14日の日経新聞に「日銀が「『レートチェック』為替介入の準備か」と報じられました。
そもそも、介入とはどうするのか?レートチェックとは何か?など為替介入について説明します。
介入は日銀が決定をしない
日銀のホームページにこれまでの為替介入の実績を調べにいきますと、「為替介入の実施状況については、財務省のホームページ(に掲載されている『外国為替平衡操作の実施状況』をご覧ください)」と出てきます。
誤解している人が多いと思いますが、介入を決断するのは財務省であり、財務省が日銀に介入を命じるわけなので詳細は財務省が発表しているわけです。
要は日銀には介入の決定権限はありません。
上述の財務省のホームページを辿っていきますと、1991年5月から2011年4月までの介入実績が細かく記載されています。
この介入を行ったときは、ほぼ全て私が働いていた金融機関でも日銀の介入が入っていましたので、FXに何か役立つことはないかを考えてみましょう。
日銀とディーラーの関係
あくまでも日銀とFXを担当するディーラーの関係についてですが、毎日早朝に定期的に電話で話し合いをしています。
約20年にわたりその係を担当していましたが、主な話の内容は前日起きたこと、本日の相場見通しなどです。
レートチェックとは何か
今回の日経新聞の報道を見て、レートチェックとは何か?と疑問に思った方も多いでしょう。
そもそも、レートチェックという言葉の定義はありません。
一般的にレートチェックと金融機関が呼んでいるのは、通常の時間帯ではない時間に、日銀が現在の為替状況を聞いてきたり、(EBS(電子ブローキング)を持っている=現行水準を分かっているのにもかかわらず)現在のレートを聞いてきたりすることです。
要は軽い脅しというか、ジャブを打ってくることです。
毎朝話している相手ですので、レートチェックと呼ばれる電話の内容や口ぶりなどで「財務省に頼まれたのでとりあえず電話しました」という雰囲気を醸し出している担当の方もいらっしゃったこともあります。
日経新聞には「これまで口先介入を繰り返してきた。レートチェックは円買い介入に向けた準備段階にあたり、当局が一段と警戒度を高めたことを意味する」などと記載されていました。
そのような時もありますが、今回はこの文章は書かされただけに過ぎないと思っています。
以前、【やってはいけないこれだけの理由】第7回「新聞は読むな?」で「この記事はどう見ても政府なり各省庁の誰かの意向で書かせているだろうと記事を稀に見つけることが出来る」と記載したように、今回も同様なことでしょう。
なぜならば、金融機関がレートチェックを受けた場合には、報道よりも先に市場が動き始めるからです。
仮に日銀から通常と違う時間帯に金融機関に電話がかかってきた場合でも、市場がそれほど動かなかったのは、電話を取った担当ディーラーは日銀の緊張感を感じなかったとも受け止められます。
これは、今は介入ができないことで、とりあえず手を変え、品を変えで、まずは円売りの流れを止めようとしているだけではないか、と思います。
しかし、流れを止めたいにもかかわらず市場が反応をしてくれないことで、報道にあたかも介入があり得るような記事を記載してもらった、と個人的には思っています。
日銀介入の法則
介入方法は様々な方法がありますが、できるだけインパクトを与えるためにサプライズ的な介入を行うことが多いです。
ただし、ある程度の法則があります。
まずは、最初の介入は東京市場が開いている時間に行うことが多いです。
やはり円を防衛することが前提なことで、国内へのメッセージを明確に示すことが必要だからでしょうか。
続いて邦銀、しかもメガバンクに最初の委託介入が入ることが多いです。
日銀がそのまま為替市場に入ることもありますが、多くの場合が委託介入となり、銀行に何本買ってくれ(売ってくれ)などの方法で介入します。
これらの意味していることを考えると、介入の可能性がある状況になった場合は、円相場の中心が東京になります。
よって、欧米勢にとっては、円を突っ込んで持ちたくない状況になります。
自分たちがいない時間に為替介入が入り、今回の場合はドル円が急落するリスクを避けることで、ドル円の買いを手控えるでしょう。
介入を匂わせたことで、今回は円売りの流れが一時的に止まっています。
しかしながら、あくまでも一時的だと思われます。
なぜ一時的か?などほかの点を含め次回以後に追記したいと思います。