やってはいけないこれだけの理由

第71回「スイスフランの値動きを見ないで、やってはいけない」

避難通貨とは?


「避難通貨」という言葉があります。

他の呼び方では「安全通貨」とも言われ、英語では「Haven Currency」と呼ばれます。


有事が起きた場合に、安全資産とされるものに資金は移動していきます。

例えば、ロシアのウクライナ侵攻は、ロシアと取引されている企業の株は売られました。

株価が全体的に下がると、債券に資金が移動したり、金先物などにも資金が集まります。

現在ではビットコインなども逃避先になっています。


為替の世界でも同様に、ロシアルーブルが売られ、お金が避難先を探し

避難先として、いきついた通貨が避難通貨とされます。


その安全とされる通貨は何なのでしょうか?まずは地政学リスクを考えなければなりません。

ウクライナへの進行は地政学では欧州にマイナスとなり、ユーロが売られたりします。

では、今回のイスラエルのガザ侵攻では、どこに通貨が避難したでしょうか?


通常であれば、地政学上で離れている日本の通貨円が買われてもおかしくありませんでした。

しかし、第68回「中東紛争・・・過去とのFXの動きが違うことを考慮しなくてやってはいけない」

で記載しましたが、今回ほど円の値動きが限られた有事の出来事は珍しい状況でした。


しかし、もう1つの避難通貨として有名なスイスフランはしっかりと買われました。



スイスフランの値動きをなぜ見るべきか?


スイスが永世中立国ということで、これまでも有事のフラン買いとなる傾向がありました。

このフランの動きがなぜ重要なのかは、フランが値動きが市場を先導することがあるからです。


例えば、10月27日の為替市場では「イスラエル軍の報道官がパレスチナ自治区ガザへの地上作戦を

今夜拡大する」と表明したことで、株下落・円買いになりました。

しかし、スイスフランはフラン買いに動きませんでした。


対円では20日に付けた168.42円の過去最高値、対ユーロも同日に付けた0.9417フランのフランの

年初来高値を更新後はフランがやや重くなりました。

フランの値動きから約1週間経ち円が買われるなど、通貨に寄り値動きに時差が出ることもあるわけです。


このように、有事が起きた時には、スイスフランは他通貨よりも早く反応することで

今後の他通貨への影響を考え、フランの値動きを見ないで取引をしてはいけないと言えます。





この連載の一覧
第122回「トランプ相場もアジア通貨の動きを見ないでやってはいけない」
第121回「第2次トランプ政権・・・Xを見ないでやってはいけない」
第120回「いよいよ大統領選挙・・・この通貨の動向を知らないでやってはいけない」
第119回「円買いの流れを一瞬で止めた石破政権・・・今後の政局を知らないでやってはいけない」
第118回「想定為替レートを知らないでやってはいけない」
第117回「日銀には独立性がないことを知らないでやってはいけない」
第116回「ダブル石破ショック・・・今月は政治に翻弄されることを知らないでやってはいけない」
第114回「ディーラーは変わり身が早いのを知らないでやってはいけない」
第113回「FRBの2大責務…今は何を重要視しているかを知らないでやってはいけない」
第112回「バイアスがかかった考えをもってやってはいけない」
第111回「円相場を見るならアジア通貨の動きを見ないでやってはいけない」
第110回「7・8月の相場を振り返る・・・この反省を生かさないでやってはいけない」
第109回「日銀の政策決定会合の結果発表時間がなぜ定まらないのか」
第108回「日銀のパラダイムシフト2…正副総裁が市場流動性を破壊」
第107回「日銀のパラダイムシフト…これまで通りの考えでやってはいけない」
第105回「スポーツ賭博もFXも②・・・嘘が常態化する人はやってはいけない」
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第102回「クロス円をしっかり見ないでやってはいけない」
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第100回「CPI後のFOMC、ドットプロントに織り込んだか吟味しないでやってはいけない」
第99回「南ア政局・・・これを知らないでランド取引はやってはいけない」
第98回「G7財務相・中央銀行総裁会議・・・結果を調べないでやってはいけない」
第97回「南ア総選挙、これを知らないでやってはいけない」
第96回「ラーメン3000円も高くない、自作自演の円安を知らないでやってはいけない」
第95回「利上げだけで円安が止まると思ってやってはいけない」
第94回「介入にも限界があることを知らないでやってはいけない」
第93回「スポーツ賭博もFXも①・・・バンプはやってはいけない」
第92回「毎回同じ理由で動くと思ってやってはいけない」
第91回「クロス通貨・・・どのように算出しているか知らないでやってはいけない」
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第88回「チャートポイントを信じますか?・・こんなチャート利用法はやってはいけない」
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第81回「こういう人はFXをやってはいけない③・・・利食えない人はやってはいけない」
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第77回「今年1年は何をやったら儲かったか・・・反省せずに来年はやってはいけない」
第76回「昨年の値動きを忘れずにやってはいけない」
第75回「今年は今週でおしまい?・・・最後の2週間はやってはいけないこと」
第74回「実弾介入しか防げない・・・根強い円安基調でやってはいけないこと」
第73回「感謝祭相場・・・11月の特別事情を知らないでやっていけない」
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第71回「スイスフランの値動きを見ないで、やってはいけない」
第70回「10月の介入実績ゼロ、介入の噂だけを信じてやってはいけない」
第69回「下手な鉄砲は数撃っても当たるのか?・・・動かない相場の時は何をしてはいけないか」
第68回「中東紛争・・・過去とのFXの動きが違うことを考慮しなくてやってはいけない」
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第65回「月末は余裕がない人はやってはいけない」
第64回「ストライキ・・・舐めてはいけない経済への影響」
第63回「どうせなら格好よく言おう・・・こういえば通と思われる?」
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第60回「インフレ指標・・・これを知らずにやってはいけない」
第59回「夏枯れ相場でも手を出す3タイプのディーラー・・・やってはいけないのは?」
第58回「中銀は内容だけでなくスケジュールも異なる」
第57回「日銀?分からないときはやってはいけない・・・海外勢は理解不能」
第56回「ブラックアウト期間を知らないでやってはいけない…国によっても違う」
第54回「新聞を確かめずにやってはいけない」
第53回「スワップポイントを知らずにやってはいけない」
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第51回「対ドル以外の取り引きを見ないでやってはいけない」
第50回「時間帯を知る②東京市場とは・・・これを知らずにやってはいけない」
第49回「時間帯を知る①月曜早朝取引・・・これを知らずにやってはいけない」
第48回「歴史は繰り返す・・・過去の動きを忘れてやってはいけない」
第47回「政治的な動きを知らなくてはやってはいけない」
第45回「経済指標での動きを50/50と思ってやってはいけない」
第46回「常に知識・情報をアップデートしないといけない」
第44回「銀行の融資状況を知らなくてFXをやってはいけない」
第43回「雇用・CPI等から、新たな視点に変えないでやってはいけない」
第42回「フェドウォッチを見ないでFXをやってはいけない・・・年末は95%利下げ予想」
第41回「高金利通貨は各国の状況を知らないとやってはいけない」
第40回「金融危機はまだ去っていない、最良のCEOの言葉を無視してはやってはいけない」
第39回「ドットプロットとフェドウォッチのずれを判断しないでやってはいけない」
第38回「若者こそFX取引を・・・その2、やってはいけないでなく、やってほしい」
第37回「銀行の救済問題、詳細を把握せず取引してはいけない」
第36回「若者こそFX取引を・・・その1、やってはいけないでなく、やってほしい」
第35回「肌感覚を大切にしないでやってはいけない」
第34回「タカ派・ハト派を知らずやってはいけない」
第33回「政治家の発言を吟味して取引しないといけない」
第32回「ポンドドル、ポンド円の取引をやってはいけない」
第31回「新たに注目される指標を無視してトレードをやってはいけない」
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第28回「中銀の独立性がない国の通貨はやって(買って)はいけない?」
第27回「昨年は何の通貨をやってはいけなかったか?」
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【やってはいけないこれだけの理由】第25回「重要イベント前にポジションを取ってはいけない」
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為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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