儲け話はいっぱい、でも・・・
昔から投資による大儲けの話は山ほど出てきます。バブル期には「歌う不動産王」とよばれた演歌歌手がいました。
周りにも「ビットコインで一攫千金を得た」など、景気の良い話は枚挙にいとまがありません。
そのような儲け話を聞くと、「自分も儲けたい」「投資していない自分は損をしているのではないか?」という気持ちになるでしょう。
実際に銀行にお金を預けても、ほぼ金利がつかない状況が何年も続いている中で、投資をすることは至極まっとうなことでもあるでしょう。
では、儲けるために大事なことは何でしょうか?
儲かった話は聞かない
芸能人がFXによる詐欺に引っかかった話については第6回「FX詐欺でTKOされないために」に記載しましたが、世の中儲け話を聞くと羨ましいという気持ちが起きるものです。でも、儲け話は聞かない方が良いです。
そもそも、儲かった話はよく聞きますが、損した話はFX詐欺に引っかかった芸能人や上述した歌う不動産王のように、まさにどうしようもなくなった時に初めてカミングアウトされるわけです。
儲け話の裏には同じだけ損がある
FXでも儲けることは可能です。ただし、儲け話をしている人の話を鵜のみにしてはいけません。
FXの世界に30年以上いますが、「この前の雇用統計の後に大儲けしたよ!」「120円からドル円を山ほどロングなんだよね」などという自慢話をする人の話は聞いてはいけません。
実際にディーラーや元ディーラーでも、この手の話をする人は多くいますが、無視したほうが良いです。
儲かった話をしている方が「超豪邸に住んでいる」などの話は聞いたことがほぼありません。
結局は儲かっていても、同様に損もしています。ただし、損の話は格好悪くてしていないだけです。
上述の儲け話ばかりしている(していた)ディーラーや元ディーラーのほぼすべてがディーラー生活は短命だったとみなしてよいでしょう。
なぜならば、儲け話しか言わないということはプライドが高く、自分の損失を認めたくない傾向にあります。
いざ自分のポジションがマイナス圏に入るとなかなか損失を計上(ロスカット)できずに、損失がどんどん増えていく人が多いのです。
臆病だから勝てる
「臆病」という言葉は決して良い言葉ではないでしょうが、ディールに関しては「臆病」は良い言葉だと思います。
例えば、もし今自分がドル円のロングを持っている時に、「中国が台湾侵攻し始めたらいくらまで下がるのだろう?」「大損してしまうのではないか?」と、相場の動きに対して臆病になり、最悪のシュミレーションをしている人がいます。
逆に「米国が予想外の緊急利上げをしたら、いくら大儲けするだろうか?」と最高のシュミレーションをしている人がいるとします。
上述のように中国が台湾に侵攻しドル円が急落した場合に、前者は最悪なことを想像していたことで、「これはやばい」と思い、すぐにロスカットをするでしょう。
一方で後者は「え?まさか」と思い初動が遅れますし、最高の状況を考えていたことで、「そう簡単には下がらないだろう」などと思い、夢をまだ追いかけてしまい、なかなかロスカットが出来ないものです。
よって、同じロスカットでも臆病者は傷口が浅くすむことが多いのです。
本当に儲かっている人は儲かっていることを吹聴しません。儲かりたい場合は、プライドを捨て臆病でいるのが良いのではないかと思います。