やってはいけないこれだけの理由

第52回「日銀の利上げ?・・・準備を怠らずにやってはいけない」

FRBも間違える


6月14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は会見で

FRBがインフレ見通しを読み間違えたことを認めました。

その前の、5月3日のFOMC後には銀行破綻について、

FRBが「間違いを犯したことは十分に認識している」と発言しています。


コロナ、ロシアのウクライナ侵攻など、これまでとは異なった状況下で

FRB議長とは言え、予想通りの結果になっていないことを素直に認めています。


ただし、これは何らサプライズではないのではないでしょうか?

現行のFRB関係者でもタカ(利上げ)派とハト(利下げ)派、据え置き派に分かれるように

専門家とはいえ、思っている通りに経済は動かないものです。


また、その人の立場により、見通しなども変わります。

例えばバー米連邦準備理事会(FRB)副議長は銀行監督の担当でもあることで

高金利による銀行破綻のリスクを警戒していることで、タカ派寄りの発言が控えられています。


このようにFRB関係者でも考えが異なりますし、間違えを素直に認めています。


一方で、黒田前日銀総裁は10年以上総裁を務め、その前は財務省の国際金融局長、財務官、

退官後も小泉政権時には内閣参謀参与など、金融界の責任ある立場に何十年もいたにもかかわらず

結局失われた数十年を回復できませんでした。


しかし、総裁を辞めるときにも「金融緩和は成功だった」「大規模緩和は適切」

と結果が付いてこなかったにもかかわらず、自画自賛して辞められています。

間違えは誰にでもあるのですから、なぜ目標に達することが出来なかったの言葉が欲しかったです。


植田総裁はこの後どうするか?


黒田日銀総裁の時代は大規模緩和一辺倒でした。

これは安倍総理との蜜月関係がだったからでもありますが、安倍総理が亡くなった以後は

徐々に雰囲気が変わり、植田日銀総裁の時代に入りました。


さすがに、就任して数カ月のうちに方針を急転することは避け「安全運転」で始まりましたが

このまま、大規模緩和策を継続するかは非常に判断が難しい状況にあると思われます。


6月16日の日銀政策決定会合後の会見では

「YCC、ある程度のサプライズが発生することはやむを得ない」

「物価見通しが大きく変われば政策変更につながる可能性」

「物価上振れが国民負担になっていることを強く認識」

などと、今後の方針転換が起こり得ることを匂わせています。



6月23日に発表された5月の消費者物価指数は生鮮食料品を除く

コア指数は市場予想を上回り、9カ月連続で3%を超えています。

生鮮食料品とエネルギー価格を除くコアコアにいたっては4.3%まで上昇しています。

日銀が意識している「刈り込み平均値」は加速方向に進んでいます。


更に、26日に公表された日銀金融政策決定会合における主な意見では

「(コアCPIは)年度半ばにかけ低下していくものの、2%を下回らない可能性が高い」と

示されていました。


それにも関わらず、先週28日のポルトガル・シントラで行われたECB中央銀行フォーラムで

植田総裁は「基調的なインフレは目標を下回っている」と述べています。

これでも、まだ「持続的・安定的な2%にはまだ達していない」のでしょうか?


個人的にも週末に食料品や日用品の買い物に行っても、外に飲みに行っても

明らかにこれまで以上に財布には厳しくなっていると実感しています。

また、6月から電力料金も15%以上値上がりするなど、インフレは高進するのではと思っています。


よって、個人的には日銀がインフレ対策として、イールドカーブコントロール(YCC)

上限引き上げなどが、行われるのではないかと予想しています。


意地になって、間違えを認めなかった黒田前総裁と違い、植田総裁は着任して間もないこともあり

方針の変更はあり得るのではないでしょうか?


もちろん、FRB要人と同様に私の見解が間違っている可能性はありますが

ある程度、日銀が金融緩和策を変更するリスクに備える必要があり

そのリスク回避の準備を怠って取引をやってはいけないのではないかと、思っている次第です。

この連載の一覧
第84回「月のアノマリーはあるのか・・・その月の特徴を知らないでやってはいけない?」
第83回「中央銀行も変わる・・・マイナーチェンジを知らないでやってはいけない」
第82回「コンプライアンス・・・時代の移り変わりを知らずにやってはいけない」
第81回「こういう人はFXをやってはいけない③・・・利食えない人はやってはいけない」
第80回「こういう人はFXをやってはいけない②・・・損切りが遅い人はやってはいけない」
第79回「こういう人はFXをやってはいけない①・・・自分が正しいと思う人はやってはいけない」
第78回「なぜ年末は取引をやってはいけないのか・・・応当日の特殊事情」
第77回「今年1年は何をやったら儲かったか・・・反省せずに来年はやってはいけない」
第76回「昨年の値動きを忘れずにやってはいけない」
第75回「今年は今週でおしまい?・・・最後の2週間はやってはいけないこと」
第74回「実弾介入しか防げない・・・根強い円安基調でやってはいけないこと」
第73回「感謝祭相場・・・11月の特別事情を知らないでやっていけない」
第72回「要人発言を吟味しないでやってはいけないこと・・・介入は入らない?」
第71回「スイスフランの値動きを見ないで、やってはいけない」
第70回「10月の介入実績ゼロ、介入の噂だけを信じてやってはいけない」
第69回「下手な鉄砲は数撃っても当たるのか?・・・動かない相場の時は何をしてはいけないか」
第68回「中東紛争・・・過去とのFXの動きが違うことを考慮しなくてやってはいけない」
第67回「NZ総選挙を知らずにやるな・・・今日はNZドルに要注意」
第66回「米政治・次回は政府閉鎖も・・・FXも動く可能性あり」
第65回「月末は余裕がない人はやってはいけない」
第64回「ストライキ・・・舐めてはいけない経済への影響」
第63回「どうせなら格好よく言おう・・・こういえば通と思われる?」
第62回「NZ・10月総選挙・・・これを知らないでNZドルを取引してはいけない」
第61回「食料インフレ・・・国によって違うことを知らないでやってはいけない」
第60回「インフレ指標・・・これを知らずにやってはいけない」
第59回「夏枯れ相場でも手を出す3タイプのディーラー・・・やってはいけないのは?」
第58回「中銀は内容だけでなくスケジュールも異なる」
第57回「日銀?分からないときはやってはいけない・・・海外勢は理解不能」
第56回「ブラックアウト期間を知らないでやってはいけない…国によっても違う」
第54回「新聞を確かめずにやってはいけない」
第53回「スワップポイントを知らずにやってはいけない」
第52回「日銀の利上げ?・・・準備を怠らずにやってはいけない」
第51回「対ドル以外の取り引きを見ないでやってはいけない」
第50回「時間帯を知る②東京市場とは・・・これを知らずにやってはいけない」
第49回「時間帯を知る①月曜早朝取引・・・これを知らずにやってはいけない」
第48回「歴史は繰り返す・・・過去の動きを忘れてやってはいけない」
第47回「政治的な動きを知らなくてはやってはいけない」
第45回「経済指標での動きを50/50と思ってやってはいけない」
第46回「常に知識・情報をアップデートしないといけない」
第44回「銀行の融資状況を知らなくてFXをやってはいけない」
第43回「雇用・CPI等から、新たな視点に変えないでやってはいけない」
第42回「フェドウォッチを見ないでFXをやってはいけない・・・年末は95%利下げ予想」
第41回「高金利通貨は各国の状況を知らないとやってはいけない」
第40回「金融危機はまだ去っていない、最良のCEOの言葉を無視してはやってはいけない」
第39回「ドットプロットとフェドウォッチのずれを判断しないでやってはいけない」
第38回「若者こそFX取引を・・・その2、やってはいけないでなく、やってほしい」
第37回「銀行の救済問題、詳細を把握せず取引してはいけない」
第36回「若者こそFX取引を・・・その1、やってはいけないでなく、やってほしい」
第35回「肌感覚を大切にしないでやってはいけない」
第34回「タカ派・ハト派を知らずやってはいけない」
第33回「政治家の発言を吟味して取引しないといけない」
第32回「ポンドドル、ポンド円の取引をやってはいけない」
第31回「新たに注目される指標を無視してトレードをやってはいけない」
第30回「次の日銀総裁の意向を考えないで、やってはいけない」
第29回「他の市場の動きを無視して、やってはいけない」
第28回「中銀の独立性がない国の通貨はやって(買って)はいけない?」
第27回「昨年は何の通貨をやってはいけなかったか?」
第26回「提供されているヒントを無視することを、やってはいけない」
【やってはいけないこれだけの理由】第25回「重要イベント前にポジションを取ってはいけない」
【やってはいけないこれだけの理由】第24回「12月にトレードをやってはいけない」
【やってはいけないこれだけの理由】第23回「スケジュールを見ないで取引をやってはいけない…先週なぜ大きく動いたか」
【やってはいけないこれだけの理由】第22回「金利上昇=通貨買いをやってはいけない」
【やってはいけないこれだけの理由】第21回「FOMC…乗り遅れない!今年のメンバーはもう忘れよう」
【やってはいけないこれだけの理由】第20回「ファンダメンタルズには逆らうな」
【やってはいけないこれだけの理由】第19回「日本語を信じるな…翻訳ソフトで良いので原文を読む」
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【やってはいけないこれだけの理由】第17回「市場との対話、今回は大失敗?」
【やってはいけないこれだけの理由】第16回「アジア時間の欧州通貨の動きを捨てる」
【やってはいけないこれだけの理由】第15回「介入に備える…その4、中銀は負けが多い」
【やってはいけないこれだけの理由】第14回「日銀介入に備える…その3」
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【やってはいけないこれだけの理由】第2回「どのFX指南役が信用できるか、その1」
【やってはいけないこれだけの理由】第1回「ナンピンは魅力的。しかし・・・」

為替情報部 アナリスト

松井 隆

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットで活躍。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。 銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたって活躍。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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