた0.9417フランのフランの
年初来高値を更新後はフランがやや重くなりました。
フランの値動きから約1週間経ち円が買われるなど、通貨に寄り値動きに時差が出ることもあるわけです。
このように、有事が起きた時には、スイスフランは他通貨よりも早く反応することで
今後の他通貨への影響を考え、フランの値動きを見ないで取引をしてはいけないと言えます。