先週は、米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)
スイス中銀(SNB)ほか、多くの国が政策金利の発表を行いました。
また、米国からは11月の消費者物価指数(CPI)が発表されるなど、イベント盛りだくさんの週になりました。
今回は、これらの重要イベントの前にポジションを持つべきか、否か
また「もってはいけない」人はどういう人なのかについて記載します。
まずは根拠のない予想を信用しない
先週発表された11月の米CPIの前週に同月の卸売物価指数(PPI)が発表されています。
この結果が市場予想よりも強い結果となったことで、CPIも強い結果が出るのではないかと
勝手に予想をしていた方もいたようです。
しかし、PPIが強ければCPIも(市場予想より)強いなどと決めつけるのは危険です。
以前はADP全米雇用報告が強いと、同じ週の金曜に発表される米雇用統計も同じように強くなる
と関連付けていた流れもありましたが、統計的にもまったくそれが当てはまっていません。
市場関係者の中でも無責任にPPIの結果からCPIを予測し、ドル買いを煽ることも見受けられましたが
インフレ傾向としての関連性はあるものの、必ずしも同傾向になるという根拠のない予想を信用してはいけません。
イベント前でもポジションを持って良いのは?
中長期的な視点を持っている投資家の場合はイベント前でもポジションを持つことがあります。
例えば、米国のインフレ傾向が来年も継続するという確固たる自信がある投資家がドルロングにする
逆にインフレがピークアウトするとの予測でドルショートをキープする投資家もいるでしょう。
そのような投資家は、一つ、二つのイベントで売り買いをすることはなく中長期的にポジションを持ちます。
もちろん、イベントで思ったよりもインフレ傾向が緩和されたと判断し、ドルロングを閉じるなど
臨機応変にポジションを変えることもあるでしょう。
しかし、短期的な投資家と違い、イベントごとに一喜一憂することはありません。
丁半博打でポジションを持ってはいけない
では、どのような投資家がイベント前にポジションを持ってはいけないのでしょうか?
それは振幅が激しい、いわゆるボラタイルなマーケットに参加し、短期的に売り買いだけを繰り返す投資家です。
短期的な取引を得意とする、ごく限られた投資家もいますが、それは例外です。
一部では、このボラタイルの中で当たったらラッキーという感覚でトレードをする人もいるでしょう。
このような取引は「丁半博打」で、当たる可能性と損する可能性が半々です。
このような感覚でポジションを持ってはいけません。
確率で言えば半々なので、損益も通算すると変わらないと思われがちです。
しかし、アゲインスト(自分の持っているポジションと逆)方向に動いた場合には
どうしてもストップロスの方が遅くなってしまうことが多いのが傾向的にあります。
要するに、確率は5割でも、利益は早めに計上し、損失は遅くなる。
よって通算はマイナスになってしまいます。
前回の記事「12月にトレードをやってはいけない」にも記載しましたが、12月は市場流動性が悪くボラタイルな月です。
今回も米CPIやFOMCの後には乱高下を繰り返しました。
自分は利益は大きく、損失は小さくするから大丈夫だ、と思っていてもボラタイルなことで簡単にはいきません。
因みに金融機関のディーラーの多くはイベント前にはリスクをできるだけ持たないようにします。
長期的なビジョンを持っているディーラーを除き、ほとんどのインターバンクディーラーはスクエアでいます。
ごく稀にイベント前にポジションを仕込んでいるディーラーもいましたが、ほとんど短命で終わっています。
短期的なポジションで売り買いを行うことは決して悪いことではありませんが
イベント前のポジションは博打的要素が高いことで、基本的にはやってはいけません。