やってはいけないこれだけの理由

【やってはいけないこれだけの理由】第9回「FXだけで食べていく計画、その1…まずは金融機関と違うことを認識」

FXだけで食べていくため

 

「自分はFXだけを見続け、それを職にしたい!」という方にお会いしたことがあります。

その都度、誰に対しても、そして何度も、「そんなにうまくいかないから止めた方が良いですよ」と伝えてきました。

それでもFX取引を職にしたいという人はいます。そこで、FXだけで食べていこうという人へのアドバイスを考えてみました。


おそらく「FXを職にしたい」という方のイメージとして、自宅及びレンタルオフィスで金融機関のディーリングルームのようなものを構築したいのではないかと思われます。

しかし、それはよほど大金が無い限り難しいのですが、1回目は実際の金融機関のディーラーの周りがどうなっているかを知るところからスタートしてみましょう。

そして、金融機関のFXディーラーと呼ばれている方たちが、「どれだけ(個人のFX投資家より)優位性があるか」を知るところから始めてみましょう。

 

金融機関のFXディーラーとFX投資家は全く違う


数十年FXディーラーとして働いていましたが、金融機関のFXディーラーで働くことと、個人投資家がFXだけで働くのは全く違います。

金融機関のFXディーラーは、それなりの給料を貰っているわけで、たとえ1億円損をしようが安定した給料を得ることが出来ます。

もちろん年間を通して収益がなかったら、邦銀以外は解雇されます。また、5億の利益が目標とされているディーラーが1億の利益だけですと、おそらく肩をたたかれます。

 

個人でFXだけで稼ぐということは、解雇はないですが、マイナスになった場合は嗜好品が買えないだけでなく、家賃・食費・光熱費などの生活費が払えません。

この決定的に違うことを理解し、損をしたときはどれだけ大変かを認識しなければなりません。

 

これは、私を含め現在テレビ、雑誌、ネットなどで出てくるFX指南役にも共通して言えることですが

FX会社で働いていたり、コメントなどを指南役が書くことは、その原稿手数料などの安定した収入が欲しいからやっているのです。

安定した収入が無く稼げるのであれば、わざわざ面倒な原稿など書く必要性はありません。


要するに元プロのFXディーラーでさえも安定した収入がなく、FXだけで生活をしていくことは至難の業なのです。

 

金融機関はあらゆる面で優位

 

【やってはいけないこれだけの理由】第6回「FX詐欺でTKOされないために」でも記載しましたが、金融機関のディーラーは一般でFXを行うより明らかに儲けやすい環境があります。

 

FXディーラーが働く、ディーリングルームは最新のシステムに囲まれています。

FXの取引をするシステムは当然ですが、複数の情報ベンダー(ロイター、ブルームバーグ、日経クイックほか)があり、それらのシステムだけで一人当たり月に百万単位のお金をかけています。

個人でFXを行う人と比較し、ニュースの速報性、情報の豊富さ、すべてにわたって金融機関のディーラーが優位です。

 

決済等の様々な補助をしてくれるバックオフィス、与信枠を管理してくれるミドルオフィスにもたくさんの陣容を抱えています。

また、ここ最近は金融機関のディーラーの数が減ってはいますが、昼食も外に食べに行けないことが多々あるので、若いアシスタントディーラーが弁当を買いに行くなど、何かと補助をしてくれる人員がいます。

 

他にも自分がマーケットを見ることが出来ないとき、睡眠をとるときには他の支店のディーラーが手助けをしてくれたり、情報を後から報告をしてくれます。

金融機関はシステム、情報、サポート要員等、様々な優位性があります。

 

金融機関は儲かる仕組みもある

 

【やってはいけないこれだけの理由】第4回「140.00円に売りなんて置いてはいけない!」にも記載しましたが、金融機関は実需、投資家をはじめとしたさまざまな顧客がいることで、儲かる仕組みがあります。

オーダーを利用したり、顧客が売るのか買うのかを事前に知ることができ、フロントランニングで売買をすることも陰ながらあるでしょう。

 

よって、金融機関のFXディーラーが負けなし、というのは当たり前なのです。

私もFXディーラー生活で年間を通して負けたことは一度もありません。これは自慢ではなく、当たり前のことです。

 

上述のように、月間百万単位の情報ベンダーへの支払い、FXの取引手数料の支払いをディーラーが稼がなくてはいけません。

また、バックオフィスなどを含め、自分の取引に多くの人員がかかわっていることで、その方たちの給料も稼ぐ必要があります。

よって、年間負けたことがないのは当たり前で、それをいまだに自慢している元ディーラーなどの自慢話など聞く必要はありません。

 

これらの優位性が金融機関のディーラーはあるわけですので、個人が金融機関のディーラーと同じようなことをするには、莫大なお金がかかることを念頭に置く必要があります。


では、個人でも金融機関に負けないために、少しでも何ができるかを次回以後考えていきましょう。

この連載の一覧
第100回「CPI後のFOMC、ドットプロントに織り込んだか吟味しないでやってはいけない」
第99回「南ア政局・・・これを知らないでランド取引はやってはいけない」
第98回「G7財務相・中央銀行総裁会議・・・結果を調べないでやってはいけない」
第97回「南ア総選挙、これを知らないでやってはいけない」
第96回「ラーメン3000円も高くない、自作自演の円安を知らないでやってはいけない」
第95回「利上げだけで円安が止まると思ってやってはいけない」
第94回「介入にも限界があることを知らないでやってはいけない」
第93回「スポーツ賭博もFXも①・・・バンプはやってはいけない」
第92回「毎回同じ理由で動くと思ってやってはいけない」
第91回「クロス通貨・・・どのように算出しているか知らないでやってはいけない」
第90回「FXの世界のギャンブル依存症・・・このような人はFXもやってはいけない」
第89回「カントリーリスク・・・混迷する世界情勢を知らないでやってはいけない?」
第88回「チャートポイントを信じますか?・・こんなチャート利用法はやってはいけない」
第87回「それって何の講演?・・・講演内容を知らないでやってはいけない」
第86回「タカ派ハト派を更新していますか?・・・最新の発言をアップデートしないでやってはいけない」
第84回「月のアノマリーはあるのか・・・その月の特徴を知らないでやってはいけない?」
第83回「中央銀行も変わる・・・マイナーチェンジを知らないでやってはいけない」
第82回「コンプライアンス・・・時代の移り変わりを知らずにやってはいけない」
第81回「こういう人はFXをやってはいけない③・・・利食えない人はやってはいけない」
第80回「こういう人はFXをやってはいけない②・・・損切りが遅い人はやってはいけない」
第79回「こういう人はFXをやってはいけない①・・・自分が正しいと思う人はやってはいけない」
第78回「なぜ年末は取引をやってはいけないのか・・・応当日の特殊事情」
第77回「今年1年は何をやったら儲かったか・・・反省せずに来年はやってはいけない」
第76回「昨年の値動きを忘れずにやってはいけない」
第75回「今年は今週でおしまい?・・・最後の2週間はやってはいけないこと」
第74回「実弾介入しか防げない・・・根強い円安基調でやってはいけないこと」
第73回「感謝祭相場・・・11月の特別事情を知らないでやっていけない」
第72回「要人発言を吟味しないでやってはいけないこと・・・介入は入らない?」
第71回「スイスフランの値動きを見ないで、やってはいけない」
第70回「10月の介入実績ゼロ、介入の噂だけを信じてやってはいけない」
第69回「下手な鉄砲は数撃っても当たるのか?・・・動かない相場の時は何をしてはいけないか」
第68回「中東紛争・・・過去とのFXの動きが違うことを考慮しなくてやってはいけない」
第67回「NZ総選挙を知らずにやるな・・・今日はNZドルに要注意」
第66回「米政治・次回は政府閉鎖も・・・FXも動く可能性あり」
第65回「月末は余裕がない人はやってはいけない」
第64回「ストライキ・・・舐めてはいけない経済への影響」
第63回「どうせなら格好よく言おう・・・こういえば通と思われる?」
第62回「NZ・10月総選挙・・・これを知らないでNZドルを取引してはいけない」
第61回「食料インフレ・・・国によって違うことを知らないでやってはいけない」
第60回「インフレ指標・・・これを知らずにやってはいけない」
第59回「夏枯れ相場でも手を出す3タイプのディーラー・・・やってはいけないのは?」
第58回「中銀は内容だけでなくスケジュールも異なる」
第57回「日銀?分からないときはやってはいけない・・・海外勢は理解不能」
第56回「ブラックアウト期間を知らないでやってはいけない…国によっても違う」
第54回「新聞を確かめずにやってはいけない」
第53回「スワップポイントを知らずにやってはいけない」
第52回「日銀の利上げ?・・・準備を怠らずにやってはいけない」
第51回「対ドル以外の取り引きを見ないでやってはいけない」
第50回「時間帯を知る②東京市場とは・・・これを知らずにやってはいけない」
第49回「時間帯を知る①月曜早朝取引・・・これを知らずにやってはいけない」
第48回「歴史は繰り返す・・・過去の動きを忘れてやってはいけない」
第47回「政治的な動きを知らなくてはやってはいけない」
第45回「経済指標での動きを50/50と思ってやってはいけない」
第46回「常に知識・情報をアップデートしないといけない」
第44回「銀行の融資状況を知らなくてFXをやってはいけない」
第43回「雇用・CPI等から、新たな視点に変えないでやってはいけない」
第42回「フェドウォッチを見ないでFXをやってはいけない・・・年末は95%利下げ予想」
第41回「高金利通貨は各国の状況を知らないとやってはいけない」
第40回「金融危機はまだ去っていない、最良のCEOの言葉を無視してはやってはいけない」
第39回「ドットプロットとフェドウォッチのずれを判断しないでやってはいけない」
第38回「若者こそFX取引を・・・その2、やってはいけないでなく、やってほしい」
第37回「銀行の救済問題、詳細を把握せず取引してはいけない」
第36回「若者こそFX取引を・・・その1、やってはいけないでなく、やってほしい」
第35回「肌感覚を大切にしないでやってはいけない」
第34回「タカ派・ハト派を知らずやってはいけない」
第33回「政治家の発言を吟味して取引しないといけない」
第32回「ポンドドル、ポンド円の取引をやってはいけない」
第31回「新たに注目される指標を無視してトレードをやってはいけない」
第30回「次の日銀総裁の意向を考えないで、やってはいけない」
第29回「他の市場の動きを無視して、やってはいけない」
第28回「中銀の独立性がない国の通貨はやって(買って)はいけない?」
第27回「昨年は何の通貨をやってはいけなかったか?」
第26回「提供されているヒントを無視することを、やってはいけない」
【やってはいけないこれだけの理由】第25回「重要イベント前にポジションを取ってはいけない」
【やってはいけないこれだけの理由】第24回「12月にトレードをやってはいけない」
【やってはいけないこれだけの理由】第23回「スケジュールを見ないで取引をやってはいけない…先週なぜ大きく動いたか」
【やってはいけないこれだけの理由】第22回「金利上昇=通貨買いをやってはいけない」
【やってはいけないこれだけの理由】第21回「FOMC…乗り遅れない!今年のメンバーはもう忘れよう」
【やってはいけないこれだけの理由】第20回「ファンダメンタルズには逆らうな」
【やってはいけないこれだけの理由】第19回「日本語を信じるな…翻訳ソフトで良いので原文を読む」
【やってはいけないこれだけの理由】第18回「サプライズ介入は成功するのか?」
【やってはいけないこれだけの理由】第17回「市場との対話、今回は大失敗?」
【やってはいけないこれだけの理由】第16回「アジア時間の欧州通貨の動きを捨てる」
【やってはいけないこれだけの理由】第15回「介入に備える…その4、中銀は負けが多い」
【やってはいけないこれだけの理由】第14回「日銀介入に備える…その3」
【やってはいけないこれだけの理由】第13回「日銀介入に備える…その2」
【やってはいけないこれだけの理由】第12回「日銀介入に備える…その1」
【やってはいけないこれだけの理由】第11回「FXだけで食べていく計画、その3…無料の情報を生かす」
【やってはいけないこれだけの理由】第10回「FXだけで食べていく計画、その2…高額の情報ベンダーと契約する必要はあるか?」
【やってはいけないこれだけの理由】第9回「FXだけで食べていく計画、その1…まずは金融機関と違うことを認識」
【やってはいけないこれだけの理由】第8回「儲けるために大事なこと…臆病者が勝つ」
【やってはいけないこれだけの理由】第7回「新聞は読むな?」
【やってはいけないこれだけの理由】第6回「FX詐欺でTKOされないために」
【やってはいけないこれだけの理由】第5回「どのFX指南役が信用できるか、その3」
【やってはいけないこれだけの理由】第4回「140.00円に売りなんて置いてはいけない!」
【やってはいけないこれだけの理由】第3回「どのFX指南役が信用できるか、その2」
【やってはいけないこれだけの理由】第2回「どのFX指南役が信用できるか、その1」
【やってはいけないこれだけの理由】第1回「ナンピンは魅力的。しかし・・・」

為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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